史上最悪のマジック:ザ・ギャザリングカード100枚 75位-51位


100-76 , 75-51 , 50-26 , 25-1

Ben Bleiweissは、マジック史上最悪カードの探求を続ける。
パート1のカードは本当にひどかったと思ったなら、この段ボールの悲劇を見るまで待ってくれ……。

By Ben Bleiweiss | 2022年3月2日

「マジック史上最悪のカード100枚」にお帰りなさい!
これは4部構成の第2部です。
マジック:ザ・ギャザリングが提供する中でも最高にクソなカードを探求します。

なぜわざわざこんなカードを調べるのか?
数少ない最悪のカードを通して、マジックがどこまで進歩したか、あるいはどこへ行ったかを調べるのは楽しいことなのです。
デッキ構築をするのが好きで、この記事シリーズを友達と遊ぶためのバケットリストとして使う人もいるでしょう。

最も重要なのは、これら最悪のカードはすべて、ゲームデザインをする上で学ぶべき教訓であるということです。
私は、面白半分にボロクソ言っているわけではありません。
そうではなく、これらのカードはなぜ悪いのか、本当にその効果を発揮したいならどのような代替手段があるかを啓蒙したいのです。
Mark Rosewaterは失敗から学ぶことの力について何度か書いています。
私も、このコンセプトを固く信じています。

ともかく!
あなたは失敗から学ぶ力についての哲学的議論をするためではなく、史上最悪のカードを見にここにきたのだ!
前置きはこれくらいにして、マジック史上最悪のカード75位から51位を発表しよう。
第75位《煙突のインプ》(ミラディン・コモン)

煙突のインプ / Chimney Imp (4)(黒)
クリーチャー — インプ(Imp)

飛行
煙突のインプが死亡したとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札のカードを1枚、自分のライブラリーの一番上に置く。
1/2

なぜ悪いか?
多くの人が《煙突のインプ》を史上最悪のクリーチャーの例として挙げる。
これは事実じゃない!
《煙突のインプ》はこのリストに入るには十分すぎるほど弱いが(5マナで1/2の飛行というのは本当に雑魚だ)、死んだときには一応アドバンテージ(と呼ぶだろ?普通は)がある。
だから、このリストにはこれも十分入るけど、もっとひどい奴もいるってことを宣言しておこう。

代わりに何が使えるか?
カードアドバンテージを与えてくれる(4)(黒)の飛行クリーチャーにこだわりがあるって?
《税血の徴収者》《墓所の天使》はどうかな。
このマナコストで注目すべき飛行クリーチャーはほかに《スカージの使い魔》《怪奇な混種》《石塚の放浪者》《飢えたるもの、卑堕硫》などがある。
第74位《隠遁者》(ウルザズ・サーガ・アンコモン)

隠遁者 / Reclusive Wight (3)(黒)
クリーチャー — ゾンビ(Zombie) ミニオン(Minion)

あなたのアップキープの開始時に、あなたが他に土地でないパーマネントをコントロールしている場合、隠遁者を生け贄に捧げる。
4/4

なぜ悪いか?
「俺と土地以外を戦場に出したい?すまないが、だったら俺は死ぬ。」
《隠遁者》のキープ制限はあまりにもきつく、これを生かしながら攻撃やブロックなどのゲームプランを立てる現実的な方法は存在しない。
ウルザズ・サーガのドラフトでの黒単デッキは、マジック史上最もオーバーパワーなドラフトアーキタイプのひとつだったが、《隠遁者》はそこですら採用されなかった。

代わりに何が使えるか?
欠点を持つ4マナのクリーチャーが欲しいって?
《光網の観察者》は他のクリーチャー呪文を唱えられなくさせるが、《隠遁者》よりも大きい。
《デレロー》はあなたの黒の呪文のコストを(黒)増やしてしまう。
《深淵の迫害者》は、あなたがゲームに勝つことも、相手が負けることもできないようにしてしまうが、少なくともその間あなたは6/6の飛行トランプルを得る。

それか……《鎮める者、アシュリング》や《ドローガーの屍術師》、《神出鬼没な拷問者》みたいな、4マナ4/4で欠点のないクリーチャーを使ってもいい。
第73位《昏睡のヴェール》(アラーラの断片・コモン)

昏睡のヴェール / Coma Veil (4)(青)
エンチャント — オーラ(Aura)

エンチャント(アーティファクトかクリーチャー)
エンチャントされているパーマネントは、それのコントローラーのアンタップ・ステップの間にアンタップしない。

なぜ悪いか?
除去呪文のポイントは、クリーチャーを確実に除去することだ。
《昏睡のヴェール》はクリーチャーをタップしたままにしておくが、これ自体にタップさせる能力はない。
そのため、効果のわりにコストがかかりすぎている。
また、防御するために立っているクリーチャーや、警戒を持つクリーチャーには何も効果がない。

代わりに何が使えるか?
《泡の罠》《捕獲球》《漂流者の絶望》《魔法の眠り》《閉所恐怖症》などは、通常3,4マナ程度でクリーチャーをタップし、そうし続けさせる。
《硬化》は《昏睡のヴェール》の効果に加えて、そのカードの起動型能力を使えなくするうえに、2マナも軽い。
第72位《Jandor's Ring》(アラビアンナイト・アンコモン2)

Jandor's Ring (6)
アーティファクト

(2),(T),このターン直前に引いたカードを捨てる:カードを1枚引く。

なぜ悪いのか?
アーティファクトに6マナ支払うというのは決して安い額じゃない。
カードを引き直すことにそれだけ支払うなら、なにか別の方法で実際にドローした方がいい。
《Jandor's Ring》は1ターンに1枚の引き直しを許可してくれるが、それだけで6マナと、さらに2マナ支払う価値はない。
代わりに何が使えるか?
《ジェイラム秘本》がこれの数か月後、アンティキティーで発売され、そのあとこれが再録されたのを不思議に思うだろう。
(私注・販売順はアラビアンナイト→アンティキティー→リバイズド・エディションで、《Jandor's Ring》は《ジェイラム秘本》の完全下位互換でありながら、リバイズドエディションにレアで再録されている。)
6マナあれば、《ニンの杖》《不滅の太陽》《アラーラのオベリスク》とかを出すこともできるね。
第71位《胞子形成》(ウルザズ・サーガ・レア)

胞子形成 / Sporogenesis (3)(緑)
エンチャント

あなたのアップキープの開始時に、トークンでないクリーチャー1体を対象とする。あなたはその上にファンガス(fungus)・カウンターを1個置いてもよい。
ファンガス・カウンターがその上に置かれているクリーチャーが死亡するたび、そのクリーチャーの上に置かれているファンガス・カウンター1個につき緑の1/1の苗木(Saproling)クリーチャー・トークンを1体生成する。
胞子形成が戦場を離れたとき、すべてのクリーチャーからすべてのファンガス・カウンターを取り除く。

なぜ悪いか?
《胞子形成》は戦場に出たターンは何もしない。
いったん動き出したとしても、これが除去されるかゲームが終わるかまでに、1/1のクリーチャーを2体ほど作る程度だ。
《胞子形成》が除去されたとなれば……すべてのカウンターがなくなる!!
そのため、1枚目が除去されたあと2枚目でリカバリーということもできない。
最悪なことに、この手の他の苗木系のカードはおおよそ胞子カウンターを用いるのに対し、これはファンガスカウンターという特有のカウンターを用いる。
そのため他の苗木カードとの相互作用もない。

代わりに何が使えるか?
《翡翠の魔道士》や《木立ちの守護者ネマタ》、《夜の土》は1/1の苗木トークンを作るための信頼感がよりある。
《密航者、スライムフット》や《若葉のドライアド》についても同様だ!
お好きなのをどうぞ!
第70位《血の呼び水》(ラヴニカ:ギルドの都・レア)

血の呼び水 / Blood Funnel (1)(黒)
エンチャント

あなたが唱えるクリーチャーでない呪文は、それを唱えるためのコストが(2)少なくなる。
あなたがクリーチャーでない呪文を唱えるたび、あなたがクリーチャーを1体生け贄に捧げないかぎり、その呪文を打ち消す。

なぜ悪いか
前にも書いた通り、最悪のカードのリストにコンポパーツを入れるのは危険な提案だ。
《血の呼び水》はそれ自体と食い違ったはたらきをする。
自分の呪文を打ち消されないようにするためには戦場にクリーチャーが必要だが、これが軽減するのはクリーチャーでない呪文だけだ。
既に自前でバックアップが可能である場面で出さないと、何ターンもの間何もできなくなるだけになる。

代わりに何が使えるか?
クリーチャーでない呪文にしか興味がないのであれば、《血の呼び水》の代わりになるカードはない。
《心なき召喚》はこれの逆(クリーチャー呪文のコストが2減る)だが、ここで求められる効果ではないな。
1種類のカードタイプのコストを減らすことにしか興味がないなら、《雲の鍵》はかなりまともなカードだ。
この場合なら、《黒玉の大メダル》もかなりいい例かもしれない!
第69位《衰微する土》(オデッセイ・レア)

衰微する土 / Decaying Soil (1)(黒)(黒)
エンチャント

あなたのアップキープの開始時に、あなたの墓地にあるカード1枚を追放する。
スレッショルド ― あなたの墓地にカードが7枚以上あるかぎり、衰微する土は「トークンでないクリーチャーが戦場からあなたの墓地に置かれるたび、あなたは(1)を支払ってもよい。そうした場合、そのカードをあなたの手札に戻す。」を持つ。

なぜ悪いか?
《衰微する土》は、スレッショルドを達成していないなら、そのスレッショルドを妨害する以外に何もしない。
たしかに、早い段階で十分に墓地を肥やすことができれば、これは強力な効果だ。
しかし、起動するのも維持するのも難しい……特に多人数戦では、墓地を一気に破壊するカードが多いからね。

代わりに何が使えるか?
《グールの誓い》なら、自分の墓地にあるクリーチャーの数が相手より多いなら、この効果を毎ターンタダで使える。
《定員過剰の墓地》は《衰微する土》よりも条件が緩く、起動も早い。
《宮殿の包囲》は、毎ターン《死者再生》させてくれる。
第68位《ファイティング・チャンス》(エクソダス・レア)

ファイティング・チャンス / Fighting Chance (赤)
インスタント
ブロックしているクリーチャー1体につき、コインを1枚投げる。あなたがコイン投げに勝った場合、このターン、そのクリーチャーが与えるすべての戦闘ダメージを軽減する。

なぜ悪いのか?
戦闘中にダメージを防ぎたいなら、普通は白や緑の効果を目を向けるだろう。
《ファイティング・チャンス》は疑似的な《濃霧》であり、しかも50%の確率でしか機能しない。
この手の効果は、確実に守れると保証される必要がある。
こいつのまともな使い方は、対戦相手が大量のクリーチャーでブロックしてきた際、こいつを唱えて戦場にある《偶然の出合い》で特殊勝利することだ。

代わりに何が使えるか?
《神々しい光》はクリーチャーを生かし続けるためのすばらしいほうほうだ。
《巨岩の門》は置いておくだけで攻撃クリーチャーへのダメージを軽減し続けるため、さらに良い。
《至上の聖域》なら攻撃していないときのダメージも完全に防ぎきる。
《安全な道》であれば、あなたとあなたのクリーチャーを1ターン完全に守り切る。
《穏やかな夕日》はダメージを軽減したいクリーチャーを選ぶことができる。
以上は白や緑のカードだが……この効果を絶対にどうしても何があっても赤デッキで使いたいっていうのなら……。
《Feint》とか《Glacial Crevasses》とかっていう赤の軽減カードがある……ぞ。
第67位《パララクス抑制装置》(ネメシス・レア)

パララクス抑制装置 / Parallax Inhibitor (2)
アーティファクト

(1),(T),パララクス抑制装置を生け贄に捧げる:あなたがコントロールする、消散(fade)カウンターを持つ各パーマネントの上に消散カウンターを1個置く。

なぜ悪いか?
WotCは、ほとんどのプレイヤーが消散のメカニズムに混乱していることに気が付いた。
彼らはこのメカニズムを、消失と作り変えることでわかりやすくした。
消失は事実上の消散であるが、カウンターが0個になることでパーマネントが消滅するようにした。

《パララクス抑制装置》はそんな、ひとつのセット(ネメシス)でしか登場しなかったメカニズムのサポートカードということで、もう既に何もしないようなものだ。
消散がもう登場しない以上、《パララクス抑制装置》に何かいい兆しが訪れる可能性は0だ。

代わりに何が使えるか?
消散はカウンターを中心としたメカニズムであるため、カウンターを増やせば消散も遅れるのだから、増殖を使えばいい。
おおよそは《パララクス抑制装置》よりもよく機能するだろう。
《活性機構》《劇作家の人形》《襲拳会の革命家》とかも、《パララクス抑制装置》と似た働きをより幅広い範囲で行うだろう。
第66位《ラカライト》(アンティキティー・アンコモン3)

ラカライト / Rakalite (6)
アーティファクト

(2):クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、それに与えられる次のダメージを1点軽減する。次の終了ステップの開始時に、ラカライトをオーナーの手札に戻す。

なぜ悪いか?
唱えるのに6マナ。使うと手札に戻る。効果は?ダメージを1点軽減するだけ。
《ラカライト》が66位にいる唯一の理由は、莫大なマナを使えるデッキであれば、それなりに活用できるからだ。
《雲上の座》を使う12postとかウルザランドを使うウルザトロンとかな。
しかし、その他のデッキでは?
《ラカライト》は単に、1点か2点、あるいは3点程度、ダメージを軽減するだけだ。
しかも使うとなるとマナを浮かせておかないといけないし、使ったら使ったで手札に戻ってくる。
これはかなり使えない。

代わりに何が使えるか?
《万能薬》は1体しか対象に取れないが、コストは《ラカライト》よりも2も安く、手札に戻ることもない。
プレイヤーへのダメージを防ぐなら《Shield of the Ages》だ。
設置も起動も2マナで、ターンに何度でも起動できる。
第65位《エイヴンの強兵》(トーメント・コモン)

エイヴンの強兵 / Aven Trooper (3)(白)
クリーチャー — 鳥(Bird) 兵士(Soldier)

飛行
(2)(白),カードを1枚捨てる:エイヴンの強兵は、ターン終了時まで+1/+2の修整を受ける。
1/1

なぜ悪いか?
4マナで1/1のフライヤーって時点でもう弱い。
オデッセイやトーメント、ジャッジメントでのリミテッドでは、マッドネスやスレッショルドといった、手札を捨てる・墓地を増やすことをキーとした能力があったから、一応コイツも全く何の役にも立たないってことはない。
が、4マナも払えるんなら、どっちにしたってコイツよりもマシな選択肢はたくさんある。
リミテッドでも、構築でもな。

代わりに何が使えるか?
白で手札を捨てるコストを持つカードなら、《》とかの方がいいカードだ。
4マナでより優れたスタッツのカードということなら、《》がオススメだ。
第64位《Apocalypse Chime》(ホームランド・アンコモン1)

Apocalypse Chime (2)
アーティファクト

(2),(T),Apocalypse Chimeを生け贄に捧げる:すべてのHomelandsエキスパンションにて印刷された名前を持つトークンでないパーマネントを破壊する。それらは再生できない。

なぜ悪いか?
昔、対エキスパンション用のカードがあった。
《City in a botlle》はアラビアンナイトのカードをすべて破壊し、さらなるプレイも禁止する。
《Golgothian Sylex》はアンティキティーで初登場したカードをすべて破壊する。
これらは大昔、それなりに使われることがあった。
なぜ《Apocalypse Chime》はこれらのカードよりも弱いのだろうか?

ホームランドは、マジック史上最悪のエキスパンションだとよく言われる(これについて詳しくは、また別の機会に)。
アラビアンナイトには《Juzam Djinn》があり、《Library of Alexandria》がある。
アンティキティーには《Mishra's Workshop》と3種類のウルザランドがある。
じゃあ、ホームランドには?
《Sengir Bats》?うーん……。
《鋸刃の矢》?ああ、それな……。
ホームランドで最も強いカードは《商人の巻物》と《記憶の欠落》で、これらはどっちもインスタントソーサリーだ(しかもコモン)。
つまりこのチャイムでは何も破壊できないってことだ。バカにしてるよな。

代わりに何が使えるか?
ホームランドは十分に悪い。
何らかの理由で相手がホームランド1色のデッキを組んできたとして、マジックには何百種類もの除去呪文があるんだからそのどれかを使えばいい。
第63位《鷹喰い蛾》(ウルザズ・サーガ・アンコモン)

鷹喰い蛾 / Hawkeater Moth (3)(緑)
クリーチャー — 昆虫(Insect)

飛行
被覆(このクリーチャーは呪文や能力の対象にならない。)
1/2

なぜ悪いか?
代わりに何が使えるか?

第62位《原初の激情》と《Lance》と《鎖ナイフ》と《速やかな反応》と《永遠の戦士》と《警戒》(能力をひとつ付与するだけのオーラ群)

原初の激情 / Primal Frenzy (緑)
エンチャント — オーラ(Aura)

エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーはトランプルを持つ。


Lance (白)
エンチャント — オーラ(Aura)

エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは先制攻撃を持つ。


鎖ナイフ / Lashknife (1)(白)
エンチャント — オーラ(Aura)

あなたが平地(Plains)をコントロールしているなら、あなたは、この呪文のマナ・コストを支払うのではなく、あなたがコントロールするアンタップ状態のクリーチャー1体をタップすることを選んでもよい。
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは先制攻撃を持つ。


速やかな反応 / Reflexes (赤)
エンチャント — オーラ(Aura)

エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは先制攻撃を持つ。(それは先制攻撃を持たないクリーチャーより先に戦闘ダメージを与える。)


永遠の戦士 / Eternal Warrior (赤)
エンチャント — オーラ(Aura)

エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは警戒を持つ。


警戒 / Vigilance (白)
エンチャント — オーラ(Aura)

エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは警戒を持つ。


なぜ悪いか?
オーラには本質的な欠点がある。
オーラが付いたクリーチャーを除去されてしまうと、相手の除去呪文1枚であなたは2枚のカードを失うことになるのだ。
有益なオーラというのは、このリスクに見合うほど優秀な効果を持つか、カードアドバンテージを失わない仕組みを持つ。
つまり、オーラであるということはそれだけで価値が下がるということなのだ。

トランプル、先制攻撃、警戒はマジックにおけるキーワード能力であるが、結局のところ、それ単体にはカード1枚分の価値はない能力である。
これらのカードはただその能力を与えるというだけで、それ以外には何もしない。
特に《鎖ナイフ》は、素で2マナ、ピッチスペルで考えても最も役に立たないカードであるという点で最悪である。

代わりに何が使えるか?
これらの能力は基本的かつ伝統的であるがゆえ、それを与えるものとなれば、他の追加効果があるもの、キャントリップを持つもの、あるいはその両方を持つものなど無限のバリエーションがある。
能力別に一例を示すことにする。
第61位《上天の裂け目》(インベイジョン・レア)

上天の裂け目 / AEther Rift (1)(赤)(緑)
エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、あなたはカードを1枚無作為に選んで捨てる。あなたがこれによりクリーチャー・カードを捨てた場合、プレイヤー1人が5点のライフを支払わないかぎり、それをあなたの墓地から戦場に戻す。

なぜ悪いか?
代わりに何が使えるか?

第60位《沼居ののけ者》と《武野の騎兵》(沼居ののけもの:神河物語・アンコモン、武野の騎兵:神河謀叛・コモン)

沼居ののけ者 / Numai Outcast (3)(黒)
クリーチャー — 人間(Human) 侍(Samurai)

武士道2(このクリーチャーがブロックするかブロックされた状態になるたび、それはターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。)
(黒),5点のライフを支払う:沼居ののけ者を再生する。
1/1


武野の騎兵 / Takeno's Cavalry (3)(白)
クリーチャー — 人間(Human) 侍(Samurai) 射手(Archer)

武士道1(このクリーチャーがブロックするかブロックされた状態になるたび、それはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。)
(T):攻撃かブロックしているスピリット(Spirit)1体を対象とする。武野の騎兵はそれに1点のダメージを与える。
1/1

なぜ悪いか?
この2体のクリーチャーはそれぞれ、戦闘時以外は1/1という低さだ。
これでは、小さすぎて使い物にならない。
《沼居ののけ者》はブロックに関われば3/3にはなるが、再生コストが非常に高い(5点のライフだぞ!)。
《武野の騎兵》は一応戦闘時以外の能力もある……が、スピリット1体に1点のダメージを与えるだけだ。
どっちも、コストに対しての能力やスタッツが平均より低すぎる。

代わりに何が使えるか?

第59位《泡のお守り》(ビジョンズ・アンコモン)

なぜ悪いか?
代わりに何が使えるか?

第58位《刃のブーメラン》(ワールドウェイク・アンコモン)

刃のブーメラン / Razor Boomerang (3)
アーティファクト — 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは「(T),刃のブーメランを外す:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。これはそれに1点のダメージを与える。刃のブーメランをオーナーの手札に戻す。」を持つ。
装備(2)

なぜ悪いか?
代わりに何が使えるか?

第57位《Cathedral of Serra》と《Seafarer's Quay》と《Unholy Citadel》と《Mountain Stronghold》と《Adventurers' Guildhouse》(レジェンドの「他の~とのバンド」付与土地サイクル)

Cathedral of Serra
土地

あなたがコントロールする白の伝説のクリーチャーは「他の伝説のクリーチャーとのバンド」を持つ。


Seafarer's Quay
土地

あなたがコントロールする青の伝説のクリーチャーは「他の伝説のクリーチャーとのバンド」を持つ。


Unholy Citadel
土地

あなたがコントロールする黒の伝説のクリーチャーは「他の伝説のクリーチャーとのバンド」を持つ。


Mountain Stronghold
土地

あなたがコントロールする赤の伝説のクリーチャーは「他の伝説のクリーチャーとのバンド」を持つ。


Adventurers' Guildhouse
土地

あなたがコントロールする緑の伝説のクリーチャーは「他の伝説のクリーチャーとのバンド」を持つ。


なぜ悪いか?
「バンド」というキーワード能力は、マジックではもう公式にサポートされていない。
この能力はあまりにも難解なので(マジでな!)、段階的に廃止されたのだ。

「他の~とのバンド」は「バンド」とは異なる。
ただの「バンド」でさえ分かりづらいのに、「他の~とのバンド」はさらなる混乱を招く偽物だ。
言うまでもないことだが、このサイクルは私の2004年の記事ではワースト10入りするほどひどいものだった。
これらの土地は、土地のくせにマナを生み出さないので、伝説のクリーチャーに全然役立たない能力を与える代わりに、土地をセットする余裕を事実上放棄させるものでしかない。

突然、伝説のクリーチャーを中心としたフォーマットが登場して、この雑魚中の雑魚土地に結構人気が出てるのが笑えるな。
統率者戦は伝説のクリーチャーが必ず出てくるから、これらのカードも何かしらははたらきを行うようになったのだ。
じゃあ、これらのカードが良いものになったのか?
いやいやいや……そんなことは断じてない。
統率者戦のおかげで、ワースト10位以内ではなくなったってだけのことだ。

代わりに何が使えるか?
《Baton of Morale》は、自分のクリーチャーにバンドを与えるための素晴らしい方法だ。
《チャザックの兜》もそうだ。
マジのマジで自分のクリーチャーにバンドを与えたいなら、土地枠を1つ無駄にするのではなく、これらのアーティファクトを使うべきだ。
第56位《沼のチンピラ》と《したたる死者》(沼のチンピラ:ローウィン・コモン、したたる死者:レギオン・コモン)

沼のチンピラ / Bog Hoodlums (5)(黒)
クリーチャー — ゴブリン(Goblin) 戦士(Warrior)

沼のチンピラはブロックできない。
沼のチンピラが戦場に出たとき、対戦相手1人と激突を行う。あなたが勝ったなら、沼のチンピラの上に+1/+1カウンターを1個置く。(激突を行う各プレイヤーは、自分のライブラリーの一番上のカードを公開し、そのカードを一番上か一番下に置く。自分のカードのマナ総量の方が大きいプレイヤーが勝つ。) 4/1


したたる死者 / Dripping Dead (4)(黒)(黒)
クリーチャー — ゾンビ(Zombie)

したたる死者ではブロックできない。
したたる死者がクリーチャーに戦闘ダメージを与えるたび、そのクリーチャーを破壊する。それは再生できない。
4/1

なぜ悪いか?
代わりに何が使えるか?

第55位《Merchant Ship》(アラビアンナイト・アンコモン3)

Merchant Ship (青)
クリーチャー — 人間(Human)

Merchant Shipは防御プレイヤーが島(Island)をコントロールしていないかぎり、攻撃できない。
Merchant Shipが攻撃してブロックされないたび、あなたは2点のライフを得る。
あなたが島をコントロールしていないとき、Merchant Shipを生け贄に捧げる。
0/2

なぜ悪いか?
まずこれのパワーは0だ。
次に、相手が島をコントロールしていないと攻撃できない。
攻撃した報酬は?
これがブロックされなかったなら、2点のライフを得る。
相手がクリーチャーを1体でもコントロールしてるなら、ブロックしない選択肢ってあるか?
そして仮にブロックされなかったとしても……こんなキツい制限のわりにどうでもない0/2クリーチャーのためにカード1枚、本当に使いたいのか?んなわけないよな。

代わりに何が使えるか?
《神盾の海亀》は、《Merchant Ship》が得るライフよりも多くのダメージを防ぐだろう。
《ルーンの壁》は事実上同じようなスタッツで、占術ができる。
ライフを得ること、あるいはダメージを受けないようにすることだけを考えるなら、青1マナのもっとよい選択肢がマジでたくさんある。
第54位《Fasting》(ザ・ダーク・アンコモン2)

Fasting (白)
エンチャント

あなたのアップキープの開始時に、Fastingの上に飢餓(hunger)カウンターを1個置く。その後、それがそれの上に飢餓カウンターが5個以上置かれている場合、それを破壊する。
あなたがドロー・ステップを始める場合、あなたは代わりにそのステップを飛ばしてもよい。そうした場合、あなたは2点のライフを得る。
あなたがカードを引いたとき、Fastingを破壊する。

なぜ悪いか?
マジックにおいて、白はライフゲインの第1色だ。
ほとんどのセットに、ライフを得る白いカードが複数存在する。
《Fasting》はマジックの歴代の中でも最悪のライフゲインカードだ。
(ネタバレ注意!"中でも"って書いてあるよ)(私注・(?))
2点のライフを得るためにドローフェイズをスキップするのはよくない。
仮にこれを維持しなければならない理由があったとしても、相手はあなたに1枚ドローさせるだけでこれを破壊することができる。
でもこれ……どうせ5ターン後にはどうやったって消えてるんだよね。
永遠に生き続けるものなどないってこと!

代わりに何が使えるか?
これよりもずっと優れた白のライフゲインカードのリストは、1つの記事には長すぎるほどある。
有名なものを3つ挙げて終わりにしよう。
《砂の殉教者》《魂の管理人》《魂癒し人》を使おう。
第53位《純粋の色》と《思考の色》と《死の色》と《混沌の色》と《生命の色》(リミテッド・エディションのレアの「~の色」サイクル)

純粋の色 / Purelace (白)
インスタント
呪文1つかパーマネント1つを対象とする。その色は白になる。(そのパーマネントのマナ・シンボルは変化しないままである。)


思考の色 / Thoughtlace (青)
インスタント
呪文1つかパーマネント1つを対象とする。その色は青になる。(そのパーマネントのマナ・シンボルは変化しないままである。)


死の色 / Deathlace (黒)
インスタント
呪文1つかパーマネント1つを対象とする。その色は黒になる。(そのパーマネントのマナ・シンボルは変化しないままである。)


混沌の色 / Chaoslace (赤)
インスタント
呪文1つかパーマネント1つを対象とする。その色は赤になる。(そのパーマネントのマナ・シンボルは変化しないままである。)


生命の色 / Lifelace (緑)
インスタント
呪文1つかパーマネント1つを対象とする。その色は緑になる。(そのパーマネントのマナ・シンボルは変化しないままである。)


なぜ悪いか?
この「色」サイクルは、古いブースターパックを開封するときに、レア枠で出てくる使えないカードの代表だった。
問題は、5種類が5種類とも使い道が極端に限られていたことだ。
《混沌の色》と《思考の色》は、一応《赤霊破》と《青霊破》を悪用できたりした。
《死の色》と《純粋の色》は、それぞれ白とか黒とかからのプロテクションをこんがらがせたりできた。
《生命の色》は?
役立ったさ。《Aisling Leprechaun》(98位)と同じくらいは。
これらが、どんなカードや呪文も好きな色に変えられるカードであったなら、まあ許容できただろう。
しかし、アルファ版ベータ版アンリミテッド第3版第4版の5回もこのカスレアを当てるチャンスがあったというのは?
筆舌に尽くしがたく悪い。
(私注・ご存じの通り、アルファ版ベータ版のレア枠にはBlack Lotusがあります。)

代わりに何が使えるか?
《虹の色》は、パーマネントの色を変えることに関しては、他の5つのLaceすべてをカバーする。
《無明の予見者》(変装したウルザだ……いや、マジで!)は、呪文とパーマネント両方の色を繰り返し変えることができる。
第52位《回廊のガーゴイル》(フォーゴトン・レルム探訪・アンコモン)

回廊のガーゴイル / Cloister Gargoyle (2)(白)
アーティファクト クリーチャー — ガーゴイル(Gargoyle)

回廊のガーゴイルが戦場に出たとき、ダンジョン探索をする。(ダンジョン探索をするとは、最初の部屋へ入るか、次の部屋へ進むことである。)
あなたがダンジョンを踏破したことがあるかぎり、回廊のガーゴイルは+3/+0の修整を受け飛行を持つ。
0/4

なぜ悪いか?
今のところ、ダンジョン探索自体が特定のセットに寄生している、マジック全体との互換性がないメカニズムだ。
WotCは、このメカニズムを強化しすぎたら、ひたすらダンジョンを潜るだけのつまらないゲームパターンになってしまわないかを懸念していた。
そのため、ダンジョン探索を行うカードのカードパワーはかなり下げられたんだ。
《回廊のガーゴイル》はそれらのカードの中でも最悪の部類に入る。
3マナで0/4で、一応3/4の飛行になるチャンスはあるが、その可能性はほぼ0に等しい。
ダンジョン探索というメカニズム自体が、全体として十分な強さを持たないため、こいつを何度か出して「占術1を行う」とか「1点のライフを得る」とかやってもほとんどメリットにならないんだ。

代わりに何が使えるか?
とはいえ、ダンジョン探索をメインに据えたいときもあるだろう。
ダンジョンデッキを組みたいなら、《無私のパラディン、ナダール》を使おう。
彼は《回廊のガーゴイル》と同じコストで、基本スタッツが高くて、何度もダンジョン探索できて、ダンジョンを踏破したときのメリットも大きい。
第51位《ターンガースのにらみ》(アポカリプス・コモン)

ターンガースのにらみ / Tahngarth's Glare (赤)
ソーサリー
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーのカードを上から3枚見る。その後それらを望む順番で戻す。そのプレイヤーは、あなたのライブラリーのカードを上から3枚見る。その後それらを望む順番で戻す。

なぜ悪いか?
このリストを作ったとき、このカードと《索引》《未来視》(92位だ)とを分けなければならなかった。
それらが大したことをしないカードであるのに対し、《ターンガースのにらみ》は積極的にあなたを傷つけてくる。
対戦相手のライブラリーの上から3枚を見て並び替えるという効果は、1マナならまあいい効果だ。
残念ながら、《ターンガースのにらみ》はこの効果を対戦相手にも使わせてしまう……しかもタダで。
お互いに1,2ターン後退するためにカード1枚使ったのか?
リミテッドなら、これを使った人も、使われた人と同じくらい傷つく可能性が高い。
構築戦では?
手札が1枚少ない状態で始めるのと一緒だな。

代わりに何が使えるか?
前にも言ったが……まあもう一度言おう。
ドローをセットアップしたいなら、《師範の占い独楽》や《巻物棚》の方がずっといい。
相手のドローを妨害したいのかい?
なら《残酷な運命》《抗えぬ運命》《洞察力》だ。
これなら、自分の将来のドローを台無しにされることなくこの効果を発揮できる。
《神話送り》は、これに加えてクリーチャーを戦場から退かすこともできる。
それではまた明日!
史上最悪のカード100枚、第3回をお楽しみに!
ぜひ@StarCityBenに感想を聞かせてください。
100-76 , 75-51 , 50-26 , 25-1

もどる