全体除去カードの覚え書き
1枚で大量に破壊できればお得である。戦場を空にすれば一通り仕切りなおすことができる。
誰でもそう思うものなので、マジックには当然それができるリセットボタンがある。
撃てばいいというものではない。だが、撃たなくていいというものでもない。バランス感覚が問われるから全体除去が好きだ。
以下、ヒストリックに存在するリセットボタンを書いていきます。
全体除去に関する説明

 ・全体除去とは
「対象を取らずに」「複数のパーマネントを」「戦場からどかす」ものを全体除去と呼びます(私はね)。
対象を取っていないので、呪禁はもちろんプロテクションも効きません。
さらに複数を同時に除去できるので、1対多交換が可能で、ボード・テンポアドバンテージを確保できます。
なにより大量に並んだパーマネントを一気に吹っ飛ばす快感ときたら!!

 ・全体除去の使い方
大きく分けると2つの使い方があります。
一つはリセット目的で撃つ方法。
立ち遅れて戦場にいろいろ並べられてしまって、単体除去やブロッカーとかではどうにもならなくなったときには、戦場をいったん陽光で焼きつくすともう1回くらいは呼吸できます。
仕切り直しですね。
むしろこの仕切り直しをしたいがために、相手が好き勝手行動するのを全体除去を抱えながら眺めていることすらあります。

もう一つは相手の盤面を空にしたいときに撃つという方法。
何が違うんだ?と思うかもしれませんが、自分だけが破壊不能をコントロールしているときに全体除去を撃てば、相手のブロッカーをすべて吹っ飛ばしてダイレクトに攻撃を通すことができますね。
上が受動的、ディフェンシブな使い方だとするならこちらはアグレッシブな使い方です。



◆もくじ◆
◆白い全体除去◆ , ◆青い全体除去◆ , ◆黒い全体除去◆ , ◆赤い全体除去◆ , ◆緑の全体除去◆ , ◆多色の全体除去◆ , ◆無色の全体除去◆
・白い全体除去
お互いに平等に裁きをもたらすというフレーバーから、全体除去は白に多いのです。
……が、まあお察しの通り完全に平等かというとそうではなく、だいたいは撃つ方が有利です。

《神の怒り》

神の怒り / Wrath of God (2)(白)(白)
ソーサリー

すべてのクリーチャーを破壊する。それらは再生できない。

《審判の日》

審判の日 / Day of Judgment (2)(白)(白)
ソーサリー

すべてのクリーチャーを破壊する。

全体除去といえばこれ。
アリーナに再生を持ったクリーチャーはいないためこれらは相互互換……だったのだが!《荒廃のドラゴン、スキジリクス》と《ゴルガリの魔除け》が登場したため、相互互換ではなくなった。
しかし再生は非常に複雑で理解しがたい能力のひとつであり、今後それを持ったクリーチャーが新しく登場する可能性は限りなく低く、上記の2枚も環境ではほとんど見かけないカードであるため、事実上の相互互換である。
いろいろ逃げ道はあるため絶対的なものではないが、4マナは全体除去が撃てるマナ域という認識はこれらのカードによって起こされている。
4マナというのが絶妙で、早すぎず遅すぎず、アグロくんにも多少のムーブをさせてから壊滅させられるナイスなタイミングで撃てる。
良くも悪くも基本的な呪文なので物足りなさもあるが、ごちゃごちゃと余計な文言がくっついていないシンプルなカードであるため、これらを好んで使う人も多い。

《一斉検挙》

一斉検挙 / Citywide Bust (1)(白)(白)
ソーサリー

タフネスが4以上のクリーチャーをすべて破壊する。

コストが低い代わりに、タフネス指定で範囲が狭まっている全体除去。
タフネスを参照する除去は白には時折ある能力。
全体除去というのは基本的に小さなサイズのウィニーをまとめて葬りたいときに撃つものなので、大物に狙いが定まっているコレはコストが軽かろうがかなり使いづらい。
そもそもそういうサイズのクリーチャーは横並びしにくいので、わざわざ不安定なコレを使わなくても単体除去で済む可能性も高い。
《栄光の頌歌》系のパンプエンチャントや、種族ロードを大量に出してくるタイプのデッキに対してはよく効くが、それもまた範囲が限られてのことなので、基本的に信頼感は薄い。
しかし使い道がないわけではなく、自分のクリーチャーをタフネス3以下に限定しておけば相手だけに被害をもたらすことができるし、また相手の呪禁持ちの大型クリーチャーでもこれは対象を取らないので問題なく除去できたりする。
だが、序盤に使えずコストが低い点がまったく有利にならないカードだし、後半になったらなったで撃ち漏らしも考えられるため結局《審判の日》でよくね?というのを断ち切れないため、総じてニッチなカード。

《神聖な粛清》

神聖な粛清 / Divine Purge (1)(白)(白)
ソーサリー

マナ総量が3以下であるすべてのクリーチャーやアーティファクトを追放する。それらは「この呪文を唱えるためのコストは(2)多くなる。」と「このパーマネントはタップ状態で戦場に出る。」を永久に得る。それらが追放され続けているかぎり、それぞれ、オーナーはそれをプレイしてもよい。

範囲は3コスト以下のクリーチャーとアーティファクト。
追放するが唱え直すことができるため、除去というよりはバウンスに近い。
対象を取らないため呪禁が効かず、追放であるため破壊不能も効かない有能な除去。
トークンはもちろん追放後消滅するため、完全に消し去ることができる。
唱えなおされるというデメリットはあるが、マナコストが+2されるため盤面すぐに元通りとはなかなかならないため非常に便利。
コスト3以下という範囲は狭そうに見えるが、最速で展開したがるデッキはほとんどのパーマネントがコスト3以下だし、そうでないデッキでもそれらが1枚も使われていないってことは考えにくいため、あまりデメリットにはなってない。
そんなわけでメインから積んでもOKな優秀なヤツ。

《一時的封鎖》

一時的封鎖 / Temporary Lockdown (1)(白)(白)
エンチャント

一時的封鎖が戦場に出たとき、マナ総量が2以下であり土地でないすべてのパーマネントを、一時的封鎖が戦場を離れるまで追放する。

《ポータブル・ホール》の全体化版。
白には一時的に除去しておくエンチャントは数多くあるが、ここまで大規模なものはなかなかない。
アグロデッキや、《改良式鋳造所》系のトークンがわんさか出てくるタイプのデッキには鬼のように刺さる。
トークンの生成装置が2マナ以下ならそれごと吹っ飛ばせるのだ。
さらに除去できるパーマネントも「土地でない」と非常に広いため、複数の種類にまたがったものでもまとめて追放できる。
オーラや装備品といった余計なものも2マナ以下ならすべて追放だ。
全体除去なので自分のパーマネントも一緒に封鎖されるのが難点といえば難点だが、便利なETB持ちをついでに巻き込んでおくことで、実施的な除去耐性にもなる。
もっと難点なのは、これが除去されると追放していたものがまるごと帰ってくること。
強力なETB能力を持つパーマネントは帰ってきたときのリスクも大きいため、乱発すればいいというわけでもない。
とはいえこれで数ターンは稼げるし、トークンをまとめて吹っ飛ばせるだけでもかなりアドバンテージを稼げるため、対アグロ想定でメインから積まれていることも多い。

《水の辺村の合戦》

《集団失踪》

集団失踪 / Depopulate (2)(白)(白)
ソーサリー

多色のクリーチャーをコントロールしている各プレイヤーはそれぞれカード1枚を引く。その後、すべてのクリーチャーを破壊する。

基本的には《審判の日》の上位互換だが、本当に申し訳程度の追加効果だし相手にもドローをもたらすため、場合によっては下位互換にもなりうる。
《空の粉砕》の事実上の相互互換でもある。
一応ドローはできるものの、どうあがいてもアドバンテージ損を避けられず、破壊不能持ちの多色クリーチャーを出すなどして一生懸命条件を満たしたところでたった1ドローなので、狙って使いたいものではない。
そのためドローはさほど期待せず、単なる全体除去として採用されることが多い。
スタンダードでは4マナの全体除去はいつの世も一定の需要があるため、お目にかかることは多い。

《黄昏//払暁》

黄昏 / Dusk (2)(白)(白)
ソーサリー

パワーが3以上のクリーチャーをすべて破壊する。

払暁 / Dawn (3)(白)(白)
ソーサリー

余波(この呪文はあなたの墓地からのみ唱えられる。その後、これを追放する。)
あなたの墓地からパワーが2以下のクリーチャー・カードをすべてあなたの手札に戻す。

余波持ちの分割カード。手札から打つ方が4マナでパワー3以上のクリーチャーをすべて破壊する。
全体除去と全体墓地回収なので、これ単体で稼げるアドバンテージは非常に大きい。
パワー3というラインは除去としてまあまあ信頼度があり、余波の方で墓地回収をちらつかせることができるため、生き残っているパワー2以下のクリーチャーも動きやすくなる。
また、余波はコレが墓地に落ちてさえいればいいので、切削を繰り返してクリーチャーと同時にコレも落ちれば一石二鳥なのだ。
採用するクリーチャーをパワー2以下のカードのみに絞ったデッキであれば、独特なうまみがあるカードである。

《戦乱のラヴニカ》

戦乱のラヴニカ / Ravnica at War (3)(白)
ソーサリー

多色のパーマネントをすべて追放する。

多色のパーマネントをすべて追放する。
全体追放除去なので、通りさえすれば呪禁も破壊不能ももろともせず追放することができる。
単色アグロをのぞいたら多色カードを全く採用しないデッキというのは考えにくいので、一定の仮想敵は常に存在するカードと言えよう。
しかし多色のパーマネントというのは、全く採用しないデッキも少ないが同時に横並びもしにくいので、リセットボタンという感覚ではなかなか扱えないかもしれない。
《偉大なる統一者、アトラクサ》など、戦場に出たときには既に一仕事終えている多色クリーチャーも多いしね。

《残骸の漂着》

残骸の漂着 / Settle the Wreckage (2)(白)(白)
インスタント

プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーがコントロールしている攻撃クリーチャーをすべて追放する。そのプレイヤーは「自分のライブラリーからその数に等しい枚数の基本土地カードを探し、タップ状態で戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。

攻撃宣言をしたクリーチャーすべてを基本土地に変えてしまう。
簡単に言うと、攻撃しているクリーチャーすべてに《流刑への道》を撃つインスタント。
白の全体除去でインスタントなのはこれだけ。しかも追放なので、除去耐性のほとんどを無視できて非常に強力。
だが、代償として基本土地を与えてしまうためこれ単体だとフィニッシャーを早期着陸させたり、今引きでなんとかさせてしまうこともある。
そのため、増えたマナで唱えられる呪文を打ち消す青や、手札という選択肢を減らす黒などと組み合わせて使うと非常においしい。
また相手が単純なクリーチャーデッキなら、増えたマナで改めて出てきたクリーチャーたちを再びこれで吹き飛ばすこともできる。
アグロデッキだったら、マナが伸びても撃つカードそもそもなかったりするしね。
変わったところでは、トークンなどを並べたあと自分で自分にこれを撃ち土地を伸ばしたりもできるが、ボードアドバンテージを失うし基本土地しか出せないしで、マナを伸ばす方法としてはかなり非効率なのであまりおすすめはできない。

《空の粉砕》

空の粉砕 / Shatter the Sky (2)(白)(白)
ソーサリー

パワーが4以上のクリーチャーをコントロールしている各プレイヤーは、それぞれカードを1枚引く。その後、クリーチャーをすべて破壊する。

《審判の日》におまけが乗っかったシリーズ。
ドロー条件はパワー4以上と緩やかなのでかなりの確率でドローできるが、逆に言えば相手も同じこと。
むしろ1枚ドローだけのためにパワー4というそれなりなクリーチャーを犠牲にするのは考え物。
全体除去として大幅なアドバンテージを取れるので、多少のディスアドは加味せず使われることが特徴ともいえるカード。
しかし、破壊不能を持つパワー4以上のクリーチャーとはかなり相性がいい。
ドローしたうえ除去でブロッカーをどかしてドカンである。《試練に臨むギデオン》や《黒き剣のギデオン》は素で条件を満たすため相性がいい。

《浄化の輝き》

《侵入者の放逐》

《ドゥームスカール》

ドゥームスカール / Doomskar (3)(白)(白)
ソーサリー

すべてのクリーチャーを破壊する。
予顕(1)(白)(白)(あなたのターンの間、あなたは(2)を支払って、あなたの手札からこのカードを裏向きに追放してもよい。後のターンに、これの予顕コストでこれを唱えてもよい。)

1マナ増えた代わりに予顕が付いた《審判の日》。
2ターン目に予顕すれば、3ターン目にはもう撃てるというスキのなさが売り。
破壊できるクリーチャーに制限などもなく、ちゃんとリセットできる。
マナコストを前払いすると《ドゥームスカール》、後払いにすると《バントゥ最後の算段》という感じ。
軽いというイメージだが色拘束がやや強いため、多色絡みのデッキでは白2マナを捻出できずやきもきすることもある。
ヒストリックでは、2ターン目にやれる選択肢も全体除去の選択肢も多いためにスタンダード時代ほどの使いやすさはないものの、予顕されるイコールこれか《襲来の予測》かという意識は持たれている。
かつては、2マナで予顕するのはたいしたデメリットではなかったのだが、動きが固定されるという点ではデメリットである。
しかし素で撃っても5マナとさほど重くないため、あえて予顕せずに使ったり今引きで使ったりとフレキシブルに使える。
軽く撃てるためむしろミッドレンジにこれを積み、相手のフィニッシャーなどを見てから対処するために使われていたこともある。

《燻蒸》

燻蒸 / Fumigate (3)(白)(白)
ソーサリー

すべてのクリーチャーを破壊する。これにより破壊されたクリーチャー1体につき、あなたは1点のライフを得る。

1コスト増えた代わりにライフゲインが付いてきた《審判の日》。
ご存じのとおりライフ回復はさほど嬉しい効果ではなく、うまくいっても3,4点しか回復できないため大した効果ではないように思える。
が意外や意外、実は結構理にかなった効果である。
わずか数点の差で勝負が決まるアグロ系のデッキにとっては、クリーチャーを全除去されてさらにライフ差まで広げられてしまうとなるとかなり苦しいのだ。
このへんはコントロールにおける《吸収》と同じような感覚。
また《硬鎧の大群》などでどうしようもなくなった盤面に撃つととんでもない量のライフを得られたりする。
テキストではなんか迫力に欠けるように見えるが、性能は折り紙付き。

《太陽降下》

太陽降下 / Sunfall (3)(白)(白)
ソーサリー

すべてのクリーチャーを追放する。培養Xを行う。Xは、これにより追放されたクリーチャーの数に等しい。(培養器(Incubator)トークン1つを、「(2):このアーティファクトを変身させる。」を持ち、+1/+1カウンターX個が置かれた状態で生成する。それは0/0のファイレクシアン(Phyrexian)・アーティファクト・クリーチャーに変身する。)

すべてのクリーチャーを追放し、ついでに培養も行う。
破壊ではなく追放なので、死亡誘発も破壊不能もすり抜ける。
5マナの無条件全体追放はこれが初。
自分のクリーチャーも追放されるが、培養を行うことでほんの少しだけアドバンテージを確保できる。
……のだが、1マナ増えると《告別》という超オールマイティな全体追放があるため、クリーチャーにしか対応できないこれはやや立場が弱い。
5マナと6マナは結構大きな差だが、1マナ重くてもほぼ完ぺきに戦場をリセットできるあちらの方が使いやすいのだ。
一方でこちらはアーティファクトトークンを出せるというあちらにはない利点があるため、それを生かした使い方をするとうまあじである。

《ウルザの殲滅波》

ウルザの殲滅破 / Urza's Ruinous Blast (4)(白)
伝説のソーサリー

(伝説のソーサリーは、あなたが伝説のクリーチャーか伝説のプレインズウォーカーをコントロールしているときにのみ唱えられる。)
伝説でなく土地でもないパーマネントをすべて追放する。

数少ない伝説のソーサリーのひとつ。
伝説でも土地でもないパーマネントをすべて追放する。
伝説のソーサリーを撃つために用意した伝説のクリーチャーはそのままに、他の名無しのクリーチャーはすべて吹っ飛ばすことができる。
有象無象を大量にけしかけてくるタイプのデッキにはよく効く。
弱点といえば、逆に伝説のパーマネントには触れないこと。
プレインズウォーカーには全く触れないし、強力なクリーチャーやアーティファクトは伝説であることが多いこともあり、肝心な時に割と撃ち漏らすので信頼感は結構低い。
なにより伝説のソーサリーなので、こっちにも伝説を維持できてないと撃つことすらままならない。
除去性能を持ったプレインズウォーカーとは相性がいい(これで撃ち漏らしたものをそいつで除去できるから)ので、フレンズ系のデッキでは少し使えるかも。
また最近では伝説であることを参照するカードが数多く登場したため、これの価値も相対的に上がっているともいえる。
上がっていないともいえる(相手も伝説デッキならこれは何もしないカードになるから)。
しかし関係ないがこの殲滅破、ミシュラがファイレクシアンになったことにぶちキレたウルザが放ったらしいが、ドミナリアに氷河期をもたらすほどの威力だったわりにミシュラ自体は伝説なので殺せない。
仲がいいんだか悪いんだか……。

《罪人への急襲》

《壊滅の熟達》

壊滅の熟達 / Devastating Mastery (2)(白)(白)(白)(白)
ソーサリー

あなたはこの呪文のマナ・コストを支払うのではなく、(2)(白)(白)を支払ってもよい。
その(2)(白)(白)のコストが支払われていたなら、対戦相手1人は、自分がコントロールしていて土地でないパーマネント最大2つを選び、オーナーの手札に戻す。
土地でないすべてのパーマネントを破壊する。

6マナのリセットカード。近年のリセットにしては珍しく、ちゃんと土地以外すべて破壊できる。
4マナで撃つこともできるが、その場合相手は自分のパーマネントを2つ手札に戻すことができる。
手札に戻ってしまうとはいえ、たった4マナで一時的には戦場を完全に空にすることができるため結構便利。
だが相手に選択権があるカード特有の使いづらさはあるし、だからといって正規コストで撃とうと思うとクァドラプルシンボルの6マナというめちゃくちゃな唱えにくさが気にかかる。
しかしクリーチャートークンを定期的に生成するアーティファクトなど、クリーチャー破壊だけでは対処できない盤面でもリセットできる4マナリセットボタンは便利なので、時折デッキリストの片隅に見かけることがある。

《告別》

告別 / Farewell (4)(白)(白)
ソーサリー

以下から1つ以上を選ぶ。
・すべてのアーティファクトを追放する。
・すべてのクリーチャーを追放する。
・すべてのエンチャントを追放する。
・すべての墓地を追放する。

幻想的でかわいらしいイラストからは想像もつかないほど攻撃的なテキストを持つ。
アーティファクト、クリーチャー、エンチャント、ついでに墓地のカードまで、しかも好きなものだけを破壊ではなく追放すると、圧倒的に融通が利く。
これで触れないのは土地とプレインズウォーカーだけ。
効果は上から順番に処理されるため、まず《ポータブル・ホール》や《ガラスの棺》などのクリーチャーを閉じ込めておく系のアーティファクトが追放され、それが追放されたことによりクリーチャーは戻ってくるが、その次にクリーチャーの追放が起こるためまとめて吹っ飛ぶ。
エンチャントは最後に追放されるため、《払拭の光》系のエンチャントで追放されていたパーマネントは戻ってくる。
これまでのニッチ的全体除去を過去にするほどのカードパワーを持つが、相応に重いために片手間では撃てず、単なるアグロ対策としてはなかなか採用しづらい。
ネックがあるとすれば、対象は選べるもののしっかりとしたリセットボタンであるため、相手と自分で使っているパーマネントの種類が被っているとまとめて吹っ飛んでしまうこと。
追放なので死亡誘発も起こらないし再利用もできないしね。
そしてプレインズウォーカーには触れないのも意外と弱点。これは逆に自分のプレインズウォーカーにも影響がないということでもあるが……。
しかし対象を取らない追放効果であるため、呪禁、破壊不能、プロテクションとあらゆる除去耐性が効かず、フェイズアウトか打ち消しかバウンスで手札に戻すかくらいしか対抗策がない。
そのためいろんなパーマネントを並べる系のデッキは、少しでも立ち遅れるとこれでまとめて吹っ飛ばされてしまうため非常に肩身が狭くなってしまった。
これだけのために《ドビンの拒否権》や《テフェリーの防御》を入れておくのもありやなしやという話。

《啓示の刻》

啓示の刻 / Hour of Revelation (3)(白)(白)(白)
ソーサリー

戦場に土地でないパーマネントが10個以上あるなら、この呪文を唱えるためのコストは(3)少なくなる。
土地でないパーマネントをすべて破壊する。

戦場にあるものをあらかた吹っ飛ばす。土地でないパーマネントが敵味方合わせて10個以上あるならなんと3マナで撃てる。
3マナといっても白マナ3つという強烈な色拘束を持つうえ、白が基調のデッキは基本的にクリーチャーやエンチャントを並べることが多いこともあり、むしろ自分の方が影響を受けてしまうということもあるため考えなしには採用しにくい。
パーマネント10個というのも結構難しい条件ではあるが、白の除去でお馴染みの《平和な心》などの無力化系エンチャントを使えばパーマネントの頭数は稼げる。
昇殿(都市の承認)とかとは違い、唱えるタイミングでちゃんと10個のパーマネントがないといけない。
土地以外すべて吹っ飛んでしまうのは一長一短。抜け道がないので事前準備ができないのだ。

《次元の浄化》

《王国まといの巨人》

当事者面
王国まといの巨人 / Realm-Cloaked Giant (5)(白)(白)
クリーチャー — 巨人(Giant)

警戒
7/7

出来事面
脱ぎ捨て / Cast Off (3)(白)(白)
ソーサリー — 出来事(Adventure)

巨人(Giant)でないクリーチャーをすべて破壊する。(その後、このカードを追放する。あなたは後で追放領域からこのクリーチャーを唱えてもよい。)

出来事ソーサリーで全体除去を放った後、フィニッシャーとしても使える。
巨人は破壊できないが、巨人というタイプはさほど使われるものでもないので、全体除去としての信頼感は厚い。
戦場を空にしたあと、今引きとかに左右されずデカいクリーチャーを用意できるうえ、自身が戦場にいる間に2枚目の《脱ぎ捨て》を撃っても無傷でいられるのが特徴。
とはいえ警戒こそもっているもののデカいだけで除去耐性もないので不安感もすこしある。
また巨人を破壊できないが、《砕骨の巨人》や《死の飢えのタイタン、クロクサ》など一定の需要がある巨人もいるにはいるため過信はできない。
逆にそれらのカードを使っているなら、安全弁としてこのカードを採用することも……あるか?色合わないけど。

《オンドゥの転置》

(第1面)
オンドゥの転置 / Ondu Inversion (6)(白)(白)
ソーサリー

土地でないパーマネントをすべて破壊する。

(第2面)
オンドゥの空遺跡 / Ondu Skyruins
土地

オンドゥの空遺跡はタップ状態で戦場に出る。
(T):(白)を加える。

裏面が土地であり、土地の枠に突っ込める全体除去。
その利便性のかわりに、8マナという圧倒的な重さを持つ。
全体除去にありがちな「序盤に来ると手札に腐る」という弱点を克服している。
重いためか破壊できる範囲も広く、土地以外をすべて破壊できる。
そうは言っても8マナは片手間ではとても撃てないため、基本的には土地として使うことになるだろう。
つまりメインの除去としてではなく、重量級のコントロールで保険として採用することになる。
ゲーム後半の今引き勝負になったとき、土地を引くとかなり弱いがこれはそれなりの影響力があるため、その時の保険である。

《大群退治》

大群退治 / Vanquish the Horde (6)(白)(白)
ソーサリー

この呪文を唱えるためのコストは、戦場にあるクリーチャー1体につき(1)少なくなる。
すべてのクリーチャーを破壊する。

8マナのクリーチャー全体除去。
戦場にいるクリーチャー1体につきコストが(1)減るので、4体いれば《審判の日》と同等、それ以上いればマナコストの面では得をする。
単体で動くタイプのデッキには相性が悪いものの、いつの世もクリーチャーが並ぶタイプのアグロデッキは大量に存在するため、全体除去の選択肢の一つとしては悪くはない。
ぶっちゃけ悪いカードではないのだが、8マナという圧倒的マナコストにやはり目が行き、それにしてはシンプルだなと思えてしまうためか、採用されることはまれ。
8マナのソーサリー!と聞くとやっぱ根本原理レベルを期待しちゃうからな。
クリーチャー全体除去……?あっそ、ならもっと軽いカードあるし。ってな気持ちになってしまうのだ。
それとも《ドゥームスカール》やら《告別》やらが同じスタンダードにいたからか?

《白の太陽の黄昏》

白の太陽の黄昏 / White Sun's Twilight (X)(白)(白)
ソーサリー

あなたはX点のライフを得る。毒性1と「このクリーチャーではブロックできない。」を持つ無色の1/1のファイレクシアン(Phyrexian)・ダニ(Mite)・アーティファクト・クリーチャー・トークンX体を生成する。Xが5以上であるなら、それらでないすべてのクリーチャーを破壊する。(毒性1を持つクリーチャーから戦闘ダメージを受けたプレイヤーは追加で毒(poison)カウンター1個を得る。)

単体では単なるライフ回復でしかないが、X=5以上であるなら毒性のダニをX体出してからそれ以外への全体除去を飛ばす。
全体除去を放ちながら、勝利に直結できる毒性のクリーチャーを残せるという、コントロール垂涎の効果を持つ。
そのため全体除去としてよりも、感覚としてはやや不確定ながら《副陽の接近》に近い感覚で扱われる、かも?
少なくとも5体のダニが出るため、返しのターンで全体除去などを撃たれない限りは毒カウンター3,4つは乗せることができる。
ライフ回復はおまけ程度の効果と思いがちだが、相手のクリーチャーはすべて吹き飛ばしてしまえるため、遅延効果はかなり大きい。
惜しむらくはコストが実質7マナ以上とかなり重いことだが、遅延に特化した白単や白青であれば撃つチャンス自体は作りやすい。
また、出てくるのはアーティファクトである。
全体除去を放ちながら大量のアーティファクトを産出するのがカギになるデッキがある……かも?
 ・青の全体除去
青は1対1交換が得意な色であるためか、全体除去は少ない。
しかし青にはバウンスという除去手段があるため、それを全体化させたものが存在する。

《氷の中の存在》

第1面
氷の中の存在 / Thing in the Ice (1)(青)
クリーチャー — ホラー(Horror)

防衛
氷の中の存在は氷(ice)カウンターが4個置かれた状態で戦場に出る。
あなたがインスタント呪文1つかソーサリー呪文1つを唱えるたび、氷の中の存在の上から氷カウンターを1個取り除く。その後、氷の中の存在の上に氷カウンターがないなら、これを変身させる。
0/4

第2面
目覚めた恐怖 / Awoken Horror
〔青〕 クリーチャー — クラーケン(Kraken) ホラー(Horror)

このクリーチャーが目覚めた恐怖に変身したとき、ホラー(Horror)でないすべてのクリーチャーをオーナーの手札に戻す。
7/8

変身する両面カード。
出てきたときは単なる氷だが、インスタントかソーサリーを4回唱えると氷の中の存在、恐ろしいクラーケンが目を覚ます。
目を覚ましたときにホラーでないクリーチャーをすべてバウンスする。
ホラーという種族はさほど目にするものではないため、だいたいの場合はこれでないすべてが手札に戻る。
インスタントかソーサリーを4回も唱えると考えると結構な手間に思えるが、青であるがゆえにドローやら打ち消しやら繰り返している間にあっという間に目覚めてしまう。
目覚めるとクリーチャーをバウンスする上に7/8という圧倒的サイズであるために無視するわけにもいかない。
氷の中で眠っている間にさっさと消すことがカギになる。

《濾過》

濾過 / Filter Out (1)(青)(青)
インスタント

クリーチャーでも土地でもないすべてのパーマネントをオーナーの手札に戻す。

3マナのインスタントという圧倒的な軽さだが、実のところクリーチャーは戻せない。
クリーチャーこそ戻せないが、プレインズウォーカーはもちろん《骨化》や《力線の束縛》などといった追放系エンチャント、手がかり宝物血食物といったアーティファクトトークンはばっちり消せるため使い勝手はそれなり。
クリーチャーエンチャントやアーティファクトクリーチャーが戻せないのが一長一短か。
それに手札に戻すだけなので、当然唱えなおしされてしまう。
できるだけ複数体同時に戻すか、カウンターなどをリセットするために用いたい。
またこれで戻せるものはすべて《否認》で打ち消せるため、そちらとは競合する。
出る前に打ち消すか、出てから手札に戻すか、どちらがいいと思う?

《飲み込む潮》

飲み込む潮 / Consuming Tide (2)(青)(青)
ソーサリー

各プレイヤーはそれぞれ、自分がコントロールしていて土地でないパーマネント1つを選ぶ。これにより選ばれておらず土地でもないすべてのパーマネントをオーナーの手札に戻す。その後あなたは、手札にあるカードがあなたより多い対戦相手1人につきカード1枚を引く。

お互いにパーマネントを1つだけ残し、それ以外の土地でないパーマネントをすべてバウンスする。
その後、ハンドアドバンテージで負けていれば1ドローできる。
一番消したいパーマネントが残ってしまうという弱点はあるものの、さほど展開をしないコントロールで使うならばほとんどの場合キャントリップ付きになるため結構便利。
しかし選択権が相手にあるバウンスであるため、ETB能力の再利用されてしまうことも多く、信頼感はけっこう薄い。
もっとも消したいパーマネントを消せないところも弱点。
まあ大量のトークンを処理できると考えれば一考か。

《圧倒的な波》

圧倒的な波 / Whelming Wave (2)(青)(青)
ソーサリー

クラーケン(Kraken)、リバイアサン(Leviathan)、タコ(Octopus)、海蛇(Serpent)以外のすべてのクリーチャーをオーナーの手札に戻す。

海にすむ生き物以外はすべて吹っ飛ばす。
圧倒的な波でも海の生き物なら平気ってのはフレーバー的には100点満点だが、悲しいかないずれもマイナーな種族で汎用性は低い。
しかし数は少ないがクラーケンやリバイアサンはファッティが多く、それらの攻撃を安全に通すための呪文としては優秀。
これらのクリーチャーは海の中にいるため飛行をもっていないことが多いのも後押し。
4マナとかなり撃ちやすいのもいいところ。
……なのだが、強力なクラーケンリバイアサン(ry)は自前でアンブロッカブルや除去耐性などを持っていることが多いのも頭の片隅には入れておきたい。
ノート:《海駆けダコ》はインスタントタイミングで好きなクリーチャーにタコのタイプを与えられるクリーチャーだ。

《涙の氾濫》

《川の叱責》

川の叱責 / River's Rebuke (4)(青)(青)
ソーサリー

プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーがコントロールしている土地でないパーマネントをすべてオーナーの手札に戻す。

プレイヤー1人(通常は対戦相手)の土地でないパーマネントを根こそぎそっくり手札に返す。
バウンスなので唱えなおされる可能性はあるが、相手だけに全体除去を放てるというのがミソ。
何がどれだけ並んでいようが関係なくすべてを吹き飛ばせるため、必要な分だけクリーチャーを並べてこれを唱えればあっという間にエンドまで持ち込むことができる。
弱点はもちろん6マナのソーサリーであること。
スキがものすごく大きいので、せめて《否認》くらいは抱えておきたいが、そうすると要求されるマナも増える。
相手が苦し紛れに起動してくる起動型能力をどうにかしたいときは《もみ消し》が役立つ。
関係ないが"川の"と書いてあるがイラストは完全に海である。マーフォークが起こしてる波だし。
海から川に入る直前とかなんだろうか。

《ハーキルの最後の瞑想》

ハーキルの最後の瞑想 / Hurkyl's Final Meditation (4)(青)(青)(青)
インスタント

あなたのターンでないかぎり、この呪文を唱えるためのコストは(3)多くなる。
土地でないすべてのパーマネントをオーナーの手札に戻す。ターンを終了する。(このカードを含め、スタックにあるすべての呪文や能力を追放する。現在のターンを進行しているプレイヤーは、自分の手札の上限までカードを捨てる。ダメージは消え、「このターン」と「ターン終了時まで」の効果は終わる。)

土地以外のすべてをバウンスし、さらにターンを終わらせる豪快なリセットボタン。
自分のターンに撃つとせっかくバウンスしても先に再展開できるのは相手の方だし、かといって相手のターンに撃とうとすると10マナもかかる。
唱えるとターンが終わってしまうため、自分のターンに唱えてしまうと何らかの後始末を行うことが一切できないのが難点のひとつ。
相応の効果ではあるが、そのままではかなり扱いにくい。
きわめて強力なインスタントであることに違いはないのだが、相手のターン中に唱えるとコストが3増えるのが痛い。
全体バウンスのインスタントなので《奔流の機械巨人》で唱えたいところだが、相手のターン中だと機械巨人の6マナにコスト増加の3が加わって9マナとさほど得しないのだ。
もしこのコスト増加がなければ、このギアホークも手札に戻ってきて再利用ができるといいことづくめだったのだが……。
マナアーティファクトなどで唱える補助をしようとしても、こいつの効果でバウンスされてしまうし……とことん扱いにくいもんだ。
ターンを終了したり追加ターンを得たりするインスタントには複数種類があるが、大抵はデメリットを抱えているがコレも強烈だね。
ちなみにバウンスとターンを終了するのはそれぞれ独立した効果であるため、バウンスを行った結果アクティブプレイヤーの手札が8枚以上になった場合は、7枚になるまで手札を捨てる必要が出てくる。
つまり、超まどろっこしいがハンデス呪文でもあるってこと。
相手のアップキープの開始時に唱えればドローフェイズのドローすら飛ばすことができるが、単純なターン追加ソーサリーがこれよりもコストが軽いことを考えると、是が非でも相手の呪文を巻き込みたいものだ。
 ・黒の全体除去
黒といえば除去。黒は殺害の色である。というわけで黒にも全体除去は多い。
黒にはマイナス修正というダメージの上位互換のようなシステムがあり、それらを用いた全体除去は赤のダメージソースより強力。

《食肉鉤虐殺事件》

食肉鉤虐殺事件 / The Meathook Massacre (X)(黒)(黒)
伝説のエンチャント

食肉鉤虐殺事件が戦場に出たとき、ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-X/-Xの修整を受ける。
あなたがコントロールしているクリーチャー1体が死亡するたび、各対戦相手はそれぞれ1点のライフを失う。
対戦相手がコントロールしているクリーチャー1体が死亡するたび、あなたは1点のライフを得る。

(※灰色部分はヒストリックでの調整で削除された部分)
戦場に出たときの能力でサイズ可変の全体除去を放ち、以後はクリーチャーが死亡するたびにライフ差を広げていくことができる。
クリーチャーを召喚すること自体がデメリットにさえなるほどに強力すぎたため、スタンダードでは禁止カードに指定されている。
登場以来、黒系のデッキでは必ず複数枚採用されていて、スタンのみならずさまざまなフォーマットで大活躍したため、一時にはシングル価格が1万円を超えていたこともある。
伝説のパーマネントではあるが、ETB能力が非常に強力であるため当たり前のように複数採用され何度も唱えられるという、いろいろおかしいカード。
黒マナ2つと除去の威力を決めるためにXのマナがかかるために、額面上ではやや重いような気もするが、多少出遅れても間に合いさえすれば盤面を一掃した上でライフを確保でき、自軍を巻き込んでも相手へのダメージに変換されるため損失が少ないなど、単なるリセットカードの域をはるかに超えた性能をほしいままにしていた。
これが存在する環境では、相手のライフを削るためにクリーチャーを召喚すればするほど相手のライフが増えていくという歪んだ状態になっていた。
また対象を取らないマイナス修正であるため、おおよその除去耐性が通用しないのもまずかった。
序盤中盤終盤のいずれでも常に一定の効果が見込め、除去を放ったあともいたずらにライフを増やしたり減らしたりしてくるため鬱陶しさが半端なかったため禁止になってよかった。
再調整ではライフゲインの効果が失われ、これにより相手クリーチャーの頭数をそっくりライフとして奪い取ることができなくなったため相当に弱体化した。
ヒストリックでは割と対抗策が多いし、デッキによって効く効かないがはっきり別れるためスタンほど使われてはいないが、それでもサイズ可変の全体マイナス修正が弱いはずがないので、サイドにひっそりと潜んでいたりする。

《バントゥ最後の算段》

バントゥ最後の算段 / Bontu's Last Reckoning (1)(黒)(黒)
ソーサリー

クリーチャーをすべて破壊する。あなたがコントロールする土地は、あなたの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。

わずか3マナで全体除去を放てるが、プレイヤーが督励されてしまう。
土地がアンタップしなくなるとはいえターンが飛ばされるわけではなく土地を置いたりと最低限の行動はできるし、全体除去しているため1ターンの間なら召喚酔いのために時間を稼げる。
しかし相手に1ターンの猶予を与えてしまうのは弱点。

◆(1)(黒)(黒)で-2/-2修整を与えるシリーズ◆
《締めつける瘴気》

締めつける瘴気 / Choking Miasma (1)(黒)(黒)
ソーサリー

キッカー(緑)(この呪文を唱えるに際し、追加で(緑)を支払ってもよい。)
この呪文がキッカーされていたなら、あなたがコントロールしているクリーチャー1体の上に+1/+1カウンター1個を置く。
ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-2/-2の修整を受ける。

《肉儀場の叫び》

肉儀場の叫び / Cry of the Carnarium (1)(黒)(黒)
ソーサリー

ターン終了時まで、クリーチャーはすべて-2/-2の修整を受ける。墓地にあって、このターンに戦場からその墓地に置かれたクリーチャー・カードをすべて追放する。このターンにクリーチャーが死亡するなら、代わりにそれを追放する。

《悪意ある機能不全》

悪意ある機能不全 / Malicious Malfunction (1)(黒)(黒)
ソーサリー

ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-2/-2の修整を受ける。このターンにクリーチャー1体が死亡するなら、代わりにそれを追放する。

《ぎらつく氾濫》

ぎらつく氾濫 / Glistening Deluge (1)(黒)(黒)
ソーサリー

ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。ターン終了時まで、緑や白であるすべてのクリーチャーは追加で-2/-2の修整を受ける。

《死に至る霞》

死に至る霞 / Pestilent Haze (1)(黒)(黒)
ソーサリー

以下から1つを選ぶ。
・ターン終了時まで、クリーチャーはすべて-2/-2の修整を受ける。
・各プレインズウォーカーの上から忠誠(loyalty)カウンターをそれぞれ2個取り除く。

《黄金の死》

黄金の死 / Golden Demise (1)(黒)(黒)
ソーサリー

昇殿(あなたがパーマネントを10個以上コントロールしているなら、このゲームの間、あなたは都市の承認を得る。)
ターン終了時まで、クリーチャーはすべて-2/-2の修整を受ける。あなたが都市の承認を持っているなら、代わりに、ターン終了時まで、対戦相手がコントロールしているクリーチャーのみが-2/-2の修整を受ける。

いずれも3マナで全体に-2/-2の修正を与え、それに多少のおまけがのっかっているソーサリー。
3ターン目に-2修正は、一般的な全体火力と遜色なく及第点であり、共通して呪禁も破壊不能もプロテクションも無視できるという強みがある。

《締め付ける瘴気》はキッカーで自分のクリーチャー1体を助けられる可能性がある。
基本的にタフネスが1のクリーチャーは守れないが、《硬化する鱗》《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》などが出ていれば守ることができる。
黒緑というカラーリングは基本的にクリーチャーは優秀なものに絞って採用するため、もともとタフネスが多少高めなものが多い。
そのためこれがそこまで役に立つという状況は想像しづらいが、1マナ足して+1/+1カウンター1個なら結構割りはいい方だ。

《肉儀場の叫び》は普通よりかは強めの墓地対策が仕込まれている。
このカードによる修正で死亡したクリーチャーでなくても、そのターンに戦場から墓地に置かれたものであれば追放される。
が、この効果はあくまでもおまけ程度であり、《悪意ある機能不全》と相互互換といってもよいかもしれない。

《ぎらつく氾濫》は少し毛色が違い、全体へは-1/-1修正、白や緑であるクリーチャーには追加で-2/-2で合計-3/-3の修正となる。
緑や白はクリーチャーが大量にならびがちだし、並ぶのは小粒であることが多いため-3/-3もの全体除去はかなり刺さる。
スタンダードでは《敬慕される腐敗僧》《離反ダニ、スクレルヴ》系の白緑毒殺を安全に処理したり、ヒストリックではエルフデッキを瓦解させたりできる。
しかし同時に白緑系統のクリーチャーはタフネスが高めになっていたり、修整や+1/+1カウンターなどでサイズアップされていたりするため、小粒対策であるこれだけではどうにもならない場面も多い。

《死に至る霞》は、似たような効果をプレインズウォーカーに与えるモードを持っている。
プレインズウォーカーを大量に採用するフレンズ系デッキはあるにはあるが、その手のデッキは《ドミナリアの英雄、テフェリー》が出ずっぱりで、3マナのソーサリーを撃ってる余裕があるかどうかは不明。
のちに出たカードだが《兄弟仲の終焉》が同じ3マナでありながら、クリーチャーとプレインズウォーカーに3点ずつダメージを与えるという性能を持っていることを考えると、今となっては採用は難しい。

《黄金の死》は昇殿を達成していれば相手限定になる。
軽めの全体除去は序盤に撃ちたいもので、昇殿を達成できるほど悠長に待っていられないという根本的な弱点がある。
が、都市の承認さえあればデメリットがまったく消える。3マナでデメリットのない全体除去は非常に珍しい。
トークンをたくさん出せるデッキなら、割と能動的に撃てるのかもしれない。



《陰惨な実現》

陰惨な実現 / Gruesome Realization (1)(黒)(黒)
ソーサリー

以下から1つを選ぶ。
・あなたはカード2枚を引き、2点のライフを失う。
・ターン終了時まで、各対戦相手がコントロールしているすべてのクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。

2ライフロス2ドローと全体-1/-1修整とを選べる。
ドローの方は3マナ2ドローならまあそれなりという感じだが、修整の方はかなりうまく扱わないとほぼ意味のないカードになってしまう。
ソーサリーなのが絶妙に間が悪い。でも黒に3マナ2ドローインスタントがあったらおかしいか。

《陳腐化》《息詰まる噴煙》

陳腐化 / Make Obsolete (2)(黒)
インスタント
ターン終了時まで、対戦相手がコントロールするクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。


息詰まる噴煙 / Suffocating Fumes (2)(黒)
インスタント

ターン終了時まで、各対戦相手がコントロールしているクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。
サイクリング(2)((2),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

サイクリングがついているかいないか。
全体除去がインスタントなのは偉いが、-1/-1修整はかなり貧弱。
とはいえインスタントタイミングで撃てる全体除去は貴重といえば貴重。
しかしながら、赤を見ると《吸血鬼の復讐》《ブレス攻撃》など、3マナで全体2点ダメージインスタントがある……。

《黒の息》《有毒ガス》

黒の息 / The Black Breath (2)(黒)
ソーサリー

ターン終了時まで、対戦相手がコントロールしているすべてのクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。指輪があなたを誘惑する。


有毒ガス / Mephitic Vapors (2)(黒)
ソーサリー

ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。
諜報2を行う。(あなたのライブラリーの一番上からカードを2枚見て、そのうちの望む枚数をあなたの墓地に、残りをあなたのライブラリーの一番上に望む順番で置く。)

上の2枚がソーサリーになったかわりにおまけ効果が付いた……のだが、ただでさえ貧弱な効果がソーサリーになってしまったため、その弱さは並ではない。
《黒の息》はおまけで指輪があなたを誘惑してくるようになった。
指輪の誘惑があるとはいえ、こいつは全体除去。指輪所持者としてタフネス1のクリーチャーを使えなくなるというデメリットさえある。
《有毒ガス》は諜報2が付く。
1体に-2/-2修整……では強すぎたのだろうか?
ガスで諜報ってのもおかしくないか?1体を殺害して諜報の方がフレーバーがあるように思えるが……。

《危難の道》

危難の道 / Path of Peril (1)(黒)(黒)
ソーサリー

切除(4)(白)(黒)(あなたはこの呪文を切除コストで唱えてもよい。そうしたなら、角括弧の中の記述を削除する。)
〔マナ総量が2以下の〕すべてのクリーチャーを破壊する。

MtG屈指のオシャレ能力である切除を持つ。
3マナで唱えると2マナ以下の、白含みの6マナで唱えるとすべてのクリーチャーを破壊できる。
序盤に唱えるならその範囲でも十分だし、後半になれば切除で全体除去に変えられるため結構便利なはず。
なのだが、このテキストだとコスト3~4あたりの脅威にほとんど対処できず、無条件化しようとすると6マナもかかるため取り回しの悪さが嫌われ使われることは少ない。
しかし《一時的封鎖》が使いやすいカードであることを考えるとこれもまあ及第点なはずだ。
なによりも切除という能力のオシャレさが好きなのでもっと流行ってほしい。

《絶滅の契機》

絶滅の契機 / Extinction Event (3)(黒)
ソーサリー

奇数か偶数を選ぶ。マナ総量がその選ばれた値である各クリーチャーをそれぞれ追放する。(0は偶数である。)

パーマネントのマナコストを参照するという珍しいカード。
奇数と偶数の登場割合が同様に確からしいならば、このカードは通常の全体除去の半分の効果しかないということになるが、実際のデュエルではなかなかそうはならない。
例えば1ターン目、1マナで《ラノワールのエルフ》を出すとする。
続いて2ターン目で土地2枚とラノワールのエルフの1マナで3コストのクリーチャーを出すとする。
またはそれがマナクリーチャーであったなら、次に出てくるのはコスト5のクリーチャーだ。
こいつらをまとめて処分できるのがこの《絶滅の契機》である。
むろんここまでうまくいくことはまれだが、デッキ内のクリーチャーの偶奇の割合がちょうど50%50%のデッキなんてのは存在しないし、仮にちょうど同じ量だったとしても、より消したい方を選べるという強みがある。
また最悪でも最も消したいクリーチャーの方を選べば単体除去はできるし、除去したのが単体であってもこの効果は対象を取らない追放除去。
ほとんどの除去耐性は無視できるのだ。
また、トークンはマナコストが0である(ものが大多数)ため、偶数を選べばほぼすべて葬ることができる。
ここまでの性能を持っていながら、色拘束はほぼないに等しいシングルシンボル。
唯一のネックは時によっては自分のクリーチャーも巻き込んでしまうことと、撃ち漏らしが出ることが多いこと。
さらにトークンはトークンでも、パーマネントのコピートークンはコピー元のパーマネントと同一のマナコストを持つため、偶数であるとは限らないのは忘れがち。
しかしいずれにしても融通が利く優秀な全体除去であり、採用しているデッキは数多い。サイドに1枚くらいは入れておきたいものだ。

《衰滅》

《突き刺さる雨》

突き刺さる雨 / Biting Rain (2)(黒)(黒)
ソーサリー
ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-2/-2の修整を受ける。
マッドネス(2)(黒)(あなたがこのカードを捨てるなら、これを追放領域に捨てる。あなたがそうしたとき、マッドネス・コストでこれを唱えるか、これをあなたの墓地に置く。)

4マナ-2/-2の全体マイナス。
マッドネス持ちなので、頑張ればインスタントタイミングでも撃てるというのが特徴なのだが、その場合でも-2/-2はやや信頼度に欠け、さらに実質的にはコストが増えてしまうというネックがある。
《激しい恐怖》

激しい恐怖 / Crippling Fear (2)(黒)(黒)
ソーサリー

クリーチャー・タイプ1つを選ぶ。ターン終了時まで、その選ばれたタイプでないすべてのクリーチャーは-3/-3の修整を受ける。

選んだクリーチャー・タイプ以外のクリーチャーすべてに-3/-3の修整を与える。
種族を統一したデッキであれば、自分の盤面には一切のダメージを与えずに相手だけを壊滅に追い込むことができる。
範囲限定だが、4マナで-3/-3修整は間に合うと間に合わないのせめぎあいの部分なのでギリギリ。
統一デッキでなくても、一番守りたいクリーチャーのタイプを指定すれば少なくとも1体を守ることはできる。
ちなみに種族を参照するため多相持ちには効かない。

《底への引き込み》

底への引き込み / Drag to the Bottom (2)(黒)(黒)
ソーサリー

版図 ― ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-X/-Xの修整を受ける。Xは、あなたがコントロールしている土地の中の基本土地タイプの種類数に1を足した数に等しい。

版図によってサイズが変わる全体マイナス修整ソーサリー。
基本土地タイプ3つで《衰滅》と同レベル、5つあれば-6/-6にまでなる。
少なくとも黒+1で-2/-2は確約されているが、これだけでは寂しい。是が非でも3,4色は使っておきたいものだ。
最大サイズを考えると5色デッキで……と考えがちだが、5色デッキであるなら白の全体除去も使えるということなので、こいつの出番はそんなにあるわけではない。

《煤の儀式》

煤の儀式 / Ritual of Soot (2)(黒)(黒)
ソーサリー

マナ総量が3以下のクリーチャーをすべて破壊する。

3マナ以下のクリーチャーをすべて破壊するソーサリー。
参照するのがマナコストであるため、最速で撃てばすべてのクリーチャーが範囲内に入る。
緑や白のクリーチャーは+1/+1カウンターなどであっという間にデカくなっていくためマイナス修整では対処しにくいのだが、これは3マナ以下であればタフネスに関係なく破壊できるため使い勝手はかなりいい。

《ヤヘンニの巧技》

ヤヘンニの巧技 / Yahenni's Expertise (2)(黒)(黒)
ソーサリー

ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-3/-3の修整を受ける。
あなたは、あなたの手札からマナ総量が3以下の呪文1つを、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。

5色にまたがるサイクルで存在する巧技。
-3/-3の全体修整を行った後にコスト3以下の呪文を踏み倒す。
普通、全体除去を撃ってしまうと自分のパーマネントも巻き込まれてしまい戦場ががら空きになってしまうことがあるが、これは踏み倒し能力を持つためその点をカバーできる。
それどころか、相手の戦場を空にした上になんらかの呪文を付随して唱えることができるアドバンテージは計り知れない。
唱えるカードタイプにも制限がないため、手札が必要という点はあるものの一定のアドバンテージは確保されているものと考えていいだろう。
クリーチャーを出してもいいし、さらなるアドバンテージを求めて英雄譚やプレインズウォーカーを出してもよい。
……というと聞こえはよいのだが、コスト4というと無条件である《審判の日》があり、また最速で撃つとすると普通ならデッキを11,12枚程度めくったタイミングであり、踏み倒す呪文を引けているかは結構賭けになる。
つまり腐るときは鬼ほど腐ってしまうという弱点がある。
まあ、単体除去でも踏み倒せれば撃ち漏らしも破壊できるし一石二鳥だね。

《必滅の死霊》

《命運の核心》

命運の核心 / Crux of Fate (3)(黒)(黒)
ソーサリー

以下から1つを選ぶ。
・すべてのドラゴン(Dragon)・クリーチャーを破壊する。
・すべてのドラゴンでないクリーチャーを破壊する。

ドラゴンすべてか、ドラコンでないすべてを破壊する全体除去。
基本的には、黒がらみのドラゴンデッキでフィニッシュを決めるために使用する。
ドラゴンは複数並ぶことを前提にしていない種族であり、ドラゴン単体がテーマになったデッキは数少なく、ドラゴンが複数並ぶ盤面というのは相当に限られた状況(《歩哨竜、ミーリム》デッキくらいのもの)なので、1つ目のモードを選ぶことはほぼない。
イラストはおそらくウギンとニコル・ボーラスの兄弟げんかが描かれているが、1つ目のモードはウギンが勝利、2つ目のモードではニコル・ボーラスが勝利しているように思える。
突出した強さというのはないものの、カード名がカッコいいというのは意外に利点。

《ギックスの命令》

《影の評決》

影の評決 / Shadows' Verdict (3)(黒)(黒)
ソーサリー

戦場からマナ総量が3以下の、クリーチャーやプレインズウォーカーと、墓地からマナ総量が3以下でクリーチャーやプレインズウォーカーであるカードを、すべて追放する。

まず戦場から3マナ以下のクリーチャーとプレインズウォーカーを追放し、次に墓地から同じように3マナ以下のそれらを追放する。
1マナ増えたらプレインズウォーカーまで巻き込むようになり墓地まで範囲が広がりしかも追放するようになった《煤の儀式》。
黒系のウィニーデッキにとっては悪夢のような存在で、墓地をリソースとして動くシステムを丸ごと追放されてしまう。
破壊不能も無視するうえ死亡誘発すら起こさず、再利用を絶対に許さないという殺意の高さは必見。
黒以外でも墓地を経由して何か、というクリーチャーは数多いので、撃たれると結構嫌なカードである。
惜しむらくはクリーチャーとプレインズウォーカーしか追放できないというところと、コストを参照するため完全な除去・墓地対策にはならないというところ。
最近は低コストで優秀なクリーチャーを並べてアドバンテージを確保し続けるというデッキが多いため、全く役立たないということはないのだが、《黙示録、シェオルドレッド》を消せないのは痛いね。
《雪上の血痕》

雪上の血痕 / Blood on the Snow (4)(黒)(黒)
氷雪ソーサリー

以下から1つを選ぶ。
・すべてのクリーチャーを破壊する。
・すべてのプレインズウォーカーを破壊する。
その後、あなたの墓地からマナ総量がX以下でありクリーチャーかプレインズウォーカーであるカード1枚を戦場に戻す。Xは、この呪文を唱えるために支払われた(氷)の点数に等しい。((氷)は氷雪である発生源からのマナを意味する。)

クリーチャーかプレインズウォーカーに全体除去を撒いたあと、氷雪マナを使って唱えていればリアニメイトが付いてくる。
6マナと重いには重いが、まっさらになった戦場にパーマネントを踏み倒しで置けるのは単純に強い。
《蜘蛛の女王、ロルス》や《不笑のソリン》など、クリーチャートークンを生成できるプレインズウォーカーをリアニメイトするとかなりおいしい。
問題は土地基盤に氷雪土地が必要なこと。
黒単ならすべての沼を《冠雪の沼》に変えればいいだけなので全く問題はないが、多色になると話が変わってくる。
多色の氷雪土地はすべてタップインなので、いたずらに展開を阻害するだけなのである。
そんなわけで、スタンにいたころはさまざまなデッキで使われていたがヒストリックではなかなか使いづらいカードになってしまった。
無論リアニメイト先は豊富であり、プレインズウォーカーをリアニメイトできるというかなり珍しい特長も持つため、意外な時に出くわすこともある。
ヒストリックなら《冷鉄の心臓》という強力な氷雪マナアーティファクトも使えるしね。

《殺人報酬》


 ・赤の全体除去
赤といえば?火力だ。
1体2体にチマチマ撃ってたんじゃめんどくさい!とりあえず全員に撃つぞ!
というわけで赤の全体除去は全体火力である。
赤の除去はダメージなので、プロテクションで軽減されてしまうところは難点。

◆全体に1点シリーズ◆
《猛火の斉射》


《塵と化す》


《死の国の火》


《燃えがら地獄》


《基盤の揺るぎ》


《宇宙粒子波》


《危険な爆風》


《放射稲妻》


◆全体に2点シリーズ◆
《吸血鬼の復讐》


《ブレス攻撃》


《焦熱の連続砲撃》


《炎の一掃》


《火山の流弾》



《炎の中へ》


《チャンドラの炎波》


◆全体に3点シリーズ◆
《焼けつく双陽》

焼けつく双陽 / Sweltering Suns (1)(赤)(赤)
ソーサリー

焼けつく双陽は各クリーチャーにそれぞれ3点のダメージを与える。 サイクリング(3)((3),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

3マナで全体3点ダメージ。これはさらにサイクリング3を持つ。
除去としての性能は折り紙付きであり、これは刺さらない相手には機会を見てサイクリングすれば何か別の手段に変えることができるためとても便利。
……なのだが、単純にそれだけであるうえ、後続で出た同性能の全体除去がこれよりも高性能であることもあり、これがピックアップされることは少ない。

《神々の憤怒》

神々の憤怒 / Anger of the Gods (1)(赤)(赤)
ソーサリー

神々の憤怒は各クリーチャーにそれぞれ3点のダメージを与える。このターン、これによりダメージを与えられたクリーチャーが死亡する場合、代わりにそれを追放する。

3マナで全体に3点のダメージを与え、このダメージが通っているクリーチャーがこのターンに死亡するなら、それを代わりに追放できる。
自身のダメージ効率もさることながら、墓地利用や死亡誘発などはクリーチャー主体の早めのデッキでは結構使われる要素であり追放が激しく刺さるため、使い勝手は見た目以上によい。
特に《スカイクレイブの影》や、《不可思の一瞥》デッキでの《ナルコメーバ》や《秘蔵の縫合体》をはじめとした、自力で戦場に戻ってくる能力を持つクリーチャーに鬼のように刺さる。
現在ではそうでもないが、一時期は対アグロ・ミッドレンジ用の全体除去といえばこれという期間がながくあったため、タフネス3以下のクリーチャーは死にやすいと思われることが多い。
ちなみに、これのダメージと他の要因を組み合わせて破壊した相手でも追放される。
場合によってはタフネス3以上でも《稲妻のらせん》とかで追放することもある。

《兄弟仲の終焉》

兄弟仲の終焉 / Brotherhood's End (1)(赤)(赤)
ソーサリー

以下から1つを選ぶ。
・兄弟仲の終焉は各クリーチャーと各プレインズウォーカーにそれぞれ3点のダメージを与える。
・マナ総量が3以下であるすべてのアーティファクトを破壊する。

3マナで全体3点ダメージのソーサリーだが、これは性能が一段階高く、モードでアーティファクト除去としても使える。
アーティファクト除去はマナ総量が3以下とかなり広く、《改良式鋳造所》なら出てくるトークンごと、もちろん《真髄の針》《未認可霊柩車》《勢団の銀行破り》など便利なアーティファクトも軒並み焼き払える。
ダメージの方はクリーチャーのみならずプレインズウォーカーまで範囲に入っていてかなり狙える範囲は広い。
しかしこれは基本的には長所なのだが、自分もプレインズウォーカーを使っている場合には弱点にもなる。
1枚で3種類のカードの対策になる有能であるためコントロールに入れたくなるが、コントロールデッキにはプレインズウォーカーがよく入るため、撃つに撃てない状況もよくあるのでね……。

《伝導電流》

伝導電流 / Conductive Current (赤)(赤)(赤)
ソーサリー

伝導電流は各クリーチャーにそれぞれ3点のダメージを与える。あなたの手札にありインスタントやソーサリーであるカード1枚を選ぶ。それは「この呪文がパーマネントやプレイヤーに戦闘ダメージでないダメージを与えるなら、代わりに、これはその点数に2を足した点数のダメージを与える。」を永久に得る。

3マナ全体3点を撃った後に、手札のバーンカードの威力を2点高められる。
《稲妻の一撃》が2マナ5点インスタントに、《棘平原の危険》が《稲妻》に代わるだけでも強いが、全体バーンと組み合わせると倍々ゲーム並みに威力が上がるため非常に強力。
単純に2枚目のこれを強化して、3マナ5点の全体ダメージとして構えてもよい。
複数の対象に1点でも与えればそこに+2されるため割り振り火力とも相性がよく、《マグマ・オパス》であれば4体に3点ずつ撒けるようになる。
こいつ自身は色拘束が強いが、ダメージソースである他のインスタントやソーサリーは赤が多いため、構築の段階でもさほど問題にはならないだろう。
むしろ一番問題なのは全体除去と組み合わさっているため、単純な赤単アグロでは使えないということ。
赤単で3点ダメージを耐えられるクリーチャーは、いないわけではないがかなり少ない。
またこれは手札にダメージソースがあることが前提となっているので、手札が少なくなる後半ではさほど強くないカードになる。
ちなみにこれは対象を取らないソーサリーなので、空撃ちができる。空撃ちしても手札強化は行われるため、プレイヤーへの火力を高めてダメ押しにつなげたりできる。

◆全体に4点以上与えるシリーズ◆
《嵐の怒り》


《家の焼き払い》

家の焼き払い / Burn Down the House (3)(赤)(赤)
ソーサリー

以下から1つを選ぶ。
・家の焼き払いは各クリーチャーと各プレインズウォーカーにそれぞれ5点のダメージを与える。
・「このクリーチャーが死亡したとき、クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。これはそれに1点のダメージを与える。」を持つ赤の1/1のデビル(Devil)・クリーチャー・トークン3体を生成する。ターン終了時まで、それは速攻を得る。

クリーチャーとプレインズウォーカーに5点ずつダメージか、1/1の速攻持ちデビルを3体生成するかを選べるモードを持つソーサリー。
全体5点というのはかなり最大級であり、よほどのデカブツ以外は焼き払える。
プレインズウォーカーも範囲内なのが嬉しい。爆速で忠誠度が上がる《目覚めた猛火、チャンドラ》以外ならおおかた焼き払える。
が、プレインズウォーカーは大抵出たときに1つは仕事をこなしているため、ピン刺し でも刺さるときは刺さるものだ。
デビル生成の方も悪い効果ではなく、ゲーム終盤でのダメ押しに使ったり、1点ダメージの死亡誘発を持つためタフネス2までなら相打ちに持っていける器用さがある。
ラクドス(色ではなくギルドの方)にはデビルの種族支援カードがいくつかあるため、それらと組み合わせてもよい。
また5マナで3体のクリーチャーを出せるソーサリーでもあるので、登場誘発を持つクリーチャーを並べておけば単なる1/1とは思えないほどの仕事量をこなす場合もある。

《破滅の刻》


《時の火炎嵐》


《絶滅の星》



 ・緑の全体除去
緑にはクリーチャーを破壊する全体除去はない。
緑が壊すのはアーティファクトやエンチャントである。
しかしその手のパーマネントを全体除去したいシチュエーションが少ないため、これらのカードが使われることはかなりまれ。

《自然に帰れ》

自然に帰れ / Back to Nature (1)(緑)
インスタント

すべてのエンチャントを破壊する。

わずか2マナのインスタントで、すべてのエンチャントを破壊できる。
エンチャントの基本的な使われ方といえば、優秀なものをグッドスタッフ的に数枚採用するというもの、あるいは強力なエンチャントをメインに据えそれを軸に動いていくものが大半である。
そもそもエンチャントというもの自体、エンチャントそのものが攻撃力を持つというより、なにかと併用して力を増幅させるというデザインのものが多い。
これらのほとんどは単体のエンチャント破壊で事足りるのである。
そんなわけで、すべてのエンチャントを破壊したいという状況はかなり少なく、すなわちこいつを採用したいという場面も少ない。
各種オーラ系のデッキや祭殿デッキには刺さりそうだが、それらのデッキは《ケイラメトラの恩恵》という有用なカードが標準装備されているため殺しきることはなかなかできない。
オーラデッキでは《きらきらするすべて》が採用されていることもあり、意外と撃ち漏らしも多い。

《歴史の彼方》《一族の暴行》

歴史の彼方 / Fade from History (2)(緑)(緑)
ソーサリー

アーティファクトやエンチャントをコントロールしている各プレイヤーはそれぞれ、緑の2/2の熊(Bear)クリーチャー・トークン1体を生成する。その後、すべてのアーティファクトとすべてのエンチャントを破壊する。


一族の暴行 / Rampage of the Clans (3)(緑)
インスタント

すべてのアーティファクトとすべてのエンチャントを破壊する。これにより破壊されたパーマネント1つにつき、それのコントローラーは緑の3/3のケンタウルス(Centaur)・クリーチャー・トークンを1体生成する。

すべてのアーティファクトとエンチャントを破壊する。
両方同じ4マナで、《歴史の彼方》は色拘束が強いソーサリーだが、与えるパーマネントは熊1体で済む。
一方、《一族の暴行》は色拘束が薄いインスタントだが、破壊したアーティファクト/エンチャントの数だけ3/3のケンタウルスを与えてしまう。
安全に使えることを選ぶか、いつでも使えることを選ぶか、という選択である。
破壊するものはトークンであればよいので、緑でも出しやすい食物や宝物あたりを用意しておけばデメリットを減らすことができる。
《一族の暴行》は全体除去としてより、それらのトークンをケンタウルスに変える目的で唱えてもよいですね。
 ・多色の全体除去
いろんな色の除去が混ざるため、必然的に使い勝手のよいものが増える。
しかし使い勝手がよすぎるカードを抑制するためか、微妙なカードも多い。
《覆われた羊飼い》

《至高の評決》

至高の評決 / Supreme Verdict (1)(白)(白)(青)
ソーサリー

この呪文は打ち消されない。
すべてのクリーチャーを破壊する。

全体除去への対処法といえば、破壊への耐性をつけるのもありだが、打ち消しもまたよく聞くものだ。
しかしこの《至高の評決》は打ち消しを一切受け付けない。
色拘束は強くなったが《審判の日》と変わらない4マナであり、全体除去の完成形ともいえる、高品質なカード。
除去への対処法を打ち消しや呪禁に頼るクロック・パーミッションにとっては悪夢のようなカードだったが、現在ではフェイズアウトという抜け道ができたため、撃たれたら負けとまではいえなくなった。
色拘束は強いものの《審判の日》とマナコストは変わらないため、パーミッションでない普通のアグロにも間に合いがち。
弱点があるとすれば、クリーチャーにしか効果がないというところ。
そのためメインからかならず入るカードというわけでもない。
また打ち消されないというだけ刹那を持っているわけではないため、起動型能力の起動や対応しての《村の儀式》などある程度の抜け道を許す点もある。

《時の一掃》

時の一掃 / Time Wipe (2)(白)(白)(青)
ソーサリー

あなたがコントロールしているクリーチャー1体をオーナーの手札に戻し、その後クリーチャーをすべて破壊する。

自分のクリーチャー1体を助けられる全体除去。守れるといってもバウンスしてしまうので、結局戦場は空になる。
全体除去なので仕方がないことだが、バウンス呪文がソーサリーであることは基本的にはデメリット。
しかし2つの効果が混ざっている呪文なので、特有の使い方ができる。
例えば《粗暴な聖戦士》など「このクリーチャーが戦場を離れるまで対象を追放しておく」系のクリーチャーを戻すことで、粗暴な聖戦士が手札に戻ることで追放されていたクリーチャーは戦場に戻るが、その後全体除去で吹っ飛ばされるというわけだ。
またなんとかしてこれをインスタントタイミングで唱えることができれば、相手の除去に対応してクリーチャーを守りつつ全体除去を返すという荒業も可能。
単に戦場に出たときの能力を持ったクリーチャーを戻すのもよい。
使い方によっては輝くカードである。

《ケイヤの怒り》

ケイヤの怒り / Kaya's Wrath (白)(白)(黒)(黒)
ソーサリー

クリーチャーをすべて破壊する。あなたはあなたがコントロールしていて、これにより破壊されたクリーチャーの総数に等しい点数のライフを得る。

《審判の日》に黒を足したら《燻蒸》の半分の効果が付いてきた。
ラヴニカの白黒といえばオルゾフ、オルゾフといえば死後。
つまり死亡誘発持ちの自軍を巻き込みながらライフゲインを行い、盤面のリセットを同時に行うというデザインのカードだが、色拘束が非常に強いため使いづらい印象の方が強い。
関係ないが、ケイヤは背景ストーリーではかなり大活躍しているのに、カードになるとどういうわけか一線級より一歩下の能力になってしまう。
なんというか、まあまあリスクまあまあリターンなカードが多くて絶妙に使いづらいんだよね。
自分の身体を幽体化できるというカッコよすぎる能力を持つのに、ケイヤデッキを組みづらいのは悲しいなぁ。
それとも、もともとリミテッド向けのプレインズウォーカーとしてデザインされているのだろうか……。

《空の覆い隠し》

空の覆い隠し / Blot Out the Sky (X)(白)(黒)
ソーサリー

飛行を持つ白黒の2/1の墨獣(Inkling)クリーチャー・トークンX体をタップ状態で生成する。Xが6以上なら、クリーチャーでも土地でもないすべてのパーマネントを破壊する。

全体除去と呼んでいいのかは微妙。
基本的にはトークン生成呪文。出てくるトークンの質は悪くないものの、タップ状態である上ソーサリーなので効率はそんなによくない。
さらにX=6つまり8マナ以上で撃つなら、アーティファクト、エンチャント、プレインズウォーカー、バトル(のうちクリーチャーでも土地でもないもの)をすべて破壊できる。
まったく使えないというわけでもないが、8マナもかかる割にクリーチャーをどかせず、戦況で負けていると逆転の一手にならないというのが最大のネック。
出てくるトークンもタップ状態であるため、《栄光のドミヌス、モンドラク》や《ジェトミアの娼婦、ジニー・フェイ》との相性もさほど良くない。
この性能で神話レア。ここまでどう使えばいいのか、どう使うことを想定して印刷されたのか意図が不明なカードは珍しい。カスレアの誹りは免れないだろう……。
のちに出た《白の太陽の黄昏》はレアでありながら、クリーチャーを全体除去したあとダニトークンを生成と、このカードが本来やるべきだったことがきちんとできる。
空を覆い隠すほどの墨獣トークンを一斉に召喚し、それらが構築物を破壊して回るというのは、シルバークイル大学の大魔法っぽくて非常にかっこいいのだが……。

《貧窮//裕福》

Rags / 貧窮 (2)(黒)(黒)
ソーサリー

ターン終了時まで、クリーチャーはすべて-2/-2の修整を受ける。

Riches / 裕福 (5)(青)(青)
ソーサリー

余波(この呪文はあなたの墓地からのみ唱えられる。その後、これを追放する。)
各対戦相手はそれぞれ自分がコントロールするクリーチャー1体を選ぶ。あなたはそれらのクリーチャーのコントロールを得る。

4マナで-2/-2修整の全体除去を撃ち、その後7マナで布告タイプのクリーチャーコントロール奪取を行う。
どちらの効果もマナコストと比べ非常に重く、不確定な要素が強すぎるためはっきりいって使えるカードではない。
これの魅力はマナ総量が4+7で11と非常に大きく、しかも4マナでとりあえず墓地に落とすことができること。
たとえば《ドラゴンの介入》であれば4マナ11点全体ダメージとなる。
カードには使い道ってのがあるもんだな。
……《マグマ・オパス》は2マナで墓地に落とせる8コストのカードであるということを言ってはいけない……。

《採取//最終》

採取 / Find (黒/緑)(黒/緑)
ソーサリー
あなたの墓地からクリーチャー・カード最大2枚を対象とし、それらをあなたの手札に戻す。

最終 / Finality (4)(黒)(緑)
ソーサリー

あなたはあなたがコントロールしているクリーチャー1体の上に+1/+1カウンターを2個置いてもよい。その後、ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-4/-4の修整を受ける。

分割カード。墓地回収と全体除去がセットになっていて、どちらかを選んで唱えることができる。
黒緑という色は墓地の扱いにかなり長けているため、2マナで実質2ドローとして扱える《採取》は非常に便利。
さらに盤面が固まってしまったなら《最終》で-4/-4修整の全体除去としても使え、タフネス3のクリーチャーなら1体は守ることもできる。
6マナと重いが緑含みのためブーストでなんとかできることもある。
墓地が空の最序盤以外はいつでも一定のアドバンテージは確保できる優秀な呪文。
単なる全体除去と違い、自分のクリーチャーを巻き込んでしまっても2枚目のこれで回収できるという点から複数積みしやすいのも利点。

《死体の爆発》

死体の爆発 / Corpse Explosion (1)(黒)(赤)
ソーサリー

この呪文を唱えるための追加コストとして、あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を追放する。
死体の爆発は各クリーチャーや各プレインズウォーカーに、その追放されたカードのパワーに等しい点数のダメージを与える。

墓地のクリーチャーカード1枚を追放し、そのパワーに等しい点のダメージを全体に与える、サイズ可変の全体除去。
普通3マナなら全体3点が標準なので、それ以上の威力を出せれば得をする。
しかし普通にやっているならクリーチャーというのはサイズが小さい順に墓地に落ちていくことになり、パワーが大きいクリーチャーを狙って落とすにはやはり切削や手札コストといった墓地肥やしが必須になる。
そして墓地肥やしを多用するデッキは普通リアニメイトを行うので、せっかく墓地に落ちた当たりカードをこれで追放してしまうのはややもったいないというジレンマを抱える。
それを嫌ってパワー3,4程度のクリーチャーをコストにするなら、別にこれでなくても同じような機能のカードが存在する。
さらに言うと、《安らかなる眠り》などで墓地対策されてしまうと、これは全く何もできないカードになってしまう。
しかし3マナで7点8点の全体除去を撃てるかもしれないという可能性を秘めてはいるので、使えるデッキもあるのかもしれない。

《蔓延する蛮行》

蔓延する蛮行 / Widespread Brutality (1)(黒)(赤)(赤)
ソーサリー

ゾンビ動員2を行う。その後、あなたが動員したその軍団(Army)はそれのパワーに等しい点数のダメージを軍団でない各クリーチャーにそれぞれ与える。(ゾンビ動員2を行うとは「あなたがコントロールしている軍団1体の上に+1/+1カウンター2個を置く。それはゾンビ(Zombie)でもある。あなたが軍団をコントロールしていないなら、その前に、黒の0/0のゾンビ・軍団クリーチャー・トークン1体を生成する。」ということである。)

動員2を行ったあと、軍団でないクリーチャーに、動員した軍団のパワーに等しいダメージを与える。
これ単体だと2/2を出して2点全体ダメージのソーサリーに過ぎないが、ほかのカードでもって軍団を用意しておけたならサイズ可変のダメージとして扱うこともできる。
……のだが、動員自体、なにかのおまけであるなら強いがメインに据えるほど使いやすいシステムではなく、これ自体の色拘束の強さも相まってさほど強力なわけでもない。

《ゴルガリの魔除け》

《驚天//動地》

《選別の儀式》

選別の儀式 / Culling Ritual (2)(黒)(緑)
ソーサリー

マナ総量が2以下で土地でないすべてのパーマネントを破壊する。これにより破壊されたパーマネント1つにつき、(黒)か(緑)を加える。

2マナ以下と範囲は狭いが、クリーチャーエンチャントアーティファクトバトルと破壊できる種類は多い。
黒緑はご存じの通り、破壊に長けた色であるため、これの効果で戻ってきたマナで単体除去を撃てば撃ち漏らしも狙いきることができる。
これが4マナなので、5つ以上のパーマネントを破壊できたならマナ加速になる。
狙い目はやはりトークンが並ぶデッキ。参照するのがマナ総量であるため、《改良式鋳造所》から出てくる4/4構築物もちゃんと処理できる。
ちなみに出すマナの色と個数は選べる。
7つのパーマネントを破壊できたなら、(黒)を3つ、(緑)を4つという貰い方も、(黒)0個、(緑)7個という貰い方もできる。
《グルールの魔除け》

《轟音のクラリオン》

轟音のクラリオン / Deafening Clarion (1)(赤)(白)
ソーサリー

以下から1つまたは両方を選ぶ。
・轟音のクラリオンは各クリーチャーにそれぞれ3点のダメージを与える。
・ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは絆魂を得る。

全体3点ダメージと、自軍全体に魂絆を付与、あるいはその両方を選べる。
3マナ3点ソーサリーの時点で合格点であり、シングルシンボル2つという要求であるため多色デッキでもかなり撃ちやすい。
主にクリーチャー主体のミッドレンジが居場所。
相手が展開を急いでいたり、マストカウンターレベルのクリーチャーが出たりしたならリセットボタンとして使い、そうでないなら魂絆を付与してライフを稼ぐこともできる。
そしてタフネス4以上のクリーチャーがいるなら両方を選んで爆発的にライフ差をつけられる。
性質上、自分のクリーチャーも多少は巻き込んでしまうため、ディスアド込みになってしまうのは構築段階から頭に入れておきたい。
タフネス4以上のクリーチャーとはもちろん、《アダントの先兵》とは相性が特に抜群。
彼はライフ4点を支払って破壊不能を得られ、攻撃時にはパワーが+2されるため、ダメージを耐えて魂絆もかなり生かせると来ている。
マナカーブも2,3と綺麗につながる。
《陽光の輝き》

陽光の輝き / Solar Blaze (2)(赤)(白)
ソーサリー

各クリーチャーはそれぞれ、自身に自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。

パワーとタフネスの比が1:1であるか、パワーの方が大きいクリーチャーを破壊するという、すこし変則的な全体除去。
カラーパイだけでいうと、白緑赤のクリーチャーを除去しやすく、青黒のクリーチャーはしづらいということになるが、実戦で使われるのはパワーの高いクリーチャーが多い。
ダメージの仕組み上、+1/+1カウンターをいくつ持っていても破壊のしやすさはかわらない。
軽量のシステムクリーチャーは1/2など少しタフネスが高かったりすることもあり、コントロールに対してはやや信頼感が薄れる気持ちもしなくもない。
ちなみに、接死を持っているクリーチャーはパワーが1でもあればタフネスに関係なく確実に破壊できる。
自分自身が「接死を持つ発生源にダメージを与えられたクリーチャー」になるため。
つまり《黙示録、シェオルドレッド》は4/5だがちゃんと破壊できる。

《一からやり直し》

一からやり直し / Begin Anew (白)(白)(緑)(緑)
ソーサリー

すべてのクリーチャーを破壊する。あなたの手札にあるすべてのクリーチャー・カードは+1/+1の修整を永久に受ける。

全体除去を撃った後、手札のクリーチャーが少し強くなる。
小足見てから昇竜みたいなカード。
白緑といえば普通はクリーチャーの色なので、全体除去はむしろ撃たれたら困るものだが、しかし相手も同じようなデッキだった場合、手札の質や除去の関係で展開で出遅れると悪戦必至になる弱みがある。
それを解決するのがこのカードである。
相手の展開を見てからこれをぶっぱなすことで、クリーチャーを見てからやり直し余裕でした、となるわけだ。
惜しむらくはこの強烈な色拘束と、クリーチャーメインのデッキが相手でないとさしたる効果がないこと。
そしてよく効くタイミングが、逆に「見てから」のタイミングしかないこと。
自分の方が先んじている場合、これを撃つとかなりのディスアドになってしまうのだ。
死亡誘発や破壊不能で多少でもアドバンテージを確保しておきたい。
または、白緑はエンチャントの色でもあるため、置きエンチャントを少し並べてから撃っても面白いかもしれない。

《悪意ある乗っ取り》

敵意ある乗っ取り / Hostile Takeover (2)(青)(黒)(赤)
ソーサリー

クリーチャー最大1体とそれでないクリーチャー最大1体を対象とする。ターン終了時まで、その前者の基本のパワーとタフネスは1/1である。ターン終了時まで、その後者の基本のパワーとタフネスは4/4である。その後、敵意ある乗っ取りは戦場にある各クリーチャーにそれぞれ3点のダメージを与える。

5マナで全体3点ダメージの全体除去だが、クリーチャー1体は1/1に弱体化させて確実に巻き込め、もう1体は4/4に強化して確実に生き残らせることができる。
ダメージ系の全体除去は往々にして相手がデカブツを出してしまうと紙と化してしまうものだが、これは1体だけなら強制的に巻き込めるので事実上の確定除去みたいな動きができるのが特徴。
5マナのソーサリーでありさらに3色が必要なのでかなり重いが、単体除去と全体除去と単体強化の抱き合わせなので致し方あるまい。
強化する方では同時にパワーも変わるので、これで相手のクリーチャーを全員始末できればパワー4で突っ込むこともできる。
《白熱のアリア》

白熱のアリア / Incandescent Aria (赤)(緑)(白)
ソーサリー

白熱のアリアはトークンでない各クリーチャーにそれぞれ3点のダメージを与える。

トークン以外のクリーチャーすべてに3点のダメージを与える。
トークンを消せないとみるか、トークンは守れるとみるか。
全体除去を撃ちたいほどクリーチャーまみれになったとき、そのなかにトークンがどれくらい含まれるだろうかということになる。
物量勝負デッキでなくとも《鏡割りの寓話》で出てくるアレなど、とりあえず除去しておきたいトークンもそれなりに存在する。
しかし自身のトークンを守りながら相手のクリーチャーだけをどかすというのはこれにしかできない仕事である。
逆にこちらがパーマネントカードとしてのクリーチャーを採用せず、トークンだけで盤面を乗り切るデッキがもしあれば、これの主戦場になるかもしれない。
色の多さも考慮だが、緑はもちろん赤や白も宝物を生成することは得意なので、3色でも撃てないというほどではない。

《破滅の根本原理》

破滅の根本原理 / Ruinous Ultimatum (赤)(赤)(白)(白)(白)(黒)(黒)
ソーサリー

対戦相手がコントロールしていて土地でないパーマネントをすべて破壊する。

根本原理シリーズのひとつ。通りさえすれば、相手の盤面だけ空っぽになる。
強力なカードではあるのだが、デイガカラーは7マナまで貯めて云々というコントロールデッキが少ないうえ、確実に通せるという保険も用意が難しい。
赤も白も黒も全体除去の得意な色なので、これに頼らなくてももっと軽いカードがあるという点は考慮に入れるべきだ。
しかし通ってさえしまえば土地(と破壊不能)以外のすべてが吹き飛ぶため、決定力は絶大。
全体除去でありながらこちらに一切の影響がないというたぐいまれな特徴を持ち、マナ基盤が必要ということ以外にはデメリットがない。
唱えられさえすれば一切の事前準備が必要ないので、モタモタしてる相手にぶち込むと爽快だ。
・無色の全体除去
無色のカードはデッキの色を問わずに採用できるという特性があるため、カードパワーが抑えられがちになってはいますが、それでも高性能な全体除去はあるものだ。

《金線の酒杯》

金線の酒杯 / The Filigree Sylex (2)
伝説のアーティファクト

(T):金線の酒杯の上に油(oil)カウンター1個を置く。
(T),金線の酒杯を生け贄に捧げる:マナ総量が金線の酒杯の上にある油カウンターの個数に等しく土地でないすべてのパーマネントを破壊する。
(T),あなたがコントロールしているパーマネントの中から油カウンター10個を取り除き、金線の酒杯を生け贄に捧げる:クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。これはそれに10点のダメージを与える。

タップすることで油カウンターが載る能力と、そのカウンターを参照して全体除去か10点ダメージを行う能力の計3つの能力を持っている。
全体除去の方は、出たターンに起動してもマナ総量0のトークンをすべて破壊できるという利点はある。
しかし一度置いた油カウンターを減らす方法がない以上、狙ったものを破壊するというのはとてつもなく難しいため、使われることはほとんどないだろう。
10点ダメージの方の能力は、相手の初期ライフを実質半分にできる能力であり結構強い。
だがこれ単体だと1ターンに1個しか油カウンターを増やせず、起動するまでに10ターンもかかるのではとてもじゃないがやってられない。
《気まぐれな呪文踊り》や《硬化した屑鉄喰らい》など油カウンターを効率的に増やせるカードはそれなりにあるため、それらと組み合わせて初めて大きな力を発揮することだろう。

《精霊龍、ウギン》

精霊龍、ウギン / Ugin, the Spirit Dragon (8)
伝説のプレインズウォーカー — ウギン(Ugin)

[+2]:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。精霊龍、ウギンはそれに3点のダメージを与える。
[-X]:マナ総量がX以下の、1色以上の色を持つ各パーマネントをそれぞれ追放する。
[-10]:あなたは7点のライフを得て、カードを7枚引く。その後、あなたの手札にある最大7枚までのパーマネント・カードを戦場に出す。
初期忠誠度:7

重量級のプレインズウォーカーで、忠誠度-Xの能力に全体除去を持つ。
マジックで使うパーマネントは、無色でないなら1色以上の色を持つため、非常に広い範囲をサイズ可変で全体追放できる。
無色であるかどうかは、マナコスト欄に有色のマナシンボルが書かれているかいないか、あるいは「欠色」という能力を持っているかいないかで判別できる。
したがって土地は無色のパーマネントである。
全体除去としては非の打ちどころのない最高峰の性能。
まず、サイズが可変であるうえに参照するのがマナコストであること。
戦場に出た時点で、コスト7以下のパーマネントすべてが範囲内であり、サイズを選べることからこちらのパーマネントを守りながら相手の盤面だけを空にすることも余裕。
次に「1色以上の色を持つパーマネント」と範囲が非常に広い点。
カードタイプを問わないため、クリーチャー主体であろうがエンチャント主体であろうがプレインズウォーカー主体であろうが関係なく吹き飛ばせる。
唯一、アーティファクトはもともと無色である場合が多いため全滅させるのはむずかしいが、こちらがそれらを使っていればそれすらアドバンテージになりうる。
そして追放であるという点。
死亡誘発や墓地からの再利用を許さないため、ひっくり返した盤面をある程度固定しておくことができる。
またプレインズウォーカーの忠誠度能力による全体除去であるため、着地さえできてしまえば妨害されにくいという点も見逃せない。
弱点はやはり8マナのプレインズウォーカーと非常に重く打ち消されやすいというところだが、間に合えさえすれば戦況を一撃でひっくりかえす性能を持っているためコントロールデッキにはよく積まれている。
また+2の能力で単体に3点の火力を放てるという点もフレキシブルさに拍車をかける。
絶対に着地させてはいけないプレインズウォーカーのひとつ。

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