打ち消しカードの覚え書き
青を使う理由のひとつである「打ち消し」を行うカードの覚え書きです。
ひとつかみに打ち消しといっても多種多様なカードがあり、仮想敵や環境によって適切な打ち消しを選択する必要があります。
汎用的すぎる打ち消しは規制される傾向にあり、それがまた面白いところ。相手によって呪文を使い分けるのは魔法使いにとって常識。
敵に合わせてもちものを変えるの、ゲームっぽくてすき。ゲームだけど。
蛍光ペンでラインが引いてある部分はマウスオンで説明が出ます。
用語解説(長いので折りたたみ)

・分類
 ・確定カウンター
 《対抗呪文》のように「〇対象に取れる呪文に制限がなく、〇解決されたら確実に打ち消す」ものを確定カウンターと呼びます。
 ・条件付きカウンター
 《否認》のように「×対象に取れる呪文に制限があり、〇解決されたら確実に打ち消す」ものを条件付きカウンターと呼びます。
 ・不確定カウンター
 《火消し》のように「〇対象に取れる呪文に制限がなく、×相手に打ち消しを逃れる手段がある」ものを不確定カウンターと呼びます。
 ・条件付き不確定カウンター
 《呪文貫き》のように「×対象に取れる呪文に制限があり、×相手に打ち消しを逃れる手段がある」ものを条件付き不確定カウンターと呼びます。
また、条件付きだったり不確定だったりするカウンターはどれも確定(ハード)カウンターではないということで、それらをまとめてソフトカウンターと呼んだりもする。
厳密な呼び分けがあるわけではないので、なんとなく漠然と呼び分けてる人もいます。数学的な意味で「強い打ち消し」「弱い打ち消し」とかいう呼び分けもあるらしい。
ちなみにこの呼び分けは私がそう分類した方がわかりやすいだろうからという理由で分けただけなので、よそ様では通じないと思うのであまり口外なさらないでください。


◆確定カウンター◆

《否定の契約》

否定の契約 / Pact of Negation (0)
〔青〕 インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
あなたの次のアップキープの開始時に(3)(青)(青)を支払う。そうしない場合、あなたはこのゲームに敗北する。

(アモンケットリマスター レア)
なんと0マナで撃てる確定カウンター。次のターン(3)(青)(青)の5マナを払わないとゲームに負ける。
マナコストを後払いにするというイメージだが、デメリットが強烈な上、支払うにしたって《取り消し》よりも圧倒的に高コストなので、普通のデッキには入らない。
つまりこれが入ってるデッキは普通じゃないってわけ。
まともに使えるようになるのが5マナ出るようになってからということで、マナコストは軽いが序盤は完全に役に立たない。
この手のカードの常だが、次のターンにコストを支払わなければならないなら、次のターンが来る前に勝てばいい。
そんなわけでこいつは主にコンボが通ればそのターンで必ず勝てるというコンボデッキで、コンボをごり押しするために使われる。
その他には、《試練に臨むギデオン》《白金の天使》など敗北を回避する能力をコントロールできるデッキでも使われる。
これらの使い方をする場合、どうせはなっからコストを支払わないので青が入ってすらいないデッキでも使える万能打ち消しと化す。
また、こいつは土地が全て寝ていても撃てる打ち消しという一面もある。
ミッドレンジ~コントロール系のデッキを相手にするときに光る要素で、土地が寝ているからと安心してフィニッシャーを唱えてくる相手に相当な衝撃を与えられる。
が、前述の通りデメリットが大きいのと劇的に刺さる場面は試合が相当後半になってからというところなので、この使われ方はあまりしない。
たぶんこれが一番正しい使い方なんだろうけど……。
いずれにせよこいつを使うということは普通じゃないデッキを組もうとしているということだ。心してかかるんだぞ。

《洗い落とし》

洗い落とし / Wash Away (青)
インスタント
切除(1)(青)(青)(あなたはこの呪文を切除コストで唱えてもよい。そうしたなら、角括弧の中の記述を削除する。)
〔オーナーの手札から唱えられていない〕呪文1つを対象とする。それを打ち消す。

1マナで唱えると手札以外から唱えられている呪文を打ち消し、切除で唱えると《取り消し》になる。
手札以外の領域といえば、墓地、ライブラリー、追放領域があり、それぞれ《奔流の機械巨人》《現実チップ》《表現の反復》など意外と使うカードは多い。
その手の呪文でなくても、3マナ用意できれば普通に確定カウンターとしても扱えるので結構便利。
かわったところでは、コピーされた呪文も、手札から唱えられているわけではないため打ち消せる。
また統率者はほぼ100%統率領域から唱えられるため、ほぼ100%打ち消すことができる。
そのためブロールの青絡みデッキでは100%積まれるカードである。

《対抗呪文》

対抗呪文 / Counterspell (青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

(ミスティカルアーカイブ 神話レア)
最強の打ち消し呪文として有名。禁止カード
禁止なのであまり使うことはないが、ヒストリック・ブロールではなんと現役。《書庫の鍵》の呪文書から拾ってくればヒストリックでも使える。
所詮は1:1交換、だがたった2マナで相手の予定を狂わせるという意味で圧倒的なカードパワーを誇る。
今の基準で考えると、相手を選ばない代わりに色拘束が強いという点がデメリットになっている気もする。でも青単なら関係ないから最強なのだ。
しかしまあ初動を打ち消してもいいし、フィニッシャーを打ち消してもいい。マルチな才能すぎて出し惜しみしてしまいがちだが、もったいながらずに使ったほうがいい。
こいつだけ1枚手札に残っても何にもならないのだから。

《記憶の欠落》

記憶の欠落 / Memory Lapse (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。その呪文がこれにより打ち消された場合、それをそのプレイヤーの墓地に置く代わりに、オーナーのライブラリーの一番上に置く。

(ミスティカルアーカイブ レア)
完全に打ち消すことができなくなった代わりに色拘束が薄くなった《対抗呪文》。禁止カード
打ち消してもデッキトップに置かれるため、次のターンにすぐ引いてまた唱えられてしまう……のだが、ものは考えよう。これ実はドローロックのカードである。
序盤、これで適当に打ち消しているだけで、相手には選択肢が増えないままこちらは普通にターンを進められるため、何ターンかのリードを取ることができる。
試合大詰めの緊急時には普通に打ち消しとして使ってもいい。その場合でも事実上の《対抗呪文》となる。
対象も制限がないため、あらゆるシーンで活躍する。ある意味《対抗呪文》よりも鬱陶しい。
青絡みのコントロールではほぼ4積み必須の恐るべき汎用性とドローロックという強力で不快なシステムを2マナのカードが持っていていいはずがないので、リリースから半年程度であっという間に禁止された。

《ティボルトの計略》

ティボルトの計略 / Tibalt's Trickery (1)(赤)
インスタント
呪文1つを対象とする。それを打ち消す。1か2か3を無作為に選ぶ。その呪文のコントローラーはその選んだ数に等しい枚数のカードを切削する。その後、その呪文と違う名前を持ち土地でないカードが追放されるまで、自分のライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していく。そのプレイヤーはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。その後、そのプレイヤーはそれらの追放されたカードを自分のライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。

(カルドハイム レア)
呪文一つを、別の呪文に作り替えてしまうインスタント。禁止カード
テキストに「打ち消す」とあるので便宜上紹介しておくが、これを打ち消しとして使うことはほぼ無い。
呪文1つをランダムに他の呪文に作り替えてしまうこと自体は赤らしいカオスな能力なのだが、自分の呪文にも撃てるのがおかしかった。
一応申し訳程度に切削を行うが、デッキ内部をデカブツだらけにしておけば確実に何かしら踏み倒せるので非常に強力。
土地2枚と0マナカード1枚、そしてこいつが1枚の計4枚が初手にあれば、一切の戦略を必要とせず2ターン目にゲームが終わってしまう。
当然やっててもやられても面白いもんではないし、初手の良し悪しだけでランクが変動したのではmtgのゲーム性の名折れなので、環境に姿を見せ始めた頃から爆速で禁止された。
初手で勝つかどうかがわかるという点から、ランク戦ではなくプレイの方で最速で勝利数を稼ぐために使われまくったのも良くなかったらしい。

《攪乱プロトコル》

攪乱プロトコル / Disruption Protocol (青)(青)
インスタント
この呪文を唱えるための追加コストとして、あなたがコントロールしていてアンタップ状態のアーティファクト1つをタップするか(1)を支払う。
呪文1つを対象とする。それを打ち消す。

(神河:輝ける世界 コモン)
追加でアーティファクトを1つタップするか、追加で1マナ支払わなくてはいけない《対抗呪文》。
「即席」がついた《取り消し》、ともいえる。
スタンでは団結のドミナリア以降、戦場に出しっぱなしにしておけるアーティファクトは山のようにあるので、かなり取り回しがいい。
文句をつけるとしたら色拘束が濃いために、青を基調としたデッキでないと唱えることもままならないということか。
アーティファクトデッキなら《金属の叱責》が1マナで撃てるのも向かい風。
初動でだぶついたりすると最悪(実体験)。《兄弟仲の終焉》は絶対に打ち消せ。

《取り消し》

取り消し / Cancel (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

(基本セット2021 コモン)
《対抗呪文》の調整版で、マナコスト以外は対抗呪文と同じ。
最近の確定カウンターは、こいつに多少のおまけを乗っけたものが標準となっており、そのためこいつは様々なカードの下位互換となってしまっている。
だがそれゆえに、他のカードを説明する際「○○ができるようになった《取り消し》」と説明できるために名前だけはよく出てくる。
基本的に実戦でこれを使うことはない。使うことがないので書くこともない。
しかし2マナと3マナでここまで扱いに差があるとはやはりマジックは難しいゲームである。

《無礼の罰》

無礼の罰 / Didn't Say Please (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。それのコントローラーはカードを3枚切削する。

(エルドレインの王権 コモン)
打ち消しとともに、その呪文のコントローラー(普通は対戦相手)のデッキを3枚切削する。
エルドレインの王権がスタンダードにいた頃は、《湖での水難》とともにディミーア・ローグの強さを支えたカードではあるのだが、ヒストリックに移行してからは微妙な性能。
ヒストリックでは墓地を利用するデッキは少なくなくかなりの割合で相手のサポートになってしまうことがあるからというのと、墓地を全く利用しないデッキであっても、3マナの打ち消しは重く、切削もわずか3枚削った程度ではさしたる効果もないからである。
やはりスタン当時と同じ、エルドレインの王権に存在する「相手の墓地の枚数」を参照するカードを組み合わせるのが基本の使い方であろう。
自分の呪文に撃って墓地肥やし……というのもなくはないが、あまりに効率が悪い。

《中和》

中和 / Neutralize (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
サイクリング(2)((2),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

(イコリア:巨獣の棲処 アンコモン)
サイクリング2が付いた《取り消し》。
一言でいうといぶし銀。打ち消しは相手によっては全く刺さらないこともあるが、これはサイクリングで他の手札に変化できるためそれを解消できる。
ほかの打ち消しと共存している際、手札でそれらがダブったときにこれをサイクリングすることでこれまた展開を早められる。
また、唯一の「単体で能動的に墓地に落とせる確定カウンター」でもあるので、《奔流の機械巨人》など墓地からインスタントを釣るインスタントに打ち消し性能を持たせることもできる。
性能が確定カウンターなのが偉い。サイクリング2なのも偉い。コントロールデッキのお守りみたいな存在。ピン積みしておくと何かと安心できる。

《襲来の予測》

襲来の予測 / Saw It Coming (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
予顕(1)(青)(あなたのターンの間、あなたは(2)を支払って、あなたの手札からこのカードを裏向きに追放してもよい。後のターンに、これの予顕コストでこれを唱えてもよい。)

(カルドハイム アンコモン)
素で撃つと《取り消し》だが、予顕しておけば色拘束の薄い《対抗呪文》として構えておける。
予顕さえしてしまえば打ち消しでありながらハンデスで落とされなくなるという特徴もある。
スタンダード当時は2ターン目にこれを予顕しておくことで圧倒的な利を構えることができたのだが、展開の早いヒストリックではやや速度不足。
予顕すると実質的な総コストが4になってしまうのも痛く、単体で考えると結構取り回しが悪い。
予顕は自分のターンでしかできず、しかも2マナもかかるのでかなりテンポを失うのである。
……のだが、これを予顕しておくことで相手に打ち消しを常に意識させるという効果があり、それはヒストリックでも十分戦略になる。
というかヒストリックで予顕されるとしたらこいつか《ドゥームスカール》くらいしかない。
中途半端に見えている確定カウンターほど恐ろしいものはないのである。
コントロールデッキからすると悪夢みたいな存在だ……。なんせ動きを"予測"されてるわけだから……。

《君は悪党の住処を見つけた》

君は悪党の住処を見つけた / You Find the Villains' Lair (1)(青)(青)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・企てを挫く ― 呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
・秘密を知る ― カード2枚を引く。その後、カード2枚を捨てる。

(フォーゴトン・レルム探訪 コモン)
打ち消すか、手札の質の向上をするか選べる《取り消し》。
コントロールデッキにとっては両方ともよく使う効果の組み合わせで、スタン当時はそれなりに便利だった。
カウンターを構えながら待ち、必要がなくなったらルーターにできるから1人2役だったわけである。
ヒストリック落ちしてからは、打ち消しとしてはまだしもルーティングの方はこれだけでは手札が減ってしまうし、もっと効率のいいルーターは他にもあるためこれを使いたい!という場面がかなり少ない。
カード名とかフレイバー語とかもなんとなく冗長に感じるしね……フォーゴトンレルムは全部だけど。

《雲散霧消》

雲散霧消 / Dissipate (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それを打ち消す。これによりその呪文が打ち消されたなら、それをオーナーの墓地に置く代わりに追放する。

(イニストラード:真夜中の狩り コモン)
打ち消した呪文を追放するようになった《取り消し》。
フラッシュバックや降霊を許さないため、真夜中の狩りリミテッドはもちろん、登場時のスタンでは割と見かけた。
が、3マナの打ち消しはやや重く、フラッシュバックはそもそも1回目を軽く、2回目は重くというデザインが多いため、実はこいつではまともな対処にならない。
それに世の中には別に追放しなくてもいい呪文の方が多いので、《かき消し》が登場するとめっきり見なくなった。
ただ、間が悪いというだけで弱いわけではない……が、ヒストリックでは再利用させたくないなら《安らかなる眠り》でも置いておけばいいので……。

《悪意ある妨害》

悪意ある妨害 / Sinister Sabotage (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
諜報1を行う。(あなたのライブラリーの一番上からカードを1枚見る。あなたはそのカードをあなたの墓地に置いてもよい。)

諜報1が付いた《取り消し》。
打ち消しによるアドバンテージを取りながら、わずか1枚ではあるもののデッキを掘り進めることができるため、それなりに、本当にそれなりに強いカード。
墓地を肥やしたりトップデックを操作したりすることは、どんなに些細でも有意義なことだ。
確定カウンターであり相手を選ばないので、これの優先度は意外と高い。
ところで、妨害に悪意がないことってあるのか?

《エネルギー吸収》

エネルギー吸収 / Absorb Energy (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それを打ち消す。あなたの手札にありその呪文と共通のカード・タイプを持つすべてのカードは「この呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。」を永久に得る。

打ち消した呪文のカードタイプによって手札の同じカードタイプの呪文のコストが減るメリットが付いた《取り消し》。
デジタルっぽい処理は結構好き。
打ち消したい呪文とコストを軽くしたい呪文が噛み合えばとても強いのだが、基本的に相手の出方次第なのでそこまでの強力さはない。
手札の呪文しか軽減されないので、常に多めの手札を抱えておかなければならず、純正のコントロール以外ではうまくいっても大したメリットにならないことも多い。
とりあえずインスタントを打ち消しておけばまるっきり外すということもないだろう。
アーティファクト・クリーチャーとかを打ち消せばアーティファクトとクリーチャー両方を軽減できるのでやや効率がいいかもしれない。
何も軽減できなくてもとりあえず《取り消し》相当なので損はない……はず。

《夢の破れ目》

夢の破れ目 / Dream Fracture (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。それのコントローラーはカード1枚を引く。
カード1枚を引く。

相手と自分に1枚ずつドローをもたらす《取り消し》。
手札の減らない打ち消しなので、防御しながらコンボパーツを揃えるために便利。
しかしお互いにドローする都合上、これだけだと実質的に0:0交換になっているため他の打ち消しよりもテンポやマナのアドバンテージを稼ぐことを意識する必要がある。
序中盤にやたらに撃つと相手の展開を逆に促進してしまうこともあるのでね。
《覆いを割くもの、ナーセット》などでドローを阻害しておけばより強力になる。
そういった点を考えても、後半に輝く打ち消しと言える。試合後半のドローはデッキに入っているパワーカードの割合そのものになるため。
かわったところでは、自分の呪文を打ち消せば2枚を元手に2ドローできたりもする。
試合後半、膠着状態に陥った際にはすこし使えるテクニック。
自分の呪文に《ドビンの拒否権》を撃たれるなどして対抗策がなくなったときにも少し使える。
が、あまりに効率が悪いので最悪の場合の緊急手段。

《アーテイの嘲笑》

アーテイの嘲笑 / Ertai's Scorn (1)(青)(青)
インスタント
このターンに対戦相手1人が2つ以上の呪文を唱えていたなら、この呪文を唱えるコストは(青)少なくなる。
呪文1つを対象とする。それを打ち消す。

(団結のドミナリア アンコモン)
相手が2つ以上の呪文を唱えていればコストが(青)減る《取り消し》。この手のコスト減少で色マナが減るのは珍しいね。
2枚目の呪文を唱えてそれがスタックに乗った時点で2つの呪文を唱えたことになるので、2マナで撃てるようになる。
3マナで撃たなきゃいけないのは1枚目の呪文だけということになる。
制限は軽そうに思えるのだが、使ってみると打ち消す対象は意外に慎重に選ぶ必要があり、環境に対する深めの知識を要求される。
しかし1ターンに呪文をふたつ唱えるというのは意外にも難しい条件だし、相手がこれを警戒して1枚しか唱えてこない可能性もある。その場合は1枚目を打ち消した方が得なのだが、3マナ払わなくてはいけないのだ。
1枚目の呪文に対しては《取り消し》と同等なので、結局3マナ立てておいた方が安心という本末転倒な感じもあったりなかったり。
しかし、4マナあるところで《稲妻の一撃》で2マナ使ったあと、それを挽回しようとした相手の次の呪文をこれで吹っ飛ばしたりできる。
タイトなマナ基盤でもアグレッシブに活躍できるカードであるといえよう。
ところでアリーナではオート操作モードにしておくと、唱えられる呪文や起動できる起動型能力がない際は優先権のスキップが自動で行われる。
相手に打ち消しがあるかどうかを確認するために、打ち消されてもいい呪文を先に投げることでブラフを確認するのはアリーナの基本戦略である。
そこで、2マナ立った状態でこいつを持っていると、相手の1枚目の呪文の時はノータイムでスキップされる。
相手が"打ち消し握ってないのか、じゃあ本命投げれるな"と判断してくれればしめたもの。
存分に「嘲笑」してやろう。

《不完全を拒絶せよ》

不完全を拒絶せよ / Reject Imperfection (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それを打ち消す。その呪文のマナ総量が3以下であるなら、増殖を行う。(望む数のパーマネントやプレイヤーを選び、すでにそこにあるカウンター1種類につき、そのカウンターをもう1個与える。)

(ファイレクシア:完全なる統一 アンコモン)
《取り消し》たのち、打ち消したのが3マナ以下だったなら増殖を行える。
通常、打ち消しというのはマナコストが大きな呪文を打ち消した方がアドバンテージなので、どうだっていいような小さな呪文は素通りさせるのがセオリーなのだが、これは小さな呪文でも一応のアドバンテージを確保できる。
同弾の《終焉よ来たれ》とめちゃくちゃバッティングする。向こうは堕落を達成していれば《対抗呪文》になるし、達成していなくても《火消し》と同性能という超が付く有能だからだ。
なのでこちらは毒カウンターよりもプレインズウォーカーや他のカウンターを使うデッキに合っている。
おおよその除去呪文は3マナ以下なので、それを打ち消してプレインズウォーカーの忠誠度を上げるとかなりスマート。
増殖の例にもれず、カウンターが乗っているパーマネントが多ければ多いほどこの呪文の価値も上がっていくので、唱える場面は選んだ方がいい。
のだが、3マナ以下の呪文じゃないと増殖できない。
打ち消しもだいたい3マナ以下なのでそれ用に使いたいが、こいつも3マナなのでそうなるとかなり撃ちにくい。なかなか扱いが難しいもんだ。

《不許可》

不許可 / Disallow (1)(青)(青)
インスタント
呪文1つか起動型能力1つか誘発型能力1つを対象とし、それを打ち消す。(マナ能力は対象にできない。)

(カラデシュリマスター レア)
呪文のみならず、能力までも対象に取れるようになった《取り消し》。重くなった代わりに呪文も打ち消せるようになった《もみ消し》。
能力を打ち消せるのは他の打ち消しにはない大きな利点。
《寓話の小道》など自身の生け贄など起動にコストが必要な起動型能力を打ち消すと非常においしい。
処理が間に合わず起動されてしまったプレインズウォーカーの奥義などでも関係なく打ち消せるため、後手後手になっても一矢報いることができる。
通常打ち消しは出る前に対処するために撃つのが基本だが、これは出てからも対処が間に合うのでほかとは毛色が違う。
逆に自分のパーマネントのデメリット能力を打ち消すためにも使える。
弱点はやはり3マナとコストがやや重いことと、単純に能力を打ち消すだけではアドバンテージにつながりにくいというところ。
単純に能力をどうにかしたいだけなら《もみ消し》があるしね。
他の打ち消しよりもタイミングが重要な、打ち消しらしい打ち消し。

《魔術師の反駁》

魔術師の反駁 / Wizard's Retort (1)(青)(青)
インスタント
あなたがウィザード(Wizard)をコントロールしているなら、この呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

(Jumpstart アンコモン)
ウィザードをコントロールしていれば《対抗呪文》になる《取り消し》。
mtgは魔法使いのゲームなので置いておくウィザードには事欠かない。そのため2マナの確定カウンターとしては割と高い位置にいる。
唯一の弱点はその色拘束。青単なら全く問題はないが、《対称の賢者》を採用するタイプの青赤アグロなど、ちょっとでもデッキの色が増えるともう使いづらくなるのが痛い。
せっかくの2マナなのだから、1ターン目にウィザードを置いて2ターン目にこれを構えておきたいところだが、そうすると両方とも島かショックランドじゃないといけないのだ。
青のウィザードシナジーカードはいろいろとあるので、あまり急ぎ過ぎず青濃いめのコントロール気味に組んだデッキでも真価を発揮することだろう。

《イオン化》

イオン化 / Ionize (1)(青)(赤)
インスタント

呪文1つを対象とし、それを打ち消す。イオン化はその呪文のコントローラーに2点のダメージを与える。

《対抗呪文》+《ショック》。
打ち消しにダメージがくっついてくるので、アグロデッキでの打点稼ぎにうってつけ。
アグロデッキは3,4ターン目には既に展開が終わってることも多いため、3マナ浮かせておくのもそう難しい話ではない。
《僧院の速槍》や《損魂魔道士》を除去しようとした相手の呪文を打ち消すことで、これで2点、果敢分で1点とかなり得をすることができる。
盤面にさほど影響のないような呪文を打ち消してもとりあえず2点分は稼げるため、常に一定の役割を持つ。
が、その手のデッキでは3マナ出せるなら他にも選択肢は多いため、これを抱えているよりも普通の火力でアグレッシブに動いた方が結果的に勝利が近づくこともある。

《大魔道師の魔除け》

大魔道師の魔除け / Archmage's Charm (青)(青)(青)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
・プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカード2枚を引く。
・マナ総量が1以下で土地でないパーマネント1つを対象とし、それのコントロールを得る。

「魔除け」のひとつ。モードのひとつに確定打ち消しがある。
3マナは打ち消しとしては及第点だが、ドローとコントロール奪取のモードもあるため、非常に腐りにくい。
圧倒的な色拘束を持つため、入るデッキをかなり選ぶ、ぐらいしか弱点がない。
モダンホライゾン産のカードであるため、パイオニアレベルであるヒストリックの中では異彩を放つ強さである。
コントロール奪取はマナ総量1以下と範囲が狭く見えるが、トークンはすべてマナ総量0なので《キオーラ、海神を打ち倒す》で出てくるアレ以外ほとんど盗める。
ヒストリックでは、呪禁が付いていないトークンはどんなに強くてもコイツで盗まれてしまうため注意が必要。
「ターン終了時まで」と書かれていないので、一度奪われたらもう戻ってこない。
ドローも3マナ2ドローとかなり実用的な範囲内。対応打ちでちゃんとアドバンテージを取れる有能さ。
青マナ3つとかいう強烈なコストに見合う青系のコントロールデッキで最強のカード。
モダホラからなぜか特別収録されたカードだが、もはや違法輸入と言っても過言ではない。強すぎて味気なくつまらないくらいだ。

《悪賢い隠蔽》

悪賢い隠蔽 / Devious Cover-Up (2)(青)(青)
インスタント
呪文1つとあなたの墓地にあるカード最大4枚を対象とする。その前者の呪文を打ち消す。その呪文がこれにより打ち消されたなら、それをオーナーの墓地に置く代わりに追放する。あなたは「その後者のカードをあなたのライブラリーに加えて切り直す。」を選んでもよい。

(イニストラード:真夜中の狩り コモン)
4マナの確定カウンターで、打ち消したあとは追放する。そのあと、墓地にあるカード最大4枚をライブラリに戻すことができる。
0枚を戻して切り直すことも可能。占術や《表現の反復》でライブラリの下に行ったカードを掘り起こすこともできるようなできないような。
打ち消しとしてはかなり弱いので、ライブラリを補填する能力の方を重視して採用したいカード。
せめて相手の墓地のカードも対象に取れたらまだ使い道があったんだけどな。
選択式のドローで墓地に落ちたが、踏み倒す際などライブラリ内にあってほしいカードを戻す役割でごくまれに採用されることがある。
あと地味だけど行き過ぎたドローで身を亡ぼすことを防止してくれる。コントロールでコントロールを相手にしているとたまにこれが起こるんだよ。
ライブラリアウトデッキにも効きそう……だが実のところ、今のLOデッキは爆速でライブラリを削ってくるため4マナで4枚程度戻したところで到底間に合わない。
早めのデッキ相手には完全にでくの坊。イラストにもカカシが映ってるしそういうことか?

《ウルザの拒絶》



《テフェリーの構え》



《吸収》

吸収 / Absorb (白)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。あなたは3点のライフを得る。

《対抗呪文》+《治癒の軟膏》。確定カウンターをしたのち、3点回復を行う。
たかが3点されど3点、テンポを取りながらライフ差も付けられるのでコントロールデッキにおいてはまさに遅延を体現したような能力で非常に噛み合っている。
問題はその激しい色拘束。白青以外ではなかなか撃てない。
が、序盤の遅延が必要なのはむしろ白青なので、デッキに合っているとも言える。

《記憶流出》



《過充電縫合体》



《巻き直し》



《放逐》



《同族の否定》

同族の否定 / Kindred Denial (2)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それを打ち消す。マナ総量がその呪文と等しいカード1枚を抽出する。

《取り消し》が1マナ重くなった代わりに、打ち消した呪文と同じマナ総量のカードを抽出する。《放逐》とほぼ同じ。
手札が減らない打ち消しは強力だが、4マナと重いのが弱点。
相手の唱えた呪文によって手に入るカードが変わってくるためドローと感覚が違いが、単純なドローとは違いデッキ内にそのマナ総量のカードが入っていなければ、これは何も抽出しない。
相手と同じフィニッシャーを採用していれば、相手のそれを吹き飛ばしてこちらの手札に抽出することもできる…かも。
「同族の否定」とはよく言ったものだな。

《即時却下》



《復活したアーテイ》



《疑惑の裏付け》



《呪文詐欺》



《崇高な天啓》



《不連続性》

不連続性 / Discontinuity (3)(青)(青)(青)
インスタント
あなたのターンであるかぎり、この呪文を唱えるためのコストは(2)(青)(青)少なくなる。
ターンを終了する。(このカードを含め、スタックから呪文や能力をすべて追放する。現在のターンを進行しているプレイヤーは、自分の手札の上限までカードを捨てる。ダメージは消え、「このターン」と「ターン終了時まで」の効果は終わる。)

(基本セット2021 神話レア)
厳密には打ち消しではないが、実質的な打ち消しとして機能するため紹介します。
「ターンを終了する」というたぐいまれな能力を持つ。このターンを終了する操作の中に、"スタック上の呪文や能力をすべて追放する"とあるため、相手の呪文が唱えられスタックに乗ったときにこいつを唱えることで、相手の呪文もまるごと追放することができる。
追放なので「打ち消されない」呪文でも関係なくなかったことにできる。
単純な追加ターンカードと違い、相手が唱えた呪文を打ち消しつつ能動的に自分のターンを開始できるため、相手の算段を相当崩すことができる。
自分のターン中ならなんと2マナで撃てる。自分で自分のターンを終わらせて何が面白いのかと思うだろうがものはためし。
単純なところでは、こっちのターンの終わりに相手が唱えてくる《成長のらせん》を吹っ飛ばしたり、自分の《栄光の好機》などターンの終わりに誘発するデメリット遅延誘発型能力を吹っ飛ばしたりする。
これを唱えると、画面いっぱいに時計が1周進むエフェクトが出る。何から何までスタイリッシュ。


◆条件付きカウンター◆

《虚空の杯》

虚空の杯 / Chalice of the Void (X)(X)
アーティファクト
虚空の杯はその上にX個の蓄積(charge)カウンターが置かれた状態で戦場に出る。
プレイヤーが、この上に置かれている蓄積カウンターに等しいマナ総量を持つ呪文を1つ唱えるたび、その呪文を打ち消す。

これの上に置かれている蓄積カウンターの個数と等しいマナ総量を持つ呪文をすべて打ち消してしまう置物。
アグロ系のデッキへの強烈な回答。デッキの大部分を軽量の呪文で固めているデッキにとっては、X=1で置かれるだけでかなり厳しい展開を強いられることになる。
しかし、この能力は自分にも影響を及ぼすので、自分のデッキには入っていないボーダーを選ばないと自滅行為にもなる。
したがってこのカードは、「相手のデッキに合わせたサイズで唱えて行動を阻害する」ではなく、X=0とか1で唱えてアグロのデッキプランを破壊することを目的として採用される。
高くてもX=2がせいぜいだろう。それ以上は後手後手となりがちだし、効きも悪くなる。
X=0で刺さるカードは、現状では《羽ばたき飛行機械》《頭目の神官》で創出されたMoxen、ケシスコンボの《モックス・アンバー》ぐらいしかない。
しかしながらアグロでも1マナ2マナのカードしか入っていないというわけでもないので、アグロだからこれが刺さる、と一辺倒には決められないのも弱点と言えば弱点。
絢爛やマッドネスの呪文は、支払うコストと形式上のマナ総量が異なる場合もあるからね。
また、カウンターを参照する能力であることを生かし、増殖を繰り返すことで望んだマナ総量まで引き上げることはできる。
しかしコイツの誘発型能力は「呪文を唱えるたび」に誘発なので、相手の呪文を見てからインスタントタイミングで増殖しても、それだけではその呪文を打ち消すことはできない。
それにやはり自分にも影響があることが災いし、増殖を行うカードを打ち消してしまったりもするので冗長だし難易度は高い。
あとアーティファクトなので当然割られることもある。
うまく置けたからと言って信頼を置きっぱなしにしてのんびりコントロールしていてはいけない。

《断れない提案》

断れない提案 / An Offer You Can't Refuse (青)
インスタント
クリーチャーでない呪文1つを対象とする。それを打ち消す。それのコントローラーは宝物(Treasure)トークン2つを生成する。(それらは、「(T),このアーティファクトを生け贄に捧げる:好きな色1色のマナ1点を加える。」を持つアーティファクトである。)

軽くなった代わりに相手の宝物2つという賄賂を贈る《否認》。
軽いのは便利だが、使い捨てとはいえ相手のマナ基盤に2つのリードを与えるのは、特に序盤ではとんでもないデメリット。
能動的に扱うには《大いなる創造者、カーン》などアーティファクトに対する準備が整える必要がある。
しかしデュエル終盤では2マナ与えたところで大したデメリットにならない可能性もあり、相手の大物手を1マナでぶっ飛ばせると考えると、序盤に弱く終盤に強いカードと言える。
また相手がノンクリーチャーデッキなら、これで宝物を送り、それによって唱えられた大きな呪文を2枚目のこれで打ち消すという嫌がらせじみたプレイも考えられる。
……のだが、デュエル終盤に使うならそもそも《否認》で事足りるため、結局は序盤からアグレッシブに動くアグロ向き。
序盤に強力なクリーチャーを出すが、それを除去されると詰むというタイプのアグロではまさしく「断れない提案」としてはたらくことだろう。
打ち消されそうになった自分の呪文に使うってのもあり。少なくともマナブーストにはなる。

《軽微なつまづき》

軽微なつまづき / Minor Misstep (青)
インスタント
マナ総量が1以下である呪文1つを対象とする。それを打ち消す。

マナコストが0か1である呪文だけを打ち消せる。非常に軽いかわりに範囲が非常に狭い。
0マナ1マナのカードでも《魂の管理人》や《ドラゴンの怒りの媒介者》、《思考囲い》、《考慮》などよく使われるものがあるが、一般的にはカードパワーが低いため普通のデッキには入らない。
そのためこれが使える場面というのはかなり限られる。
先攻なら相手の1マナカードに間に合うが、後攻だと間に合わないという間の悪さもある。
が、ヒストリックでは《夢の巣のルールス》が現役でありローコストデッキはまあまあ見かけるため、サイドインしておけば相手の出鼻をくじけるかもしれない。
《改良式鋳造所》とかいう目下一番の標的もあるしね。
1マナハンデスが死ぬほど嫌いならサイドに入れておいても……ほかに選択肢がないのならそれでもいいだろう。
ちなみにマナコストに(X)を含む呪文は、スタック上ではXに代入した値分のコストを持つので、これでは打ち消せない(ことが多い)。

《侵襲手術》



《儀礼的拒否》

儀礼的拒否 / Ceremonious Rejection (青)
インスタント
無色の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

無色の呪文ならなんでも1マナで吹っ飛ばす。
《霊気池の脅異》や《見捨てられた碑》《不滅の太陽》《パラドックス装置》、《大いなる創造者、カーン》など無色には置かれたら終わるカードが多いため、それらをよく見るなら入れておくとアドバンテージを確保できる。
が、これらは専用デッキ以外ではほぼ入らないので、仮想敵がかなり限られこいつをメインから採用するのは難しい。
しかもその手のデッキはそのへんのカードをバンバンぶん投げてくるので1枚打ち消したところで何にもならない場合も多い。
無色のカードはどの色のデッキにも入れる気になれば入れられるため調整が難しいらしく、現在では無色でとてつもなく優秀なカードというのが少なくなってきているのも弱点。
新しめのカードでも継続的にアドバンテージを生み出す《勢団の銀行破り》とかもあるにはあるが、置かれたら即負けというほどでもないしね。
なのでこいつは無色を基調としたデッキに対し遅延して《告別》などの全体除去を間に合わせる使い方がいいかもしれない。

……というのがこれまでのこいつの評価だったのだが、指輪物語にてアリーナでも有数のどんなデッキにも100%入るアドバンテージの塊こと《一つの指輪》が収録されたため、メインから突っ込んでもいいカードになった。
《一つの指輪》は「使いたくないから」以外にはデッキに入れない理由がないほどのパワーカード。俺は使いたくないから使っていないが……。
禁止か制限がかかるまでは《儀礼的拒否》の出番もそれなりにはあるだろう。

《もみ消し》

もみ消し / Stifle (青)
インスタント
起動型能力1つか誘発型能力1つを対象とし、それを打ち消す。(マナ能力は対象にできない。)

能力を打ち消す打ち消し。スタックに乗る能力ならなんでも打ち消せる。
能力はデュエルのおおよそを占めるので打ち消す対象自体は数えきれないほどあるし、こいつ自身の軽さも相まって刺さらない相手がほとんどいないのが特長。
だが、打ち消すためには1マナとこの手札1枚を使うためなんでもかんでも打ち消せばいいわけではない。
通常の打ち消しでは対応できない、パーマネント、特に土地の起動型能力を打ち消せるのが大きな利点。
プレインズウォーカーの大マイナスの忠誠度能力とか、コストとしてパーマネント自身を生け贄に捧げたりする単発の能力を打ち消すと非常においしい。
しかしクリーチャーの登場誘発能力とかはまだしもだが、置き物の毎ターン誘発する能力とかだとこれでは根本的な対処にならないので効果はやや薄い。
どれを打ち消してどれを通すかを決めるアドリブ力が非常に問われる。
もう一つの使い方として自分のデメリット能力を打ち消すためにも使える。
《水蓮の原野》とのコンボはもはやおなじみ。

《白鳥の歌》

白鳥の歌 / Swan Song (青)
インスタント
エンチャント呪文1つかインスタント呪文1つかソーサリー呪文1つを対象とし、それを打ち消す。それのコントローラーは、飛行を持つ青の2/2の鳥(Bird)クリーチャー・トークンを1体生成する。

軽いかわりに相手に2/2の飛行クリーチャーをプレゼントする《否認》。アーティファクトとプレインズウォーカーは打ち消せない。
2/2の飛行はそれなりなサイズのクロックだが対処不可というほどでもないし、それをバウンスやコントロール奪取などでどうにかできるなら相当強い。
あるいは自分の呪文を打ち消して自分に2/2飛行を生成してもいい。
弱点というか使いづらいのは、範囲が絶妙に狭いこと。
エンチャントとインスタントとソーサリーしか対象に取れず、相手のフィニッシャーを待ちながらというのができないため、アグレッシブに使うほかない。
しかし《鏡割りの寓話》をはじめ打ち消す対象自体には困らないので、使ってみると意外に便利。
コントロールやパーミッション相手に不用意に唱えるとこのクロックで押し切られることもある。注意。

《無効》

無効 / Annul (青)
インスタント
アーティファクト呪文1つかエンチャント呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

効果が狭まった代わりに軽くなった《否認》とかか?
狭くなったとはいえ、アーティファクトもエンチャントもいろいろなデッキで潤滑油的に採用されており、またそれに専門化したデッキはいつの時代も存在するので打ち消す対象は多い。
《太陽冠のヘリオッド》《運命の神、クローティス》などフィニッシャーを兼ねた破壊不能持ちも問題なく吹っ飛ばせるのが快感だ。
《安らかなる眠り》《耳の痛い静寂》《厳粛》などのロック系、《鏡割りの寓話》《エスパーの歩哨》などのアグレッシブなアドバンテージカード、アーティファクト・クリーチャーやクリーチャー・エンチャントも問題なく対象に取れる。
というわけだが、効果が狭い打ち消しは相手によって効果の大きさがだいぶ変わるため、結局はサイド向き。メインには1,2枚積むのがせいぜいだろう。
置き物はなんせ攻撃してこないので、出てから破壊でも打ち消しと大差ないことも多いのだ。

《払拭》

払拭 / Dispel (青)
インスタント
インスタント呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

範囲が狭まった《否認》シリーズ。
インスタントが全く入っていないデッキというのはおそらく存在しないため、この手の範囲限定系軽量打ち消しの中ではかなり使いやすい方。
打ち消しはその都合上ほとんどがインスタントであるため、打ち消し合戦に非常に強い。
《成長のらせん》や《銀の精査》《記憶の氾濫》などの対応打ちされるアドバンテージソースにも強い。
が、フィニッシャーがインスタントというデッキは少ないため、モタモタキープしているとすべてに間に合わなくなる。
迷うくらいならバンバン撃って遅延したほうがいい。というかそのための軽さである。
打ち消しだけを相手取るなら《神秘の論争》の方が汎用性があるが、こちらは黒や白の除去の他コンバットトリック全般、更に《集合した中隊》なども1マナで落とせるのが特長。
瞬速持ちには効果がないので気を付けようね。

《軽蔑的な一撃》

軽蔑的な一撃 / Disdainful Stroke (1)(青)
インスタント
マナ総量が4以上である呪文1つを対象とする。それを打ち消す。

コストが4以上である呪文を打ち消す。
アグロでないデッキではおおよそのフィニッシャーは4マナ以上であることが多く、4マナ以上であればカードタイプも問わないため大物を打ち消すのにうってつけ。
なんらかの効果でコストが軽減されたり踏み倒されて唱えられた呪文でも、それのもともとのマナ総量が4マナ以上なら対象に取れる。
でもマナ総量自体が変更されている「試作」などには効かない。(X)を含む呪文や、フラッシュバックやキッカー、切除などマナ総量が3以下だが支払うコストは大きいというような呪文も対象に取れない。
相手のフィニッシャーを打ち消す、すなわち「相手が払ったコストよりも軽いコストでテンポアドバンテージを取る」という点においては非常に便利。
環境トップにずっといる《黙示録、シェオルドレッド》《一つの指輪》などは最高の対象だ。
一方で3マナ以下にも脅威はたくさんあるし、除去や打ち消しなど軽めの呪文に全く対応できないため入れ得というわけでもない。
非常に受け身なカード。
雑魚を相手にしないために見かけ上のコストパフォーマンスが高いというわけ。大物以外は無視だ無視。
でも雑魚専じゃなくて大物も軽蔑するってのは気概を感じるね。

《惑乱スプライト》



《組立分解》



《物語の終わり》

物語の終わり / Tale's End (1)(青)
インスタント
起動型能力1つか誘発型能力1つか伝説の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

1マナ増えて伝説の呪文も打ち消せるようになった《もみ消し》。
伝説の呪文は普通、デッキに複数枚採用されにくいため範囲が狭く感じるが、《統べるもの、ジョダー》など伝説であることをメリットにするカードも多く意外にも一定の汎用性がある。
少数採用されている伝説の呪文も、それだけで大きなアドバンテージを産むシステムクリーチャーだったりするしね。
もちろん普通に能力を打ち消す《もみ消し》として使ってもいいため、思っているよりは使い勝手がいい。
プレインズウォーカーは性質上すべて伝説の呪文なので、確実に打ち消せる。
《もみ消し》では忠誠度能力を打ち消すことしかできなかったため、これは大きな利点。
カードが伝説かどうかというのは普段はあまり気にしないが意外な呪文が伝説だったりするので、使ってみると結構楽しい。

《否認》

否認 / Negate (1)(青)
インスタント
クリーチャーでない呪文1つを対象とする。それを打ち消す。

クリーチャー以外なら2マナでなんでも打ち消せる。打ち消しの定番。
条件付きカウンターの中では非常に範囲が広く、クリーチャーは召喚酔いという大ルールがあるため大抵除去でなんとでもなる中で、そうならないインスタントソーサリープレインズウォーカーなど通したらディスアドが確定する呪文を打ち消せるこいつはかなりよく使われる。
クリーチャー以外は、これの存在を前提として動いた方がいいくらい。
使ってみると分かるが、範囲が広すぎるため、どれを通してどれを打ち消すか見極めるのが重要になる。

《本質の散乱》《本質の把捉》

本質の散乱 / Essence Scatter (1)(青)
インスタント
クリーチャー呪文1つを対象とする。それを打ち消す。


本質の把捉 / Essence Capture (青)(青)
インスタント
クリーチャー呪文1つと、あなたがコントロールしているクリーチャー最大1体を対象とする。その前者の呪文を打ち消す。その後者のクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。

ほとんど同じ。散乱は打ち消すだけで、把捉は+1/+1カウンターのおまけがつくが、色拘束が濃い。
これは「手札から唱えられて出てくる、強力な登場誘発能力を持ち、マナコストの大きなクリーチャー」に劇的に刺さる打ち消し。
クリーチャーへの対処といえばまず黒や赤、白の除去がある。そちらが「出てから対処」だとするならこちらは「出る前に対処」である。
普通のクリーチャーはソーサリータイミングでしか出てこないし召喚酔いもあるため、出てから対処でも十分に間に合うのだが、それだと出た瞬間に能力を発揮するクリーチャーには後れを取る。
そこで青の「出る前に対処」だ。戦場に出る前に打ち消してしまえば能力自体発揮されないから、こちらに大きな分があることになる。
しかし打ち消しでは基本的に1:1交換にしかならないという弱点もある。
つまり多少は対処されることを前提で大量にクリーチャーをぶん投げてくるデッキに対しては、全体除去がある「出てから対処」の方に分があるといえる。
こいつが輝くのは、マナクリーチャーから《探索する獣》など4,5マナ域のデカブツを唱えてくる安物系の緑デッキに対するとき。
一方で、ヒストリックではクリーチャーをまったく採用しないデッキというのも少なくない。
また少数精鋭で「打ち消されない」という能力を持ったクリーチャーを採用している場合もある。《船砕きの怪物》とかね。
だから単に強いクリーチャーが出てくるデッキ相手だからといってこいつが使えるかというとそうでもない。
本当に対処に困るクリーチャーは大抵リクルートとかリアニメイトとか「唱える」というプロセスを経ずに戦場に出てくることが多くて、これでは打ち消すタイミング自体なかったりしますからね……。

《ドビンの拒否権》

ドビンの拒否権 / Dovin's Veto (白)(青)
インスタント
この呪文は打ち消されない。
クリーチャーでない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

(灯争大戦 アンコモン)
色拘束が強いかわりに打ち消されない《否認》。
基本的な性能は《否認》と同じだが、これは確実に通るので対コントロールで特に真価を発揮する。クリーチャーでない呪文と範囲が広いためメインからでもバンバン積まれる。
白青系のコントロールにはまず間違いなくこれが入ってるとみて間違いない。
置かれたら死につながるようなまずい置きものやプレインズウォーカーを安全に確実に打ち消せる安心感はこれでしか味わえないフレイバーである。
とりわけコントロールでコントロールと相対する場合には万能打ち消しと化すため、このカードを握っている方が圧倒的な有利を取ることができる。
とはいえ無敵のカードではなく、自分のフィニッシャーを無理やり通すという方向の使い方は合わなかったりする。
これは打ち消されないので相手の打ち消しは確実に打ち消せるが、もう一度改めて打ち消しを撃たれる可能性があるからだ。
相手のフィニッシャーを打ち消すという方向では向かうところほとんど敵なし。
フィニッシャーにこいつを撃たれたとすると避ける方法は「《ゼロ除算》などの呪文バウンス」「《二重の一撃》《ナーセットの逆転》《石成エンジン》などスタック上の呪文をコピーするタイプのコピー呪文でコピーする」などかなり限られたものしかない。
あるいは……クリーチャーを使うか、起動型能力で戦うのが最強の対策ではある。

《守秘義務》



《安全維持》

安全維持 / Keep Safe (1)(青)
インスタント
あなたがコントロールしているパーマネントを対象としている呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
カードを1枚引く。

(イコリア:巨獣の棲処 コモン)
自分のパーマネントを対象にした呪文を打ち消す。キャントリップ付き。
額面だけ見ると割と便利そうなのだが、非常に受け身なカードであり打ち消す対象には結構ことかくので意外にも使い勝手は悪い。
パーマネントを対象に取る呪文というのはおおよそがインスタントかソーサリーなので、《否認》の方が範囲が広く安心できる。
クリーチャーのETB能力のような誘発型能力での除去には対応できないし、受けに特化してあるパーミッションやランプなどではそもそもこちらの動きに一切干渉してこないパターンも多く、打ち消しとしてのうまみを得にくいのもある。
どっちかというと《英雄的介入》とか《タミヨウの保管》みたいなパーマネントを守ることにご執心のカードに近いのだが、あちらはそのターン中であればずっと呪禁や破壊不能が得られるのに対し、こちらは1枚打ち消したら終わりなので、2つめの除去呪文を投げられたら結局除去されてしまうという抜け穴もある。
キャントリップが付いてはいるが、打ち消し呪文という都合上コピーして複数ドローができない不器用さもある。
最近は布告除去が主流になりつつあるのも逆風。布告は対象を取らないので、こいつで対応できないのだ。当然全体除去にも無力。
どうしても手札を減らしたくなくて、なおかつ1つのパーマネントをひたすら維持していないといけないデッキでようやくまな板に乗ってくるかどうかというところ。
唯一、《マグマ・オパス》や《稲妻のらせん》などのおまけがたくさんついた除去・火力呪文を打ち消すと非常に大きなアドバンテージを得られるという点もあるが、まあ《否認》でいいわな。
かわったところでは《石の雨》など割と守りづらいクリーチャーでないものを除去してくる呪文に対応できる。だけどまあ《否認》でいいわな。

《新緑の命令》

新緑の命令 / Verdant Command (1)(緑)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
・プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは緑の1/1のリス(Squirrel)・クリーチャー・トークン2体をタップ状態で生成する。
・プレインズウォーカーの忠誠度能力1つを対象とする。それを打ち消す。
・墓地からカード1枚を対象とする。それを追放する。
・プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは3点のライフを得る。

モダホラから密輸されてきた命令。モードのひとつに、プレインズウォーカーの忠誠度能力のみを打ち消せる能力がある。
緑の打ち消しは大変珍しいが、「プレインズウォーカーの忠誠度能力のみ」という恐ろしく狭い範囲を狙い撃ちにしたもので、やはり青のような汎用性はない。
こいつの魅力は打ち消しではなく、たった2マナのインスタントで2体もトークンを出せること。
打ち消しと墓地対策とライフ回復はおまけ。中でもライフ回復はタイミングを選ばないので、基本的にトークンと回復を選ぶことになる。

《敏捷な妨害術師》

敏捷な妨害術師 / Nimble Obstructionist (2)(青)
クリーチャー — 鳥(Bird) ウィザード(Wizard)
瞬速
飛行
サイクリング(2)(青)((2)(青),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)
あなたが敏捷な妨害術師をサイクリングしたとき、あなたがコントロールしていない起動型能力1つか誘発型能力1つを対象とし、それを打ち消す。
3/1

サイクリングしたときに《もみ消し》を放てる。
3マナの《もみ消し》と言えば《不許可》があるが、こちらはサイクリング誘発型能力なのでアドバンテージを失わず、更に能力による打ち消しなので妨害されづらいという特長がある。
クリーチャーとしても瞬速持ちの3マナ3/1飛行持ちと悪くない性能。
《厚かましい借り手》とほぼ同じだしね。
呪文を対象に取れないという打ち消しとして最大の弱点があるため、どのデッキにも入るわけではないが使い道が多く使いやすい。
また、この打ち消しは単なる誘発型能力なので、対象に取れる能力がスタック上にないときにサイクリングしても問題はない。
その場合はサイクリングと打ち消しがスタックに乗るが、打ち消しの方が対象不適正で立ち消え、サイクリングのみが効果を発揮する。

《退路無し》

退路無し / No Escape (2)(青)
インスタント
クリーチャーかプレインズウォーカーである呪文1つを対象とし、それを打ち消す。これによりその呪文が打ち消されたなら、それをオーナーの墓地に置く代わりに追放する。
占術1を行う。

すこし範囲が広くなった《存在の否定》。ついでに占術1も行う。
ノンクリーチャーデッキにはプレインズウォーカーが積まれていることが多いので、その手のデッキに対しても最低限の影響力はある。
プレインズウォーカーは墓地利用しづらく、まともに唱えられることがほとんどなので、打ち消しが割とちゃんと効くのが大きい。
が、よく考えて欲しい……3マナの打ち消しなら《取り消し》があるということを……。
範囲が狭い代わりに軽いというアドバンテージを失っていることに気付いてからが本気だ。

《巻き戻し》

巻き戻し / Unwind (2)(青)
インスタント
クリーチャーでない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。土地最大3つをアンタップする。

1マナ増えてフリースペルになった《否認》。
似た立ち位置に《巻き直し》がある。そちらは確定カウンターだが4マナ。
実質無料で唱えられるのでかなりお得だが、当然浮いたマナを使い切る算段が必要なので、単に《否認》の代わりに使うと1マナ重いだけになる。
しかし打ち消した上で3マナも得するので、起動型能力を起動したりドロースペルを対応打ちしたりと使い道は非常に多い。
フリースペルというとやはりコピーしたり再利用したりしてマナを浮かせまくりたいところだが、打ち消しはコピーに向かないのでなかなか難しい。
コピーすること自体は可能だが、唱えるのにスタック上の呪文が必須であるうえ、コピーした打ち消しが効果を発揮してしまうと対象不適正で元の打ち消しが立ち消えてしまうため。
コストを軽減して撃とうにも、それなら《巻き直し》を使った方が範囲も起こせる土地も多いというジレンマがある。
《否認》と同じく、単純なクリーチャー主体のアグロミッドレンジにはほぼ無力なところも弱点のひとつ。
対コントロール特化みたいなカード。

《ゼロ除算》

ゼロ除算 / Divide by Zero (2)(青)
インスタント
マナ総量が1以上の、呪文1つかパーマネント1つを対象とする。それをオーナーの手札に戻す。
履修を行う。(あなたは、ゲームの外部からあなたがオーナーである講義(Lesson)カード1枚を公開しあなたの手札に加えるか、カード1枚を捨てカード1枚を引くか、どちらかを行ってもよい。)

(ストリクスヘイヴン:魔法学院 アンコモン)
厳密には打ち消しではなくバウンスだが、《記憶の欠落》と似た実質的な打ち消しである。呪文のバウンスを行うカードはかなり珍しい。
こいつの強い点は「バウンスなので打ち消されない呪文でも一旦保留にできる」「唱えても履修で手札が減らない」「打ち消しとしてもバウンスとしても使える」と多岐にわたる。
一応条件付きカウンターではあるが、その条件もマナ総量が1以上という圧倒的な広さを持ち、そこも魅力の一つ。
本来ならコントロールの天敵である「打ち消されない」を持ったフィニッシャーでも、こいつで割り算してしまえばとりあえず1ターンは凌げる。
履修で《殲滅学入門》か《謹慎補講》でも持ってくれば、次のターン召喚され直すのも抑制でき非常に便利。
土地やトークンは対象に取れないので、やはりバウンスとしてよりも打ち消しとしてデザインされているのではないだろうか。
弱点は3マナとやや取り回しが悪いことと、バウンスなので次のターン唱え直されてしまうことぐらいだったのだが、そのデメリットに対しお手軽にフィニッシャーを先延ばしにできる性能が買われ採用され続けたためスタンダードで禁止になった。
ヒストリックでは問題なく4枚使えるが、履修はサイドボードを圧迫するためかあまり見かけない。

《精髄の吸引》



《存在の否定》



《除外》



《クアンドリクスの命令》

クアンドリクスの命令 / Quandrix Command (1)(緑)(青)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
・クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を対象とする。それをオーナーの手札に戻す。
・アーティファクトかエンチャントである呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
・クリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター2個を置く。
・プレイヤー1人と、そのプレイヤーの墓地からカード最大3枚を対象とする。そのプレイヤーは、それらのカードをライブラリーに加えて切り直す。

ターナジール・クアンドリクス様の命令。モードの1つに《無効》がある。
バウンス、打ち消し、パンプアップ、墓地対策と青緑でやりたいことが1枚に詰まっている。
融通が利きすぎて打ちどころを間違えやすいほど。
打ち消しとしてだけ見ると3マナの《無効》なのであくまでもおまけ程度

《常夜会一家の魔除け》

常夜会一家の魔除け / Obscura Charm (白)(青)(黒)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたの墓地にありマナ総量が3以下である多色のパーマネント・カード1枚を対象とする。それをタップ状態で戦場に戻す。
・インスタントやソーサリーである呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
・クリーチャーやプレインズウォーカーのうちマナ総量が3以下である1体を対象とする。それを破壊する。

複数のモードから1つ選んで唱える「魔除け」の一つ。モードの1つとしてインスタント/ソーサリー限定の打ち消しがある。
リアニメイト、打ち消し、除去とテクニカルな組み合わせで、腐りにくくはあるのだが、そのいずれも範囲が思いのほか狭くいつでも使えるわけではない。
色拘束がやや厳しく、序盤は撃ちにくいのも弱点。


《才能の試験》

才能の試験 / Test of Talents (1)(青)
インスタント
インスタントかソーサリーである呪文1つを対象とする。それを打ち消す。それのコントローラーの墓地と手札とライブラリーから、その呪文と同じ名前を持つ望む数のカードを探し、追放する。そのプレイヤーはライブラリーを切り直し、その後、これにより自分の手札から追放されたカードと同数のカードを引く。

(ストリクスヘイヴン:魔法学院 アンコモン)
インスタントかソーサリーしか対象に取れないが、打ち消したら手札墓地ライブラリーから同名のカードを根こそぎ追放できる。
「お前、その呪文なしでも勝てるのか?」と相手へのテスト、あるいは「呪文1つシャットアウトするが、お前これで勝てるのか?」と自分へのテスト、その両方に取れる。
あらゆる領域から根こそぎ持っていけるので、その呪文を1回こっきりのものとしてしまう。
ついでに相手の手札もライブラリも全部覗ける。どんなデッキなのか把握することも"才能の試験"なのか?
手札はまだしもライブラリを覗かれるというのは不快感がものすごく強いので、そういう精神的ショックも与えられる。
刺さるとものすごく強力だが、対象がとても狭くピーキーなカードなのでメインから採用されることはあまりない。
能力の構造上、4積みされているカードであれば最も威力を発揮する。
マナブースト系、ドロー系、打ち消し系、除去、ハンデスと4積みされやすい呪文は枚挙にいとまがないのだが、あまりにも軽いカードに撃ってしまうと相手のライブラリ内のカードパワーの平均が上がるというささやかな弱点もある。
撃つならば腐りにくいブーストやドロー、打ち消しに向けてということになるだろう。
《神秘のらせん》や《探検》、《石の雨》など腐りにくく撃たれ続けると死ぬ呪文もぜひ吹っ飛ばしたい。
相手のデッキが特定のインスタント・ソーサリーに依存したデッキであれば、それを吹き飛ばすことでデッキに深刻なダメージを与えられる。
対戦相手のレベルが上がれば上がるほど、デッキのオリジナリティが増していきピン積みが増えていくため刺さりにくくなっていくという弱点もある。
やはり試験をする側にも才能が必要ということか。
逆に相手のこれの影響力を最低限にするため、似たような立ち位置の呪文は名前の違うものを採用することもある。
デュエマでいう「墳墓避け」みたいなもんだな。

《骨を灰に》



《オジュタイの命令》



《大食の巨大鮫》



《シルムガルの命令》

シルムガルの命令 / Silumgar's Command (3)(青)(黒)
インスタント
以下から2つを選ぶ。
・クリーチャーでない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
・パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
・クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-3/-3の修整を受ける。
・プレインズウォーカー1体を対象とし、それを破壊する。

シルムガルの命令。モードのひとつに《否認》がある。
モードのひとつひとつが汎用性が高く、空振りすることがほぼないためどんな状況でもアドバンテージを得やすい。
のだが、問題はこの圧倒的なマナコスト。5マナもかかるので軽々に撃てるものではないのが最大のデメリット。
打ち消しやクリーチャー除去は撃ちたいときにサッと撃ちたいものだが、そのために5マナも浮かせておかなければならないのが大変にキツい。
しかし除去呪文としてみるなら、2つのボードアドバンテージを得られるためにまあそれなり。
相手がフレンズ系のデッキなら、プレインズウォーカーを打ち消しつつプレインズウォーカーを破壊できたりするし5マナでも十分間に合うため非常にうまあじである。
またこれのバウンスはバウンスにしては珍しく土地も戻せる。青黒で土地に干渉できる能力は非常に珍しい。

《エメラルド・ドラゴン》

エメラルド・ドラゴン / Emerald Dragon (4)(緑)(緑)
クリーチャー — ドラゴン(Dragon)
飛行、護法(2)
4/4

耳障りな波長 / Dissonant Wave (2)(緑)
インスタント — 出来事(Adventure)
起動型か誘発型であり発生源がクリーチャーでない能力1つを対象とし、それを打ち消す。(その後、これを追放する。後で追放領域からこのクリーチャーを唱えてもよい。)

どこぞのゲームで既に使われていそうなマジックっぽくない名前だが、それはダンジョンズ&ドラゴンズとのコラボカードであるため。
当事者カードであり、出来事面に範囲の狭まった《もみ消し》を持つ。
「クリーチャーでない」といえば《否認》を思い出すが、これは呪文を対象に取れないので打ち消せるのは土地、アーティファクト、エンチャント、プレインズウォーカーの能力だけということになる。
緑なので、置き物であればそれを直接破壊してしまえばいいことであり、実質的には必要に駆られることがほとんどない。
クリーチャー面も6マナにしては非常に貧弱。護法をもってこそいるが、ほとんどバニラである。
しかし一方でドラゴンであるためドラゴンサポートを受けられる。《恐るべき仔竜》がいれば出来事側もコストが減っていくので、疑似的な《もみ消し》として使うこともできる……かもしれない。
最大まで軽減して2マナで出せればそれなりの圧力にはなる。
けど、当事者ドラゴンには《戦慄のリノーム》という大きな壁があり、軽減を利用するならあちらの方が圧力が強くこちらに立つ瀬があるかというと微妙……。

《発展の暴君、ジン=ギタクシアス》

発展の暴君、ジン=ギタクシアス / Jin-Gitaxias, Progress Tyrant (5)(青)(青)
伝説のクリーチャー — ファイレクシアン(Phyrexian) 法務官(Praetor)
あなたがアーティファクトやインスタントやソーサリーである呪文を唱えるたび、その呪文をコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。この能力は、毎ターン1回しか誘発しない。(パーマネント呪文のコピーはトークンになる。)
対戦相手がアーティファクトやインスタントやソーサリーである呪文を唱えるたび、その呪文を打ち消す。この能力は、毎ターン1回しか誘発しない。
5/5

こちらを倍にして相手を半分にするという法務官特有の能力を持つ伝説のクリーチャー。
これはアーティファクトインスタントソーサリーの呪文を増やしたり減らしたりする。
一旦戦場に着陸させてしまえば、こちらの行動には自動で《感電の反復》が、相手の行動には自動で《否認》が誘発するようなものであり、絶大なアドバンテージを稼ぎ出す。
アーティファクトを倍にできるのは稀有な能力。
おおよその除去はインスタントかソーサリーなので、毎ターン1回なら耐えられるという高水準の除去耐性も持つ。
これらの能力は毎ターン誘発するので、相手のターン中にも唱えれば《考慮》ですらアドバンテージ源に代わるし、相手がこちらの終了ステップに撃ってくるアドバンテージ源は無効化できる。
しかしエンチャントやプレインズウォーカーは素通りなので《払拭の光》《ドミナリアの英雄、テフェリー》であっさり消されることもある。
問題はマナコスト。唱えるのに7マナもかかるので、悠長にやっていたのではアグロ・ミッドレンジ相手では出る前にお陀仏とか、そもそも打ち消したい呪文が入っていないということも考えられる。
逆にコントロールデッキに対しては能力がガン刺さりするため、着陸させてしまえば問答無用で勝ちを狙うこともできる。
とは言ってもフィニッシュ手段をクリーチャーやエンチャント、プレインズウォーカーで済ますコントロールも多いため過信はできない。
こいつ自身のスタッツは5/5とそこまででもないため、どちらかというとこれを絶対に維持すべき大黒柱とするよりもデコイというか、便利なシステムクリーチャーくらいに思った方が安全かもしれない。
出てこられると困るが、出してもさほど強くないヤツ。


◆不確定カウンター◆

《マナの税収》

マナの税収 / Mana Tithe (白)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを、それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、打ち消す。

白い打ち消し。本来白は打ち消しの色ではないのだが、ミスティカルアーカイブに収録されたいにしえの呪文であることもあり、そのパワーは折り紙付き。
白で打ち消しを構えられるのは非常に便利で、また相手からしてもかなり予想外なので裏の裏をかける。
構造上、先手を取れれば相手の1ターン目の呪文はすべて打ち消せる。
たかが1マナとはいえ、毎ターンしっかりマナを使い切ってくる赤緑系のデッキであれば劇的な効果を発揮する。
先述の通り、白を見て打ち消しを警戒することはないし、特に2,3ターン目にパワーカードをぶん投げてくるデッキは多いので、初手にあれば全くの空振りになるってことはないだろう。
とはいっても1マナ要求は不確定カウンターとしてはかなり貧弱な値であり中盤以降まるっきり役に立たなくなるうえ、白には普通に除去もあるので、わざわざこれをピックアップしたい場面は結構少ない。
だって白の除去は基本的になんでも対処できるし、そもそも優秀な打ち消しが使いたいなら青握ればいいし。
そんなわけであまり使われるカードではないが、あまり使われないからこそコイツの奇襲性が光るという趣もある。
ちなみに、1マナの打ち消し呪文で対象に制限がない打ち消しは、ヒストリックではコイツが唯一。
白なのに打ち消しの青を超えている……?

《検閲》

Censor / 検閲 (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
サイクリング(青)((青),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

1マナとかなり要求の少ない不確定カウンター。
展開を急ぐ前半はマナを使い切るように動くことも多く、見かけよりずっと使いやすい。
がやはり1マナではついでのように払ってしまえるので試合が進めば進むほど信頼感は薄れていく。
そこでサイクリングして別な手札に変えられる点が生きる。サイクリングコストも《選択》や《考慮》相当とかなり軽い部類。
打ち消し枠でありながら、サイクリングデッキのサイクリング枠としても、青赤コントロールの《考慮》枠としても使える便利なヤツ。
こういういろいろな用途を兼ねているカードは便利。

《中略》

中略 / Syncopate (X)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(X)を支払わないかぎり、それを打ち消す。これによりその呪文が打ち消されたなら、それをオーナーの墓地に置く代わりに追放する。

サイズ可変の不確定打ち消し。
多くの不確定カウンターは序盤に強くて後半に弱くなるが、これはマナをつぎ込めばつぎ込むほどサイズがデカくなるので、マナをたくさん用意できる後半で強さが最大限になる。
最序盤であれば2マナで《検閲》相当の威力を出せるため、序盤でも使える。
しかし一番の問題は打ち消すためには相手が支払えるマナと同数の(X)を用意しなければいけないことで、こちらも向こうも展開を進めたい中盤にはやや立場が弱くなる。
「軽いコストで相手の大きなコストを打ち消しテンポアドバンテージを握る」という打ち消しの強みのひとつがなくなってしまっている。
さらには「必要最低限のマナを浮かせて構えておく」という使い方もできないため、使いこなすには緻密なマナコントロール技能を問われる。
が、まあものは考えようで、マナフラ気味で引きが悪く何も行動を起こせないときなどはこいつのサイズ可変が功を奏し、相手に一矢報いることができる。
そういう意味では中盤でも十分強力。おまもりみたいな存在だな。
すべての行動をインスタントタイミングに行うドローゴーくらい振り切れたコントロールではめちゃくちゃ使える。
地味に打ち消したものは追放する。追放目当てで使う人がいるのかどうかは不明。

《火消し》

火消し / Quench (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

かなりシンプルで基本的な打ち消し。
対象を問わないというのが便利で、(2)要求も序盤、中盤においてまずまずの信頼感。
2マナ域の打ち消しはバリエーションが多いが困ったらこれを入れればよかった。
が、基本的なカードであり上位互換もいくつか登場しているため、これが使われることはほぼないだろう。


《ジュワー島の撹乱/ジュワー島の遺跡》

(第1面)
ジュワー島の撹乱 / Jwari Disruption (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

(第2面)
ジュワー島の遺跡 / Jwari Ruins
土地
ジュワー島の遺跡はタップ状態で戦場に出る。
(T):(青)を加える。

(ゼンディカーの夜明け コモン)
2マナの不確定カウンターであり、要求するマナはわずか1マナとこころもとない。にもかかわらず、スタン当時は青絡みのコントロールデッキにほぼ必ず4積みで採用され続けたパワーカード。
こいつの強みは「2マナで構えて置ける不確定カウンターである」「困ったときには土地として使える」の2点だ。
裏面が土地ということで、確定タップインなので1:1ではないにせよ、土地枠に打ち消しを突っ込める強さは計り知れない。
スタン当時はあまりにも環境にいすぎるおかげで『2ターン目に青が出るように2マナ立ててターンを渡す』これだけでもうブラフが完成したほどである。
ちょっと見えている不確定カウンターほど恐ろしいものはなく、相手はたったこれだけで1マナ残しておかなければと意識するため、ターンごとにマナを使い切ることができなくなる。
つまり後攻なら先攻になれるし、先攻なら1ターン先に始めたのと同じようなことになるというわけだったのだ。
3ターン目に3マナ分の動きができないってのは想像以上の不愉快さだぞ。
さすがにヒストリックまで来ると全盛期ほどは見かけないが、それでも打ち消し呪文の定番としてまあまあ見る。
後半に引くと普通の打ち消し以上に役に立たないので、初手に抱えるため4積みされやすい呪文のひとつ。

《かき消し》

かき消し / Make Disappear (1)(青)
インスタント
犠牲1(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたはパワーが1以上のクリーチャー1体を生け贄に捧げてもよい。そうしたとき、この呪文をコピーし、あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

《火消し》の上位互換。
そのまま撃つと《火消し》そのものだが、犠牲1を払うことで効果が倍になる。1マナ軽い《巻き込み》としても使えるということ。
不確定カウンター特有の「デュエルが進めば進むほど弱くなる」という弱点をある程度克服しているため非常に汎用性が高く、3マナ圏に確実に間に合う打ち消しとして青絡みのあらゆるデッキの候補に挙がる。
犠牲も1とラインがかなり低いため、適当なクリーチャートークンでも犠牲にすれば問題なく撃てる。
弱点らしい弱点といえば、犠牲にはクリーチャーが必要なのと、あくまでも不確定カウンターではあるためランプデッキやマナフラッド相手には効果を発揮しないことがある、くらい。
その場合でも別に撃てる時に撃っておけばいいのでそこまで大した弱点でもない。
地味な使い方だが、犠牲でコピーしたあとは対象を選び直すので、別の呪文を対象に取っても良い。
対応打ちに対応打ちを重ねられてスタックが膨大になった際にこれ1枚で2つの呪文を打ち消せる、かもしれない。
総じて一線級の優秀な打ち消し。

《終焉よ来たれ》

終焉よ来たれ / Bring the Ending (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
堕落 ― それのコントローラーが3個以上の毒(poison)カウンターを持っているなら、代わりにそれを打ち消す。

《火消し》の上位互換のひとつ。堕落を達成していれば確定カウンターへと変わり、なんと《対抗呪文》の上位種になる。
その性質上、毒カウンターデッキで大きな効果を発揮するが、そうでないデッキでも《火消し》相当ではあるため悪くはない。
堕落は達成するのがそこそこ難しい条件ではあるが、一度達成すればその後はどうやっても取り除かれることがないので、これにより不確定カウンターの弱みを克服しているといえる。
……と決して弱いカードではないのだが、一番の問題がスタンで《かき消し》と同居しているということ。
毒カウンターを使わないデッキではそちらが強力で優先されるため、こいつは影が薄いのだ……。
幸いローテーションは異なるので、ローテ後にその真価を発揮することになるだろう。
ヒストリックでは毒カウンターデッキ専用。そんなデッキが存在するならだが……。

《交渉団の保護》

交渉団の保護 / Protect the Negotiators (1)(青)
インスタント
キッカー(白)(この呪文を唱えるに際し、追加で(白)を支払ってもよい。)
この呪文がキッカーされていたなら、白の1/1の兵士(Soldier)クリーチャー・トークン1体を生成する。
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが、あなたがコントロールするクリーチャー1体につき(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

《一枚岩の防衛》系の不確定カウンター。
数字だけで考えると、クリーチャーが2体並んでいれば《火消し》相当になるため、まずまずのように見える。
が、序盤から複数のクリーチャーを用意しておくのはやや難しく、こいつの本領を発揮できるのは中盤くらいからということになる。
しかしその中盤以降となれば、《婚礼の発表》《スクレルヴの巣》など一定のクリーチャーを常に供給するエンジンを用意できれば軽い《対抗呪文》としても使える可能性があり、地味に優秀なカードと化す。
クリーチャーが並んでいることが必須条件となる都合上、全体除去を打ち消すのにうってつけ。《至高の評決》が来たら泣こう。
キッカーすればトークンが出る。地味だが兵士なので利用法は多い。
が、これは打ち消し呪文なので唱えられるタイミングがかなり限られるため、トークンを出すために能動的に使うのは難しい。
クリーチャー主体のデッキでは肝心な序盤の展開途中で打ち消しを握っている余裕がないのが苦しいところか。
序盤の展開を阻害されると自動的にこいつもでくの坊と化してしまうのがデメリットにデメリットが重なってしまうのである。

《簡略化の影響下》

簡略化の影響下 / Undersimplify (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それがクリーチャー・呪文であるなら、それは-2/-0の修整を永久に受ける。その呪文をそのコントローラーが(2)を支払わない限り打ち消す。

《火消し》の上位互換のひとつ。
なんでも対象に取れるが、クリーチャーであるならパワー-2の修正を永久に与えるため、墓地から出てくるクリーチャーに対してのメリットを搭載している。
リアニメイトデッキでは、釣り上げたいクリーチャーはスタックを経ずに直接墓地に置かれることが多く、こいつの修正機能がちゃんと機能することが少ない。
そして単純な打ち消しとしてみるならやはり《かき消し》の方が優秀なこともあり、使われるカードではない。

《湖での水難》

湖での水難 / Drown in the Loch (青)(黒)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・マナ総量がそれのコントローラーの墓地にあるカードの枚数以下の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
・マナ総量がそれのコントローラーの墓地にあるカードの枚数以下のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。

相手の墓地が肥えてさえいれば、《対抗呪文》兼《殺害》になる恐ろしい条件付きカウンター。
事前対処である打ち消しと、事後対処である除去が1枚に収まっているため、非常に使い勝手がいい。
ライブラリーアウトデッキのかなり強い味方。これが使いたいがためにライブラリアウトを握ることすらある。
ヒストリックではそうでなくても墓地は勝手に肥えていくし、最低限相手が出せるマナの量よりも多い墓地を確保していればいいため多少まごついても十分に能力を発揮する。
これが使いたいのでライブラリ破壊なのに《夢を引き裂く者、アショク》が使われなかったというほど。

スタンにいたころはディミーア・ローグの恐ろしい強さを支えていた。
どれくらい強かったかというと、スタン当時のデッキをそのままヒストリックにもっていっても十分に勝てたくらい。
惜しいのは青黒の2マナと序盤はやや撃ちにくいことと、デッキに4枚しか入れられないこと。それくらいしか弱点がない。
《安らかなる眠り》を先出しされると完璧に何もしないカードに早変わり。除去をこれにおんぶにだっこだと思わぬ足元を掬われる、かも。

《タッサの介入》

タッサの介入 / Thassa's Intervention (X)(青)(青)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたのライブラリーの一番上からX枚のカードを見る。そのうち最大2枚をあなたの手札に加え、残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
・呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(X)の2倍のマナを支払わないかぎり、それを打ち消す。

ふたつのモードを持つ呪文で、そのひとつに不確定打ち消しがある。
要求するコストはサイズ可変で、自分が支払ったコストの2倍であるため、だいたいX=2くらいで撃つことになるだろうか。
ドローの方のモードも、この手のカードにしては珍しく最大2枚引けるため、X=2以上であればちゃんと手札を増やせる。
4マナで2ドローはインスタントとして及第点であり、抱き合わせではあるが安っぽさがないのが特長。
打ち消しとして構えつつ、相手がなにもしてこなかったならドローに切り替えて対応打ちできるため、握ってるとかなり便利。
少しの隙間も無駄にしたくないアグレッシブなコントロールに向いたカード。

《巻き込み》

巻き込み / Convolute (2)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(4)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

4マナ要求する不確定カウンター。
確定カウンターにおける《取り消し》みたいな存在で、基本的にはこれにおまけを乗っけたのが現代の標準。
そのため構築ではまず使われない。
しかし追加で4マナ要求はかなり安定感のある数字であり、シングルシンボルで扱いやすさもあるので、おまけが必要ないデッキならこれでも十分活躍できる。
ごちゃごちゃと余計な文章が付いてなくて分かりやすいのも意外と長所。

《相殺の風》

相殺の風 / Countervailing Winds (2)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーがあなたの墓地にあるカード1枚につき(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
サイクリング(2)((2),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)

自分の墓地の枚数と同じ量の支払いを要求する。サイクリング付き。
こいつの主戦場はもちろんサイクリングデッキ。
適当にサイクリングしていくだけでこいつの要求マナが増えていき、更には序盤にサイクリングしたこいつを《見捨てられた石棺》で墓地から唱えたりできるのでシナジーが強い。
……のだが、同コストで確定カウンターになった《中和》が存在しており、サイクリングデッキでもやや立場が危うい。
あちらの弱点は色拘束が強いことで、こちらの弱点は墓地対策されると全く何もしないカードになること。まあサイクリングデッキ自体そういう面があるので墓地対策自体をこいつや《検閲》でどうにかしたい。
サイクリングデッキ以外でも、墓地にカードが溜まるデッキは多いためそこでは3マナの打ち消し兼サイクリングとして使えないことはないが、安定感の面で《中和》の方が安心できる。
振り切れたデッキで輝くタイプ。

《見張りによる消散》

見張りによる消散 / Lookout's Dispersal (2)(青)
インスタント
あなたが海賊(Pirate)をコントロールしているなら、この呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。
呪文1つを対象とする。そのコントローラーが(4)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

素撃ちでは《巻き込み》だが、海賊をコントロールしていれば1マナ軽くなる。
海賊デッキでの採用が前提な上、その海賊自体がほとんどイクサランでしか登場しないため、かなりマイナーな打ち消し。
現在《波の巨人、クルシアス》とかいう最強の海賊が存在するが、そのデッキは打ち消しなど必要ないほど圧倒的なパワーを誇るのでこれは採用されない。
色も合わないしね。

《高尚な否定》

高尚な否定 / Lofty Denial (1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。あなたが飛行を持つクリーチャーをコントロールしているなら、代わりに、それのコントローラーが(4)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

そのまま撃つと《ジュワー島の撹乱》《検閲》と同じ効果だが、自分が飛行を持つクリーチャーをコントロールしているなら2マナの《巻き込み》になり1マナ得する計算になる。
青や白には軽い飛行持ちがたくさんいるため、条件を満たすのは非常に簡単。
マナコストが軽いため序盤から構えたくなるが、追加で4マナというのはかなり信頼度の高い数字であるため後半にも腐りにくい。
大型のフライヤーを守り為のおともにも最適な一枚。
アリーナでたまに開催されるパウパーや職工において、青単クロックパーミッションの強さを支えている。

《金属の叱責》

金属の叱責 / Metallic Rebuke (2)(青)
インスタント
即席(あなたのアーティファクトが、この呪文を唱える助けとなる。あなたはあなたのアーティファクトをタップして、1個あたり(1)の支払いに代えてもよい。)
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

3マナ払って3マナ要求する不確定カウンター。即席が付いているため、起きているアーティファクトが2個あればたった1マナで撃てる。
アーティファクトを大量に並べられるデッキでは、当たり前のように1マナで撃てるため非常に便利。
ヒストリックでは《羽ばたき飛行機械》や《改良式鋳造所》などアーティファクトを並べられるカードが多いため、その手のデッキではこれが標準搭載されている。
不確定なので後半には不安が生じるが、親和デッキはデュエルのスピードがかなり速いため後半まで相手が生き残っていないことも多い。

《回路切り替え》

回路切り替え / Flip the Switch (2)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。そのコントローラーが(4)を支払わないかぎり、それを打ち消す。腐乱を持つ黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークン1体を生成する。(それではブロックできない。それが攻撃したとき、戦闘終了時に、それを生け贄に捧げる。)

《巻き込み》に腐乱持ちのゾンビトークンが付いてくる。
出てくるトークンが2/2とそれなりなサイズなのはいいのだが、腐乱を持っているためブロッカーにならず攻撃すると勝手に消えていくため単なるクリーチャーとしてはかなり使えない。
とはいえ一応クリーチャーであることは間違いないので、生け贄か何かに使えばスマート。
トークンの量を倍にしたり、かわりに何か別のトークンを生成したりするカードが横にいると、打ち消しのアドバンテージとボードのアドバンテージの合わせだしでかなりのうまあじを摂取できる。
が、まあ単体では取り立てて必要というわけでもない程度のおまけがついていても、3マナの打ち消しは重いのであまり使われない。

《霊灯の罠》

霊灯の罠 / Geistlight Snare (2)(青)
インスタント
あなたがスピリット(Spirit)をコントロールしているなら、この呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。あなたがエンチャントをコントロールしているなら、この呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

そのままだと3マナで3マナ要求するタイプの不確定カウンターだが、スピリットとエンチャントをコントロールしていればそれぞれ1マナずつ軽減され最終的には青1マナで撃てるようになる。
1マナで撃った時の性質は《神秘の論争》と同じなので、アレが色を問わなくなったと考えると恐ろしいほど恐怖。
イラストにもスピリットが描かれていてテキストにもスピリットと書かれているため、スピリットデッキに突っ込むのが一番いい。
スピリットは「軽くて、急に出てきて、空を飛んでいる」という幽霊らしさが詰まったタイプでありクロックパーミッションもよく組まれるため、そこに難なく入る。
都合のいいことにスピリットには《執着的探訪》や《警備の抜け道》などのオーラエンチャントが標準で投入されている。
つまり展開を進めていくことで自動的にこいつの軽減能力を発揮できるってわけ。
しかしライバルは存在しており、軽い飛行持ちが多いスピリットデッキでは《高尚な否定》ももちろん候補に挙がってくる。
そちらは最初からコストが2マナであり、飛行持ち1体でもいれば4マナ要求とこちらよりも強くなる。
こちらはスピリットとエンチャントがあればわずか1マナで撃てるのが強み。
フレイバー的には霊灯で呪文を吸い込んでしまうイラストがもうスピリットデッキ専用っぽいのでこっちを選びたい。

《神秘の論争》

神秘の論争 / Mystical Dispute (2)(青)
インスタント
この呪文が青の呪文を対象とするなら、これを唱えるためのコストは(2)少なくなる。
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

3マナ払って3マナ要求するタイプの不確定カウンター。対象に取るのが青の呪文であるなら、わずか1マナで撃てる。
青絡みのデッキには鬼のような強さを発揮し、打ち消し合戦や対応打ちのドローソースなど撃つ対象には枚挙にいとまがない。
青でない呪文に対してもそれなりな性能であり、全く腐るということが少ない。
がしかしあくまでもそれなりでしかないため、メインから突っ込みまくるとあまりいいことはない。
コントロールで対コントロールを想定する際に便利なカードで、青絡みのコントロールデッキならサイドではまずコイツが2,3枚陣取る。
このカードが存在しているおかげで、青のカードは青であるがゆえにコイツで1マナで吹っ飛ばされる危険性が常につきまとう。
強力な多色カードでも青が入っていると打ち消されやすいという評価が下るくらい意識されるカードである。

《至高の意志》

至高の意志 / Supreme Will (2)(青)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
・あなたのライブラリーの一番上からカードを4枚見る。そのうち1枚をあなたの手札に加え、残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。

3マナ3要求の不確定カウンターと《衝動》のどちらかを撃てる。
打ち消しとして構えながら、必要ないなら別の手札に……ということなのだが、3マナという微妙に重いマナコストを持つために思ったほどの便利さはない。
とはいえ《衝動》はかなり便利な部類のドローカードなので弱いわけではない。
どちらかというと「打ち消しとしても使えるドローソース」という感じ。
他にも打ち消しを多数搭載した重量級のコントロールでは割と便利なカードである。

《粉骨+砕身》

粉骨 / Reduce (2)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

砕身 / Rubble (2)(赤)
ソーサリー
余波(この呪文はあなたの墓地からのみ唱えられる。その後、これを追放する。)
土地最大3つを対象とする。それらはそれのコントローラーの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。

分割カード。青の方で3/3タイプの不確定カウンターを撃ち、その後余波で赤の土地縛りを撃てる。
6マナあれば、粉骨で3マナ寝かせて砕身でそれを寝かせたままにできる。
打ち消しだけで考えると3マナ払って3マナ要求なのでまあまあ。こいつの魅力は余波で土地を寝かせっぱなしにできる方。
うまいタイミングで撃てればターン追加並みの影響を与えられる。
また砕身も3マナとかなり撃ちやすいので、ルーティングか何かでさっさと墓地に置いてしまうのも手。
しかし砕身自体には土地を寝かせる効果はないので、相手の行動いかんではゲームを決定づけるほどの影響がないこともあるが、逆に言えばそれはそれで相手の行動を縛ってることもなる。

《旋風のごとき否定》

旋風のごとき否定 / Whirlwind Denial (2)(青)
インスタント
対戦相手がコントロールしている呪文や能力をそれぞれ、それのコントローラーが(4)を支払わないかぎり、打ち消す。

(テーロス還魂記、ミスティカルアーカイブ アンコモン)
スタックに乗っている相手の呪文や能力を全てを打ち消す大掛かりな不確定カウンター。《巻き込み》の上位互換。
スタック上の呪文や能力のすべてに、それぞれに4マナずつという割と大きなコストを要求するため、ほとんどの場合すべてを打ち消すことになる。
単純な打ち消しと違い、能力まで範囲に入っているためかなりの汎用性を誇る。
ヒストリックではあまり見かけないが、ストームというシステムに対する強烈な回答カードであり、どれほど莫大に膨れ上がったストームでもこれ1枚で簡単に吹っ飛ばせる。
1:多交換が可能な呪文であるため、ストームや魔技を全部まとめて打ち消すという使い方じゃないともったいなく感じるが、1枚だけ打ち消したとしても《巻き込み》相当で別に損はしていない。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》とか《街並みの地ならし屋》のように唱えた時に誘発する能力を持ってるヤツに唱えると、能力と本体両方吹っ飛ばせるためめっちゃ効きがいい。
ストーム対策というイメージが先行しているが、そうでない場合でも普通に使いやすい。
関係ないけどとても覚えやすいフレーバーテキストが書いてある。
「だめだ、だめだ、それもだめだ。」

《造反者潰し》

造反者潰し / Crush Dissent (3)(青)
インスタント
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。動員2を行う。(あなたがコントロールしている軍団(Army)1体の上に+1/+1カウンターを2個置く。あなたが軍団をコントロールしていないなら、その前に、黒の0/0のゾンビ(Zombie)・軍団クリーチャー・トークンを1体生成する。)

動員2が付いた代わりに2マナも重くなった《火消し》。
4マナの打ち消しはかなり重く、しかも2マナの不確定なので立場は危うい。
動員も一応アドバンテージではあるが強力かといわれるとそういうわけでもなく、構築で使うにはかなりキツい。
ちなみに仮にコストを支払われて打ち消しに失敗したとしても動員2は行われる。4マナでたかだか2/2のトークンを出して何が嬉しいかというところだが。

《鏡殻のカニ》

鏡殻のカニ / Mirrorshell Crab (5)(青)(青)
アーティファクト クリーチャー — カニ(Crab)
護法(3)(このクリーチャーが対戦相手がコントロールしている呪文や能力の対象になるたび、そのプレイヤーが(3)を支払わないかぎり、その呪文や能力を打ち消す。)
魂力 ― (2)(青),鏡殻のカニを捨てる:呪文や能力のうち1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
5/7

魂力で打ち消しを放てるアーティファクトクリーチャー。コモンクリーチャーにしては恐るべき汎用性を誇る。
この手の抱き合わせカードにしては珍しく、3マナで3マナ要求タイプの不確定カウンターと普通の打ち消しと変わらないコストパフォーマンスであり、更には能力まで対象に取れるため上位互換でもある。
クリーチャーとしてはやや重いが、単なるチャンプブロッカーではないサイズと護法3という防御能力まで持ち合わせている。
これの強さは、単純な打ち消し呪文とは違い、能力での打ち消しであるために非常に打ち消されにくいというところ。
インスタントではないためそれらのサポートは受けられないが、逆に言えばアーティファクトやクリーチャーのサポートは受けられる打ち消しという面もある。
実際、クリーチャーやアーティファクトのサーチで打ち消しを持ってこれる強さは計り知れないぞ。
あまりないことではあるが、マナフラッド時にはクリーチャーとして召喚すればそれなりの影響力もありかなり使える幅が広い。


◆条件付き不確定カウンター◆
《呪文貫き》

呪文貫き / Spell Pierce (青)
インスタント
クリーチャーでない呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

不確定になった代わりに軽くなった《否認》、あるいは範囲が狭まった代わりに軽くなった《火消し》。
序中盤であれば《否認》とほとんど同程度のはたらきを、わずか1マナでこなすために非常に高い汎用性を誇る。
3ターン目あたりに置かれ始めるパワーカードを1マナで対処できるのは言うまでもなく強力。
弱点は《否認》と同じ。だが、こちらは更に不確定カウンターでもあるので、後半ではほぼ何もしないカードとなってしまいその腐りようは半端ではない。
またこれは後半に腐ることが確定しているカードなので、採用枚数も悩む必要がある。
初手にあってほしいカードなので複数枚積みたいが、もし引き込めなかった際に今引きを弱くしてしまうからですね。
2,3ターン目でどうしても対処しなければいけなくて、《否認》の2マナが払えないほどタイトなデッキで採用されるのがメインと思われる。
だがものは考えようで、青単アグロなどでは「活用できれば御の字だし、使わなくても勝つまでにはどうせ使わない手札もある」というデモコン理論的な感覚でメインから4積みされていたりします。

《唱え損ね》

唱え損ね / Miscast (青)
インスタント
インスタントかソーサリーである呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

インスタントソーサリー限定の不確定カウンター。
不確定になった代わりに、ソーサリーも対象に取れるようになった《払拭》。
3マナ要求はまあまあな信頼度だが、範囲が狭いのは困る。
インスタントもソーサリーも全く使わないデッキは存在しないので一定の使い道はあるものの、そのほかの脅威に全く無抵抗なので採用には勇気が必要。

《革命的拒絶》

革命的拒絶 / Revolutionary Rebuff (1)(青)
インスタント

アーティファクトでない呪文1つを対象とし、それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

《火消し》の範囲が狭まった版。
つまり《火消し》の完全下位互換なので、今となっては使い道はない。

《一枚岩の防衛》

一枚岩の防衛 / Concerted Defense (青)
インスタント

クリーチャーでない呪文1つを対象とする。それのコントローラーが、(1)に加えてあなたのパーティーを構成しているクリーチャー1体につき追加の(1)を支払わないかぎり、それを打ち消す。(あなたのパーティーは、ウィザード(Wizard)とクレリック(Cleric)とならず者(Rogue)と戦士(Warrior)それぞれ最大1体から構成される。)

悪名高い「パーティー」メカニズムをテーマにした条件付き不確定カウンター。
パーティーを構成するクリーチャーの数+1のマナを要求するため、1体で《呪文貫き》と同性能、2体以上でそれ以上のパフォーマンスにはなる。
しかしパーティーは近年のマジックでも指折りの使いにくいメカニズムのひとつ(もうひとつは「ダンジョン」)なので、これを目にする機会はほぼないと言って良いだろう。

《認識否定》

認識否定 / Anticognition (1)(青)
インスタント

クリーチャーかプレインズウォーカーである呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(2)を支払わないかぎり、それを打ち消す。対戦相手1人の墓地にカードが8枚以上あるなら、代わりに、その呪文を打ち消し、その後占術2を行う。

ゼンディカーの夜明けでの青黒のテーマである逆スレッショルドを参照する条件付き不確定カウンター。
達成していれば条件付き確定カウンターに代わり、ついでに占術2も行えるようになる。
2マナの打ち消しとしては結構高性能で、不確定カウンターの弱点を自分で補完しているために使い勝手は悪くない。
プレインズウォーカーも対象に取れるため、クリーチャーに重きを置いていないデッキ相手でも完全に腐るということが少ないのが特長。

《心悪しき隠遁者》



《断固たる否定》

断固たる否定 / /Decisive Denial (緑)(青)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・あなたがコントロールしているクリーチャー1体とあなたがコントロールしていないクリーチャー1体を対象とする。その前者はその後者と格闘を行う。(それぞれはもう一方に自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。)
・クリーチャーでない呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

格闘除去と条件付き不確定カウンターを併せ持つ。
どちらも青と緑では出ずっぱりの効果であり、抱き合わせ特有の質の低さもない。優秀な呪文。
クリーチャーに対しては格闘、それ以外には打ち消しと単体であらゆる状況に対応できるようになっている。
緑の大物クリーチャーを青の打ち消しで守るという王道のクロックパーミッションに合致した一枚。
が、格闘にはクリーチャーが必要だし、打ち消しも不確定なので絶対信頼できるわけでもない。
特にクリーチャーに対する除去やバウンスはコストが軽いため、打ち消し側の追加のコストも払いやすい。採用はバランスを見てとなる。

《安全の護符》



もどる