史上最悪のマジック:ザ・ギャザリングカード100枚 50位-26位
MTGには、悪いカードがある。
ひどいカードもある。
そして、史上最悪のカードもある。
Ben Bleiweissは、笑うしかないカードリストの下位50枚に、本当にひどいカードを詰め込んだ。
By
Ben Bleiweiss | 2022年3月3日
「マジック史上最悪のカード100枚」の最後から1歩前にようこそ!
最悪中の最悪を掘り下げはじめています!
今日のリストの中で最も新しいカードは「神河物語(2004年)」のものだが……ご心配なく。
明日の回では、もっと現代に使い形で印刷されたカードを紹介するつもりだ。
今日のリストは、マジック:ザ・ギャザリングがよりプレイしやすくなるためにWotCが近年どれほどいい仕事をしたかの証と言えるだろう。
ではブーツを履いて、史上最悪カードリストの50位から26位までを駆け抜けよう!
第50位《呪われたケンタウルス》(オンスロート・コモン)
呪われたケンタウルス / Accursed Centaur (黒)
クリーチャー — ゾンビ(Zombie) ケンタウルス(Centaur)
呪われたケンタウルスが戦場に出たとき、クリーチャーを1体生け贄に捧げる。
2/2
なぜ悪いか?
より優れたクリーチャーを戦場に出すためにクリーチャーを生け贄に捧げるということ自体は悪いことじゃない。
でも、無視してもいいようなクリーチャーを出すために生け贄を使うのは間違ってる。
これは1マナ2/2のクリーチャーでしかない。
黒には、コイツよりもずっと優れた欠点を持つ1マナ2/2が存在する。
《呪われたケンタウルス》の最善のシナリオは、トークンを生け贄にしてさっさと出てくることだが、だったらこんなのよりもっと良いクリーチャーを使えばよくないか?
代わりに何が使えるか?
黒の1マナ2/2クリーチャーが欲しいなら、《戦墓のグール》《カーノファージ》《肉占い》《吸血鬼の裂断者》を使おう。
《呪われたケンタウルス》みたいなサクリファイス能力が欲しいなら、《キイェルドーの死者》に照準を合わせよう。
こいつはパワーが1高いし再生するのも安いし最の高だ。
第49位《時空の満ち干》(ビジョンズ・アンコモン)
時空の満ち干 / Time and Tide (青)(青)
インスタント
同時に、フェイズ・アウト状態のすべてのクリーチャーはフェイズ・インし、フェイジングを持つすべてのクリーチャーはフェイズ・アウトする。
なぜ悪いか?
フェイジングはわかりづらい能力だった。
WotCは、2017年の統率者セットになるまでフェイジングの取り扱いをやめていた。
もはや、パーマネントの能力としてのフェイジングは存在しないが、代わりに除去呪文から回避する手段として、あるいは戦闘ダメージを回避する方法として、フェイジングが行われるようになったのだ。
《時空の満ち干》は、毎ターンフェイジングを行うクリーチャー(あるいはパーマネント)をよりごちゃごちゃさせるためにデザインされていた。
《時空の満ち干》はもはや使われることのないメカニズムを思い起こさせるものにすぎない。
代わりに何が使えるか?
フェイジング・クリーチャーが戻ってこないようにしたいのかい?
《時の砂》《塩水の精霊》《停滞》など、アンタップステップを飛ばすカードを使おう。
第48位《酸の短剣》(ミラージュ・レア)
酸の短剣 / Acidic Dagger (4)
アーティファクト
(4),(T):クリーチャー1体を対象とする。このターン、それが壁(Wall)でないクリーチャーに戦闘ダメージを与えるたび、その壁でないクリーチャーを破壊する。このターン、対象となったクリーチャーが戦場を離れたとき、酸の短剣を生け贄に捧げる。起動はブロック・クリーチャーが指定されるより前にのみ行う。
なぜ悪いか?
《酸の短剣》では、クリーチャー1体を殺すのに8マナもかかる。
これはもとよりかなりひどいレートだ。
次に、これが攻撃しているクリーチャーにしか使えない効果だということに気づく。
これ以上に制約を増やすっていうのか?……いいね。
しかも、相手がブロッカーを選ぶよりも前に起動しなければならないので、これは狙ったクリーチャーを殺すことすらできやしない。
代わりに何が使えるか?
クリーチャーに接死を与える装備品は数多くある。
《バジリスクの首輪》《ゴルゴンのフレイル》《ゴルゴンの首》《滅消の杭》《死神のタリスマン》《ヴォーパル・ソード》《ワンド・オヴ・オルクス》などだ。
クリーチャーを接死にしたうえで、相手にそれへのブロックを強制させたいなら、《命取りの魅惑》《神性の贈り物》《オクランの暗殺者》《変わり木のバジリスク》を代わりに使うといい。
第47位《メルカディアの昇降機》(メルカディアン・マスクス・レア)
メルカディアの昇降機 / Mercadian Lift (2)
アーティファクト
(1),(T):メルカディアの昇降機の上にウィンチ(winch)・カウンターを1個置く。
(T),メルカディアの昇降機からウィンチ・カウンターをX個取り除く:あなたは、あなたの手札にあるマナ総量がXに等しいクリーチャー・カードを1枚戦場に出してもよい。
なぜ悪いか?
クリーチャーをタダで戦場に出せるカードは、マジックで最も人気が出るカードだ。
《メルカディアの昇降機》はわずか2マナというわずかな先行コストを必要とする。ここまではいい。
そのあとカウンターを1個乗せるためには1ターンがかかる。
普通に唱える方が圧倒的に早いし、一回使ったらまた0から貯めなおしだ。
これじゃまともに使うに便利とはとても言えないな。
代わりに何が使えるか?
《霊気の薬瓶》は、《メルカディアの昇降機》が欲しがるすべてを持っている。
マナコストが低く、無料で成長して、フルパワーで繰り替えし使える。
何かを踏み倒すというのを繰り返したいなら、《流転の護符》《エルフの笛吹き》も使える。
第46位《泥沼のヤツメウナギ》(メルカディアン・マスクス・アンコモン)
泥沼のヤツメウナギ / Quagmire Lamprey (2)(黒)
クリーチャー — 魚(Fish)
泥沼のヤツメウナギがクリーチャーによってブロックされた状態になるたび、そのクリーチャーの上に-1/-1カウンターを1個置く。
1/1
なぜ悪いか?
こんな死んだ魚みたいなカードを使ってる奴がいたらウナギ殴りにしてやる。
少なくともブロックを阻止するみたいなはたらきを持ってる、つまり攻撃を通すのが仕事な3マナのクリーチャーがたったの1/1っていう時点でおかしい。理解を超えてる。
他のまともな黒のカードよりもコイツを選ぶか、実際に泥沼にハマるかだったら後者を選ぶね。
「なんで?」とか、みんなが聞いてこないことを祈るよ。
代わりに何が使えるか?
《凶眼のトカゲ》と《戦慄の死霊》なら、ブロックしたきたクリーチャーを完全に殺すことができる。
《ゴルゴンの世捨て》《Infernal Medusa》でも同様だ。
ブロッククリーチャーに-1/-1を与えたいなら、《疫病ワイト》《青褪めた騎士》が使える。
第45位《エイヴンの祭殿》と《セファリッドの祭殿》と《陰謀団の祭殿》と《ドワーフの祭殿》と《ナントゥーコの祭殿》(オデッセイのレア「祭殿」サイクル)
エイヴンの祭殿 / Aven Shrine (1)(白)(白)
エンチャント
プレイヤーが呪文を1つ唱えるたび、そのプレイヤーはX点のライフを得る。Xは、すべての墓地にあるその呪文と同じ名前を持つカードの数である。
セファリッドの祭殿 / Cephalid Shrine (1)(青)(青)
エンチャント
プレイヤーが呪文を1つ唱えるたび、そのプレイヤーが(X)を支払わないかぎり、その呪文を打ち消す。Xは、すべての墓地にあるその呪文と同じ名前を持つカードの数である。
陰謀団の祭殿 / Cabal Shrine (1)(黒)(黒)
エンチャント
プレイヤーが呪文を1つ唱えるたび、そのプレイヤーはカードをX枚捨てる。Xは、すべての墓地にあるその呪文と同じ名前を持つカードの数である。
ドワーフの祭殿 / Dwarven Shrine (1)(赤)(赤)
エンチャント
プレイヤー1人が呪文を唱えるたび、ドワーフの祭殿はそのプレイヤーにX点のダメージを与える。Xは、すべての墓地にある、その呪文と同じ名前を持つカードの数の2倍の点数である。
ナントゥーコの祭殿 / Nantuko Shrine (1)(緑)(緑)
エンチャント
プレイヤー1人が呪文を1つ唱えるたび、そのプレイヤーは緑の1/1のリス(Squirrel)・クリーチャー・トークンをX体生成する。Xは、すべての墓地にあるその呪文と同じ名前を持つカードの数である。
なぜ悪いか?
オデッセイのこのエンチャントサイクルは、同じ名前のカードを複数使うことを前提としている。
《ナントゥーコの祭殿》は一時期、いくつかのデッキでメインパーツとして試されていたこともあった。
しかし結局のところ、同じ名前のカードを複数唱えるというそこそこ難しいお題に対する報酬が、自分への効果としても相手への効果としても安すぎたのだ。
統率者戦はハイランダーデッキを使うから、これらのカードが役立つ場面というのは事実上ありえない。
《執拗なネズミ》とか《しつこい請願者》とかがメタゲームに存在してるなら話も別だがな。
相手をロボトミー手術かなんかでそれを使わせるように仕向けてみるか?
代わりに何が使えるか?
《アショクの消去》は、ある呪文を2度と唱えられなくするために優秀な方法だ。
《翻弄する魔道士》も似たような働きをする。
《ディミーアの脳外科医、シアクー》は、ゲーム中に複数の呪文を唱えられなくするための最強の方法だろう。
第44位《悪忌の蝕み屋》(神河物語・アンコモン)
悪忌の蝕み屋 / Akki Underminer (3)(赤)
クリーチャー — ゴブリン(Goblin) ならず者(Rogue) シャーマン(Shaman)
悪忌の蝕み屋がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはパーマネントを1つ生け贄に捧げる。
1/1
なぜ悪いか?
攻撃を目的としたクリーチャーのP/Tが1/1であることはあまり望ましくないことだとは既に述べたとおりだ。
《悪忌の蝕み屋》は回避能力も、速攻も、自身をパンプアップする手段ももたず、ブロックをやり過ごす方法もない。
1点のダメージでも受けたら死んでしまう、小さな小さなゴブリンだ。
まあ、コイツに《囁き絹の外套》を着せて、相手のパーマネントを2つ3つ持って行ったことがある人はいただろうな。
その場合でも、生け贄に捧げるパーマネントを選ぶのは相手だ。
代わりに何が使えるか?
《破壊の衝動》は、序盤に回避能力を持つクリーチャーにエンチャントするだけで、ゲームが本格的に動き出す前に相手を完全にシャットアウトできてしまう、かなり厄介なオーラのひとつだ。
《鎮める者、アシュリング》や《嫌悪の悪魔》は相手にクリーチャーの生け贄を強制させることができる、より大きなクリーチャーだ。
《陰謀団の先手ブレイズ》も同様にかなり早い段階で相手をシャットアウトできてしまう……そのため彼女は統率者戦では禁止カードに指定されている。
第43位《天界のプリズム》(アルファ版・アンコモン)
天界のプリズム / Celestial Prism (3)
アーティファクト
(2),(T):好きな色1色のマナ1点を加える。
なぜ悪いか?
マナを、ある色から他の色に変えるという試み自体は、価値のあることだ。
それが適切なコストで行われる場合には、リミテッドでいろいろなアーキタイプをちゃんと成立させるための重要な手段となりうる。
構築戦でも、3色以上を扱うデッキでは、ゲーム序盤にマナ基盤を安定させるための手助け的に使うことができる。
《天界のプリズム》は置くだけで3マナもかかり、1マナ得るために2マナがかかり、それ以外には何もできない。
とはいえこれは本当に最初期のカードであり、これがあったから他の優秀なマナフィルターが登場したともいえる。
代わりに何が使えるか?
3マナでどんな色でも生み出せるマナアーティファクトというのは、無数に存在する。
《合金のマイア》《万神殿の祭壇》《眷者の装飾品》《彩色の灯籠》《連合の秘宝》《耕作者の荷馬車》《ダークスティールの城塞》(私注・おそらく《ダークスティールの鋳塊/Darksteel
Ingot》のこと)《ドラゴンの財宝》《精霊術士のパレット》《予言の像》《胆液の泉》《名誉ある家宝》《合格通知》《マナ晶洞石》《マナリス》《ネットワーク端末》《乳白色の一角獣》《ファイレクシアのレンズ》《複製する指輪》《小走り犬》《スカイクレイブの秘宝》《糸車》《セレスタス》そして《終わりなき休息の器》。
これぜーんぶ《天界のプリズム》の完全上位互換。
マナ加速にはならないかもしれないが、色変えだけを行いたいなら、《マナの大鉢》《予言のプリズム》《虹色のレンズ》《秘儀のコンパス》それに《航海士のコンパス》など、1マナ2マナのアーティファクトがある。
第42位《Goblin Lyre》(フォールン・エンパイア(私注・……と原文には書いてあるが、おそらくアイス・エイジ)レア)
Goblin Lyre (3)
アーティファクト
Goblin Lyreを生け贄に捧げる:コインを1枚投げる。あなたがコイン投げに勝ったなら、対戦相手1人かプレインズウォーカー1体を対象とする。Goblin Lyreはそれに、あなたがコントロールするクリーチャーの数の等しい点数のダメージを与える。あなたがコイン投げに負けたなら、Goblin Lyreはあなたに、その対戦相手かそのプレインズウォーカーのコントローラーがコントロールするクリーチャーの数に等しい点数のダメージを与える。
なぜ悪いか?
そうだな……戦場に君の100万体のクリーチャーがいるとしよう。
君は勝ち誇ったように《Goblin Lyre》を唱えて、そしてコイン投げに負ける。
相手のクリーチャーの数、3のダメージを受ける。
これは極端な例だが、100万のクリーチャーがいるわけではないし、コイン投げをせずにクリーチャーの分だけダメージを与えられるカードは他にも存在する。
代わりに何が使えるか?
《暴徒の正義》はわずか2マナで、あなたがコントロールしているクリーチャーの数分のダメージを相手に与えられる。
《大規模な奇襲》は3マナだが、インスタントになってさらにクリーチャーも対象にできるようになった。
《過酷な命の糧》はこの効果が白黒になったため、ライフゲインが付いてくる。
《陰惨な鞭使い》は黒単色で同じことができる。
《鋳造所の勇者》は戦場に出たときにこの効果を行う赤白のクリーチャーだ。
《火炙り》はあなたのクリーチャーをタップすると、その数の3倍のダメージを相手に与える。
第41位《防衛任務》(メルカディアン・マスクス・レア)
防衛任務 / Security Detail (3)(白)
エンチャント
(白)(白):白の1/1の兵士(Soldier)クリーチャー・トークン1体を生成する。あなたがクリーチャーを1体もコントロールしていないときにのみ、毎ターン1回のみ起動できる。
なぜ悪いか?
白は、緑と並んでトークン・クリーチャーを生み出すのに長けた2大トップカラーの一つである。
効率よくクリーチャー・トークンを作れる白のカードは多い。
《防衛任務》は最悪のトークン生産エンジンだ。
最初に1/1を出すためにまず6マナもかかる。
しかもそれはほかにクリーチャーをコントロールしていない場合に限られる。
これはあり得ない欠点だし、1/1を1体作るためのコストとして高すぎる。
代わりに何が使えるか?
4マナで1ターンに1体クリーチャーを出したいなら《霊の鏡》を試してみよう。
4マナで何の欠点もないトークンを作りたいなら、《恩寵の宮廷》《共同目的の御神体》《太陽の神、ヘリオッド》を試してみよう。
また、単に兵士を量産したいのであれば、《軍勢の結集》《征服者の制約》《正義の命令》《刃砦の英雄》《遍歴の騎士、エルズペス》《軍部政変》《動員令》《石術師、ナヒリ》など無数の選択肢がある。
第40位《致命的突然変異》(スカージ・アンコモン)
致命的突然変異 / Fatal Mutation (黒)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーが表向きになったとき、それを破壊する。それは再生できない。
なぜ悪いか?
《致命的突然変異》がすることは一つ。
「変異クリーチャーが表向きになったとき、それを破壊する。」それだけだ。
注意:その変異クリーチャーが表向きになったときに誘発する能力があるなら、それは普通に使われてしまう。
注意:これが付けられるであろうクリーチャーは、まだ単なる2/2のバニラクリーチャーである。
それをそのまま殺しちまえばよくないか?
代わりに何が使えるか?
裏向きのクリーチャーのマナ総量は0である。
《血の長の渇き》と《致命的な一押し》は1マナでそれを殺せる。
《燻し》《取り除き》《格好の餌食》は2マナで同じことができる。
まあ、好きなのを使いなよ!黒の除去なら大抵《致命的突然変異》よりマシな働きをするよ。
第39位《緑濃き牧場》(ウルザズ・サーガ・レア)
緑濃き牧場 / Greener Pastures (2)(緑)
エンチャント
各プレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーがコントロールしている土地の枚数が他の各プレイヤーよりも多い場合、そのプレイヤーは緑の1/1の苗木(Saproling)クリーチャー・トークンを1体生成する。
なぜ悪いか?
昨日第72位(私注・71位)として紹介した《胞子形成》を覚えてるか?
《緑濃き牧場》もまた、同じような働きをする同じ弾の同じレアリティのカードだ。
こいつは、土地の数で勝っているなら誰にでもその恩恵をもたらすんだ。
つまり君がこれを唱えたとして、必ずしも君の助けになるとは限らないんだ!
代わりに何が使えるか?
土地の数に関連して増えたりするトークンをご所望なら、《硬鎧の大群》だ。
こいつは土地が6枚を超えると手に負えなくなるぞ。
《ゼンディカーの報復者》はまず戦場に出たとき、あなたの土地の数と同じだけの0/1トークンを生み出し、そのあと上陸効果でそれらに+1/+1カウンターを撒きまくる。
《絡み森の主》はその辺の面倒な仕組みなしに、土地を好きなだけ8/8に変えられる。
第38位《力ずくの戦略》(オンスロート・レア)
力づくの戦略 / Strongarm Tactics (1)(黒)
ソーサリー
各プレイヤーはカードを1枚捨てる。その後これによりクリーチャー・カードを捨てなかった各プレイヤーは、4点のライフを失う。
なぜ悪いか?
《力づくの戦略》を唱えたとき、君は2枚もカードを失う。
これと、この効果で捨てる1枚だ。
わざと手札を空にしたいってのが目的でないなら、これは……あまりいい効果じゃない。
そしてこいつは、クリーチャーでないカードを捨てたプレイヤーのライフを4点削るわけだが、これには君も含まれる。
つまりこれを唱えるってことは、2マナ払って手札を2枚減らして4点のダメージを受けることになる可能性があるってことだ。
墓地を肥やす方法も相手に手札を捨てさせる方法も、黒にはたくさん方法がある。
代わりに何が使えるか?
《空虚自身》というカードを使えば、手札すべてを墓地に置けるぞ。
(ネタバレ注意:《空虚自身》はギリギリこのリストには入らなかった。どういう意味かお分かりですね)
《泥棒ネズミ》《古牙の信奉者》《エルフの終末論者》《リリアナの勝利》《悪意ある噂》《ウイルスの甲虫》はそれぞれ2マナで相手にだけ手札を捨てさせるカードだ。
《朽ちゆくネズミ》や《瘴気ミイラ》は自分にも捨てさせるが、一応クリーチャーが残る。
手札を墓地に送りたいだけなら、《墓所破り》《朽ちゆくインプ》《拷問生活》などメリットをもたらすカードを使ってみよう。
第37位《猟獣保護区》(メルカディアン・マスクス・レア)
猟獣保護区 / Game Preserve (2)(緑)
エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、各プレイヤーは自分のライブラリーの一番上のカードを1枚公開する。これにより公開されたカードがすべてクリーチャー・カードだった場合、それらのカードをオーナーのコントロール下で戦場に出す。(それ以外の場合、公開されたカードはオーナーのライブラリーの一番上に裏向きにして戻す。)
なぜ悪いか?
クリーチャーを戦場にタダで出せるってのは最高だね!
だが、相手にもタダで出させるっていうなら、そうでもない。
《猟獣保護区》が効果を発揮するにはプレイヤー全員の(統率者戦なら、4人全員だ!)デッキトップがクリーチャーでなければならない。
たまたまそんなうまいことが起こると思うか?起こらないね。
仮にこれがうまくいったとして、相手のクリーチャーより君のクリーチャーの方が優秀であるという保証はどこにもない。
代わりに何が使えるか?
《野生の呼び声》は毎ターンこの効果を自分にだけ行うことができる。
《末裔の道》は部族縛りはあるものの、この効果を自分にだけ毎ターンタダで行うことができる。
《同族の召喚》は《末裔の道》の効果を、1回限りのデカい効果にして、1度に大量のリクルートを行うことができる。
第36位《リスティックの洞窟》(プロフェシー・アンコモン)
リスティックの洞窟 / Rhystic Cave
土地
(T):色を1色選ぶ。プレイヤー1人が(1)を支払わないかぎり、選んだ色のマナ1点を加える。起動はインスタントとしてのみ行う。
なぜ悪いか?
土地は何のためにある?
当然、マナを出すためだ。それか、マナ能力以外の能力を使うためだ。
《リスティックの洞窟》は一応前者の能力を持っている。
しかし、これを阻止したいプレイヤーが1マナ払ってしまえば、何もしなくなるのだ。
コレが36位なんて位置につけてるのは、理論上、先手の1ターン目に置けば1回は間違いなく5色土地として機能するからだ。
1対1のゲームでも悪いのに、対戦相手が3人もいる統率者戦ではまず使い物にならない。
たった1マナ、誰かが余らせてるその1マナで止まっちまうんだからな。
代わりに何が使えるか?
アンタップ状態で出る5色土地か。
《真鍮の都》《禁忌の果樹園》《マナの合流点》《宝石鉱山》《霊気拠点》《Rainbow Vale》《氷の橋、天戸》とかがあるね。
第35位《泥穴》(オデッセイ・レア)
泥穴 / Mudhole (2)(赤)
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分の墓地にある土地カードをすべて追放する。
なぜ悪いか?
《泥穴》の目的はかなり限られている。
プレイヤー一人の墓地から、土地だけを追放することだ。
なんてすばらしい効果だろう!!
土地だけじゃなく墓地全体をすっからかんにできる0マナの選択肢もあるっていうのに、それの幅を狭めてコストを3も上げるなんていう例を他には見たことがない。
代わりに何が使えるか?
《ボジューカの沼》や《トーモッドの墓所》は0マナの墓地対策だ。
全体でなく、単発の墓地破壊でいいならば《没収の曲杖》《失われしもののランタン》《大祖始の遺産》がある。
第34位《陰謀団の尋問者》(オデッセイ・コモン)
陰謀団の尋問者 / Cabal Inquisitor (1)(黒)
クリーチャー — 人間(Human) ミニオン(Minion)
スレッショルド ― (1)(黒),(T),あなたの墓地にあるカードを2枚、追放する:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。起動はソーサリーとしてのみ行い、あなたの墓地にカードが7枚以上あるときのみ起動できる。
1/1
なぜ悪いか?
《従者》や《後陣のマイア》よりも悪いカードの領域に差し掛かりつつあるぞ。
それ2体のクリーチャーは、少なくともタフネスが2あった。
《陰謀団の尋問者》はというと?
2マナで1/1。
スレッショルドを達成するまでは何の能力もない。
そんで、スレッショルドを達成したらどうなる?
相手の手札を1枚捨てさせる。
2マナ払って、コレをタップして、墓地のカードを2枚追放して、ソーサリー・タイミングでな。
そしたらほとんどの場合はまた無能力に逆戻りだ。
これで妨害できるのは、自分の戦略だけだ。
代わりに何が使えるか?
《鼠の短牙》は、《陰謀団の尋問者》のデメリットがなくなった版だ。
一応言っておくと、《陰謀団の尋問者》は置きハンデスなので、ゲームの終盤でなら相手の手札に多少の影響を与えられる可能性はある。
第33位《ねじれのワーム》(ミラージュ・レア)
ねじれのワーム / Warping Wurm (2)(緑)(青)
クリーチャー — ワーム(Wurm)
フェイジング(これはあなたの各アンタップ・ステップの間であなたがアンタップする前にフェイズ・インまたはフェイズ・アウトする。それがフェイズ・アウトしている間、それはそれが存在しないかのように扱う。)
あなたのアップキープの開始時に、あなたが(2)(青)(緑)を支払わないかぎり、ねじれのワームはフェイズ・アウトする。
ねじれのワームがフェイズ・インしたとき、その上に+1/+1カウンターを1個置く。
1/1
なぜ悪いか?
ややこしいカードだが、数学は好きだ。《ねじれのワーム》についてちょっと計算してみよう。
- 4ターン目:《ねじれのワーム》を召喚。この時点でこれは1/1。
- 5ターン目:《ねじれのワーム》がフェイズ・アウト。まだ1/1。
- 6ターン目:《ねじれのワーム》がフェイズ・イン。2/2になったが、4マナ払わないとまたフェイズ・アウト。
- 7ターン目:1)前のターンに4マナ払っていたなら、《ねじれのワーム》はフェイズ・アウト。
2)払っていなかったなら、2/2のまま。(私注・と本文にはあるが、おそらく3/3になる)
そう、つまり4マナと4ターンをかけて貰える報酬が、出たり消えたりする以外に能力がない2/2か3/3のクリーチャーということになる。
これはマジックのクリーチャーの中でも最低のレートであり、《ねじれのワーム》は全力で存在しないものとして扱うべきカードである。Q.E.D.
代わりに何が使えるか?
《クロロファント》は《ねじれのワーム》よりコストが1低く、戦場に残り、毎ターン+1/+1カウンターを得る。
《残忍なハイドラ》は4マナ3/3でスタートし、3マナ投入されるたびに成長する。
《幻影のナントゥーコ》はタップだけでカウンターを得られるし、その上ダメージで死ぬのを防ぐことができる。
《捕食者のウーズ》は追加で破壊不能を持つ。《クロロファント》の上位互換だ。
第32位《North Star》(レジェンド・レア1)
North Star (4)
アーティファクト
(4),(T):このターン、呪文1つについて、その呪文のマナ・コストを支払うのに、マナを他の任意のタイプのマナであるかのように支払ってもよい。(追加コストは通常通り支払う。)
なぜ悪いか?
《North Star》はまず唱えるために4マナかかり、さらに起動するのに4マナかかる。
効果といえば、呪文1つのマナコストを任意のタイプで支払えるようにするものだ。
言ってみれば、色事故を防ぐために呪文のコストを+4するようなもんだ。
これは重すぎるコストだし、色事故を防ぐためならもっといい方法がある。
代わりに何が使えるか?
《彩色の灯籠》は自分の土地を5色土地に変えるだけでなく、自身も好きな色を出せもする。
これだけで《North Ster》のすべてを凌駕してるな。
《天界の曙光》《社交の達人》《イリーシア木立のドライアド》《Prismatic Grove》(私注・《虹色の前兆/Prismatic Omen》のことか)などを使えば、色事故問題は一挙に解決できる。
第31位《モグの中隊》(テンペスト・アンコモン)
モグの中隊 / Mogg Squad (1)(赤)
クリーチャー — ゴブリン(Goblin)
モグの中隊は戦場に出ている他のクリーチャー1体につき-1/-1の修整を受ける。
3/3
なぜ悪いか?
ゴブリンデッキは大抵、対処できないほどのゴブリンの大群を押し付けて勝利しようとしている。
《モグの中隊》はこの戦略に真っ向から反対する。
こいつと、他にクリーチャーが3体(相手のも含むんだぜ!)が出てれば、コイツは何もせず墓地に行く。
プレイヤー全員合わせて、3体クリーチャーをコントロールしてれば死んでしまうんだ。
統率者戦では、事実上無価値だ。
コイツを出した奴に次の番が回ってくるときまでコイツが戦場に立っていたってだけで、俺はすげえ衝撃を受けるだろうね。
代わりに何が使えるか?
《モグの下働き》はコイツの完璧な代用品だ。
2マナで出てくるデカいゴブリンが欲しいってなら、《不気味な放浪者》《オック》を使えばいい。
第30位《あられ石のヒル》(インベイジョン・レア)
あられ石のヒル / Alabaster Leech (白)
クリーチャー — ヒル(Leech)
あなたが唱える白の呪文は、それを唱えるためのコストが(白)多くなる。
1/3
なぜ悪いか?
インベイジョンにいたヒルのサイクルは、(当時としては)高めのスタッツを持つかわり、ある糸の呪文のコストを増やすというデメリットを持つクリーチャーだった。
《Jace Leech》(私注・《翡翠のヒル/
Jade Leech》)は、使うのに十分な性能を持っていた。
《サファイアのヒル》《ルビーのヒル》《ざくろ石のヒル》はいずれもリミテッドでは活躍できるカードだった。
しかし……《あられ石のヒル》はどうだ?
このカードは、序盤の防御を固めるために使われるべきカードだ。
しかしそのためにそれ以降の展開を遅らせる?
言うまでもない。
《あられ石のヒル》が出た当初、インベイジョンの時代では、1マナで1/3の白のクリーチャーは結構いいスタッツと言えた。
それでもなおコイツは使われなかった。
今となっては考えるまでもない。
代わりに何が使えるか?
《あられ石のヒル》から欠点を綺麗に取り除くと《堅牢な盾仲間》になる。
しかもコモンなので安く買える。
防衛を持っていてもいいなら、《龍の眼の歩哨》《新米騎士》《毅然たる番犬》なども要チェック。
第29位《墓火》(オデッセイ・レア)
墓火 / Tombfire (黒)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分の墓地にあるすべてのフラッシュバックを持つカードを追放する。
なぜ悪いか?
《泥穴》(第35位)のとき、なんていったか覚えてるか?
《墓火》はアレよりもさらに範囲が狭い。
プレイヤー1人の墓地からフラッシュバックを持つカードを取り除くだけだ。
しかもソーサリーなので、相手がフラッシュバック呪文を墓地に置き、そのターンでフラッシュバックさせたときに対応して使うことができない。
(私注・と本文にはあるが、フラッシュバックでインスタントを唱えた際には、その呪文は既にスタックに載っているため、仮にこれがインスタントだったとしても追放するタイミングはおそらくない)
この《墓火》こそが、"マジで悪いカード"と"ガチのマジで使い物にならないカード"の境界線であると書いておこう。
代わりに何が使えるか?
《泥穴》の時に私が言ったものはすべてここでも通用する。
まじめな話、《トーモッドの墓所》がオススメだ。
0マナで唱えられるし、買うとしてもかなり安い。
第28位《サプラーツォの略奪者》(メルカディアン・マスクス・コモン)
サプラーツォの略奪者 / Saprazzan Raider (2)(青)
クリーチャー — マーフォーク(Merfolk)
サプラーツォの略奪者がブロックされた状態になったとき、これをオーナーの手札に戻す。
1/2
なぜ悪いか?
3マナ1/2っていう時点でかなり不利。
相手は必ずブロックしてくるだろうし、そうなったらまた3マナで唱えなおしだ。
マーフォークデッキを組む時でさえ、コイツを使う道理はどこにもない。
代わりに何が使えるか?
その昔、マーフォークはWotCからそれほど気に入られてなかったが、ここ数年で変わってきた。
もはや《サプラーツォの略奪者》なんぞの存在を認める必要すらない。
どうしても3マナのマーフォークが使いたいっていうなら《船殻破り》がある……が、統率者戦で禁止カードになってる。強すぎたからな。
第27位《Riptide》(ザ・ダーク・コモン3)
Riptide (青)
インスタント
すべての青のクリーチャーをタップする。
なぜ悪いか?
1マナで青いクリーチャーすべてをタップする、か。
これには、ブロックに参加するつもりだった自分の青のクリーチャーも含まれる。
1対1では、まず役に立たないな。
多人数戦では少なくとも、自分よりも下家にいるプレイヤーには多少の影響を与えられる……かもしれない。
代わりに何が使えるか?
《セファリッドの皇帝アボシャン》は一度に複数のクリーチャーをタップさせることができる。
《陥穽》は一度にすべてのクリーチャーをタップさせることができる。
しかも0マナでも撃てるんだ!
この手の全体タップで一番好きなのは《眠り》だな。
2ターンにわたって相手のクリーチャーを寝っぱなしにさせられるんだ。
……自分のクリーチャーへの影響なんか無しにな!
第26位《浸食》(ザ・ダーク・コモン3)
浸食 / Erosion (青)(青)(青)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(土地)
エンチャントされている土地のコントローラーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーが(1)か1点のライフを支払わないかぎり、その土地を破壊する。
なぜ悪いか?
その昔、土地を1つ破壊するには3マナが必要だった。
《Ice Storm》《石の雨》《Thermokarst》《略奪》《軍隊蟻》《押し寄せる砂》《Icequake》《涙の雨》《冬の抱擁》など、単体の土地破壊呪文は全部3マナだった。
土地破壊は主に赤と緑、少数に黒の役割だった。
そしてこの《浸食》は、青3マナでの土地破壊の試みだが、実際には土地破壊ではない。
これができるのは、1点のライフペイか1マナ支払わせるか土地を破壊するかの選択を、相手に迫る、ってことだけだ。
これは青色のマナ3つも要求するため、片手間ではこの波をなげかけてやることもできないし、青主体のデッキが3ターン目に土地を全部寝かせてやりたいのは、こんなことではない。
代わりに何が使えるか?
まず、青色は土地破壊の色ではない。
しかし青には、土地をタップさせることでマナ基盤を縛る能力があることは確かだ。
《水大工の意思》《幻影の地》《夢ツグミ》《グリクシスの幻術師》《対立》《パララクスの潮流》《浅瀬のシャーマン》《海の要求》《広がりゆく海》などは、相手の土地を使い道のない土地に変えるか、長期間にわたって土地寝かせておくことができるカードだ。
というわけで、今回はここまで。
明日は遂に最悪の歴代マジックカード100枚、その下位25枚を発表する!
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